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記者会見レポート
 『おおさかシネマフェスティバル』表彰式
『第3回おおさかシネマフェスティバル開催』
〜和央ようか、チャン・チェン、
         谷村美月ら豪華スターが出席〜


 映画ファンのための映画まつり「おおさかシネマフェスティバル」が、2月29日から3月2日までの3日間、大阪歴史博物館で開催された。最終日には、主演女優賞を受賞した、元宝塚歌劇団のトップスター、和央ようかさんが出席。外国映画部門の主演男優賞を受賞したチャン・チェンさんを台湾から迎えたほか、華やかな顔ぶれに、満席の観客の期待と感動の熱気が会場を包んだ。
 『茶々―天涯の貴妃(おんな)―』の茶々役で映画初出演し、主演女優賞を受賞した和央ようかさんは、タイトなパンツルックとハイヒールで登場。すらりと美しい長身が一層輝いてみえた。「初めての映画出演で、主演女優賞をもらい、恐縮しています。私のことを、自分のこと以上に熱く応援してくれるファンの方々のおかげと感謝しています。賞を励みにこれからも私らしく頑張りたい」と挨拶。
 『呉清源 極みの棋譜』他で外国映画部門の主演男優賞に輝いたチャン・チェンさんは、黒のサングラスに黒のスーツ姿で颯爽と登場。「田荘荘監督に感謝したい。また、呉清源さんに感謝したい。彼の信仰、信念はすばらしく、彼のようになりたいと思う。あらためてお礼を申し上げたい」と心のこもった挨拶。
 監督賞(『松ヶ根乱射事件』『天然コケッコー』)を受賞した山下敦弘さん、脚本賞(『松ヶ根乱射事件』)を受賞した向井康さん、撮影賞(『天然コケッコー』)を受賞した近藤龍人さんは、ともに大阪芸術大学映像学科の卒業生。山下さんは「大学から8年間大阪に住み、自主映画をつくってきた。バイトの人達には『映画を辞めて早く就職しろ』と言われたが、ようやく認めてもらえるような気がする。撮影、脚本と、3人でまた受賞できるような作品をつくっていきたい」、向井さんは「オリジナルの作品で賞をもらえたことを誇りに思う」、近藤さんは「スタッフを代表してこの賞をもらえたと思う。いろんな人に観てもらえるような作品をつくりたい」と、それぞれ受賞の喜びを語った。
 表彰式に続いて、記者会見が行われた。
昨年の新人賞に続き、今年は『檸檬のころ』『茶々―天涯の貴妃(おんな)―』『魍魎の匣(もうりょうのはこ)』で助演女優賞に輝いた谷村美月さんは、現在、大阪の高校に通う17歳。「いろいろな作品、スタッフに恵まれました。これからもスタッフの方々の力を借りて、すてきな映画に関わっていきたい」と爽やかな笑顔で挨拶。
 『パッチギ!LOVE&PEACE』で新人賞を受賞した中村ゆりさんは「(井筒和幸)監督とスタッフのおかげと心から感謝しています。これからも頑張っていきます」と思いを込めた。

  『しゃべれども しゃべれども』で、同じく新人賞を受賞した、11歳の森永悠希くんは「初めての映画で緊張していましたが、とても感謝しています」と元気に挨拶。

  京阪神で映画を撮ることについて、山下監督は「大阪を離れて4年経つが、住んでいた時には気づかなかったことがわかってきた。当たり前にみえる大阪の風景、人々の雰囲気を独特に感じる瞬間がある。まだ踏み込めない気もするが、井筒監督のようなところにいけたらいいなと思う」、脚本の向井さんは「標準語でいつも脚本を書いているが、同じセリフでも大阪弁だと変わってくる。井筒監督、阪本順治監督以上のものがつくれるか、その突破口が別の角度からみつかればいいと思う」と話した。
 和央さんは「映画の主演と聞いてびっくりしたが、賞をもらって同じぐらいびっくりしました。ファンやスタッフの方々と喜びを分かちあえたらと思います。時代劇でデビューするとは思ってもみなかったが、何でもやってみるとそこから道が開けると思いました。現代劇でも何でも取り組んでいきたい」と感慨深く語った。チャン・チェンさんに初対面した感想を聞かれ「控室でサングラスをしている姿をみて、本当にかっこいいと思いました」。それを聞いたチャンさんは「とても嬉しいです。一緒に映画に出る機会があるといいと思います」と笑顔で答えた。
 和央さんは、「ベルサイユのばら」のリクエストに対し、「ベルばらは、宝塚の十八番(おはこ)ですが、原作者の池田理代子さんのものであり、可能性がないわけではないと思います」と和央ファンには嬉しい言葉で締めくくった。

  おおさかシネマフェスティバルでは、表彰式に先立ち、3月1日には、大映の黄金時代を支えた監督の一人で、昨年12月に急逝された田中徳三監督を偲び、同監督の代表作で、勝新太郎をスターに押し上げた『悪名』他が上映された。
  また、29日には、日本映画の父といわれる牧野省三を父とし、仁侠映画のブームをつくった映画監督・マキノ雅広の生誕百年記念として、同監督の傑作『次郎長三国志』シリーズ(東宝)から『第三部 次郎長と石松』他を上映。お人よしで惚れっぽい森の石松を森繁久彌が演じ、人情味あふれる映画の世界は観客を釘付けにした。
 大阪城の見える大阪歴史博物館での3日間。内外から多くの豪華なゲストを迎え、1953年の白黒の時代劇から2008年公開の新作まで、新旧、計8本の日本映画が上映され、観客は存分に楽しんだにちがいない。これをきっかけに、今まで観なかったジャンルの映画にも興味を持ってもらい、劇場へ足を運ぶきっかけになればいいと願うばかりだ。
(伊藤 久美子)ページトップへ
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