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★ヘヴンズ ストーリー

(C)2010ヘヴンズ プロジェクト
『ヘヴンズ ストーリー』
〜被害者側と加害者側の10年にわたる戦いが展開〜

(2010年 日本 4時間38分)
監督:瀬々敬久(ぜぜ・たかひさ)
出演:寉岡萌希(つるおか・もえき)、長谷川朝晴(ともはる)、忍成(おしなり)修吾、村上淳、山崎ハコ、菜葉菜、江口のりこ、吹越満、片岡礼子、嶋田久作、菅田俊、光石研、津田寛治、根岸季衣、渡辺真起子、長澤奈央、佐藤浩市、柄本明

2010年10月2日(土)〜ユーロスペースで、2010年10月9日(土)〜銀座シネパトス 他全国順次公開
2010年12月4日(土)〜第七藝術劇場にて公開

瀬々敬久監督インタビューこちら
・ 公式サイト⇒
http://www.heavens-story.com
 データをご覧いただければ分かる通り、何と4時間38分にもわたる映画だ。でも、2時間見たら「休憩」の字幕が入るので、大丈夫。この種の休憩入りの長尺映画は、かつてはいっぱいあったけど、最近では昨年の『沈まぬ太陽』(2009年)くらいで、めっきり減ってきている。それだけに、新鮮に思われる方は多いと思う。
 で、書き並べた出演陣を見て、これはいろんな人間が登場し、複雑に絡み合う群像劇ではないかと思われるだろう。しかし、主要登場人物は寉岡萌希から山崎ハコまでの、5人くらいに絞られているので分かりやすい。
 被害者側の男女2人(寉岡&長谷川)が、出所した加害者(忍成修吾)と彼を養子にした女(山崎ハコ)の2人組と、対決するという構図だ。そこに、警察官をしながら、副業で復讐代行をやっている男(村上淳)のエピソードが入る。この2話は深くは関わらないが、並行的に進められるので、リベンジ映画としての厚みを増す作りになっている。被害者側に集中して描かれた大作『ユリイカ』(2000年)と、加害者側家族を描いた『誰も守ってくれない』(2009年)を程よくブレンドしたような作品だ。
 また、リベンジ映画としても、リベンジを達成した『告白』(2010年)などを、バージョン・アップしたような見ごたえがある。さらに、アクション・シーンも計算された演出ぶりだ。主人公と加害者の追逃走アクトと対決シーンや、村上淳サイドでは、廃墟と化した雪の元炭鉱街での、佐藤浩市との対決シークエンスなどだが、サントラを流さずに、ハアハア息咳切ってるところなど、生身の対決らしさをそのまま表現している。加えて、演技陣だが特に、初の映画出演というシンガーソング・ライターの、山崎ハコが怪演技ぶりで魅せる。目を剥いたり瞳を動かせたりと、目の表情演技にインパクトがある。
 さて、タイトルの意味は「天国のお話」であるが、その天国的な逸話は全9章に分かれた本編の、ラスト・エピソードで披露される。復讐譚のままで終わったのでは、観客を突き放してしまい迷わせかねない。そこで、この第9章が存在するのだ。各登場人物たちの、さまざまな絆が結ばれる感動編となっている。
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