topへ
記者会見(過去)
旧作映画紹介
シネルフレバックナンバー プレゼント
  『はやぶさ/HAYABUSA』
  竹内結子記者会見
新作映画
★はやぶさ/HAYABUSA

(c) 2011『はやぶさ/HAYABUSA』フィルムパートナーズ
『はやぶさ/HAYABUSA』
〜「はやぶさ」=「なでしこジャパン」に通じる思い〜

(2011年 日本 2時間20分)
監督:堤幸彦
出演:竹内結子、西田敏行、高嶋政宏、佐野史郎、山本耕史、鶴見辰吾、筧利夫、甲本雅裕、生瀬勝久、マギー

2011年10月1日(土)全国ロードショー
・竹内結子記者会見⇒ こちら
・公式サイト⇒
  http://hayabusa-movie.com
人間と同じ動きが出来るロボットが登場し、アイボなるロボット犬もいる今、スピルバーグ「A.I.」のようにロボットに感情移入してもおかしくない。だが、まるでロボットのような惑星探査機「はやぶさ」に「頑張れ」と声援を送り、大気圏に突入して燃え尽きた時にはこみあげるような思いにかられたのは不思議だった。

 昨年、はやぶさが快挙を成し遂げた時から「これは映画になる」と思った。2003年5月に打ち上げてから小惑星「イトカワ」着陸に成功、昨年6月の奇跡の帰還まで丸7年、途中、3週間もの通信途絶という大ピンチもあった。だが、月以外の小惑星から物質を持ち帰るという、米NASAにも出来なかった快挙を日本のJAXA(宇宙航空開発機構)が成し遂げて日本中を沸かせた。先ごろ国民栄誉賞に輝いた「なでしこジャパン」にも匹敵する快挙ではないか。どちらも“世界一(初)”なのだから。
 感動の要因は探査機自体の高度な性能。打ち上げ延期に始まり、何度も何度も絶望視されながらその都度、自力で態勢を立て直し、不死鳥のように甦った生命力にほかならない。「ぶれて態勢が崩れても回転しながら自ら元通りにする」能力は“主人公”の資格十分。「どんなことがあっても絶対あきらめない姿勢」もまた、なでしこジャパンに通じる理念だろう。
 映画は対外協力室長(西田敏行)と臨時雇いの宇宙科学研究所員(竹内結子)を案内役として進む。スタッフは数が多過ぎて覚え切れないほどだが、プロジェクト責任者(佐野史郎)、エンジン開発(鶴見辰吾)、カメラチーム(高嶋政信)、サンプラー開発(山本耕史)、サイエンスマネージャー(高橋長英)ら、どんな仕事か分からないのは説明不足というよりも、主人公が「はやぶさ」だから。それぞれの段階で画面に登場するスタッフが代わるのも“引き立て役”を心得ているからだろう。西田と竹内だけが出づっぱりで、竹内の博士論文挑戦というもうひとつのドラマが薄くなるのもやむを得ないか。
 映画も小説も「人間を描く」のが目的。とすれば探査機映画「はやぶさ」がもたらす感動は不思議。竹内が「はやぶさ君」として語る擬人化、「はやぶさ」チーム・スタッフへの同調のためといえるだろう。“宇宙”に夢を馳せたのは手塚治虫の漫画から、だった。今ではSF映画で普通に見られる壮大な宇宙の風景も最初は手塚漫画で見た。小4の時に珍しい皆既日食を観測して、天文学者を夢見たこともあった。「天文学は数学」と知り竹内結子と違ってとっとと断念したが、宇宙の果てしない虚無や、はやぶさの“孤独な旅”は想像出来る。

 映画で宇宙を見たのはキューブリックの「2001年宇宙の旅」(1968年)。CGなどない時代なのに、まるで実際に宇宙で撮ってきたような映像と壮大な宇宙観に引き込まれた。当時、木星探査など日本ではいつのことかと思ったものだ。有人木星探査機は間に合わなかったが、映画の設定より10年遅れただけで、無人探査機の小惑星探査機映画が日本で見られたことは感慨深い。

 「2001年宇宙の旅」のラスト、流星群とともに画面に飲み込まれるようなサイケデリック映像に圧倒された。その先は胎児の映像が浮かびあがり、キューブリック魔術に幻惑されたものだが、実際の終着点として見せたのが「はやぶさ」が持ち帰った結末だった。

(安永 五郎)ページトップへ
   
             
HOME /ご利用に当たって