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記者会見レポート
『きみにしか聞こえない』 成海璃子 インタビュー

『きみにしか聞こえない』

(2007年、日本、1時間47分)
原作:乙一
監督:荻島達也
出演:成海璃子、小出恵介、片瀬那奈、石川伸一郎、高田延彦

6月16日より梅田ブルク7 、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネカノン神戸他にて公開

 友達もいず、ひとりぼっちの女子高生のリョウ。公園で拾ったおもちゃの携帯電話が鳴り、見知らぬ青年シンヤとつながる。二人は、頭の中の空想の電話をとおして、会話を重ねる。寂しさを抱えた心と心が通じ合う中で、内気だったリョウが少しずつ変わっていく…

  リョウを演じる14歳の成海璃子さんは、『神童』、『あしたの私のつくり方』、『きみにしか聞こえない』と、今年3本の主演映画の公開が続いており、今、最も注目されている若手女優の一人。その演技力は高く評価されており、14歳とは思えない大人びた表情は観る者を釘付けにする。そんな成海璃子さんが映画のキャンペーンのために初めて来阪。作品の魅力について語ってくれた。
Q:ご自身の主演作が3本続けて公開されることについて、女優として、どんなふうに思っていらっしゃいますか。

 3本とも、全然違う役柄を演じていて、ちゃんとそれぞれ3人になりきれるよう精一杯やりました。去年撮ったものが今年、全部公開されることはとてもうれしいです。

Q:原作は読まれましたか?

あえて読まなかったです。というのも、原作と脚本とイメージが違うと聞いていましたので。

Q:脚本を読んだ時の印象はどうでしたか?

 とてもきれいなお話だと思いました。頭の中の携帯というのが最初はよくわからなくて、スタッフといろいろ話し合い、芝居の中で自分なりにイメージしながら演じました。

Q:どうやって役柄に自分を近づけていくのですか?

 リョウは、繊細な子で、人の言葉をものすごく真剣に受け止めるし、受け止め過ぎちゃうところもあって、とても傷つきやすい。リョウもシンヤも二人とも言葉を失なっている人たちだと思います。二人が頭の中の携帯電話を通して心が通じ合っていく。リョウの閉じていた心がだんだん開いていくところを丁寧に演じたいなと思いました。

Q:傷つきやすいところは、成海さんご自身と通じるものはありますか? 

 あまり自分と比べたことはありませんね。脚本を読むにしてもリョウとして読むし、お芝居している時もリョウとしてその場にいる感じなので…。

Q:相手役の方に、大人の人が多いですが、そういうことに違和感とかありませんか?

 それはないですね。作品全体の中で、役をちゃんと演じることだけに集中していますので。

Q:言葉を大切にされたということで、最初と最後で言葉も変化していくかと思うのです
が、表情やしぐさも、演じる中で自然に変わったり、または意識して変えていったりしたところはありますか?


 頭の中で話していても、声に出さないわけじゃないですか。いつもの芝居の時以上に、いろんなことを想像しながらやっていました。頭の中の携帯は、私は使ったこともないし、相手役の方が目の前にいるわけではないので、シンヤさんはどういう感じなのか、全部想像しながらやっていました。
Q:演じる前に小出さん(シンヤ)の声を聞いたことはありましたか?

 本番中も、音声は流していました。

Q:ここ数年で、考え方や感じ方が変わったなという部分はありますか?

 もちろん、変わりましたね。演技が本当に好きになりました。とても最近のことです。
前のことは別ですね。『瑠璃の島』あたりがスタートだと思います。

Q:演技のどういうところが魅力ですか?

 演じているときが一番楽しいですね。
 自分の伝えたいことが、観た人にちゃんと伝わっていることがわかったら、とてもうれしいです。

Q:この作品では、どんなことを伝えたいですか?

 そばにいなくても自分の気持ちをちゃんと言葉にすることの大切さ、相手のことを思いやることの大切さを感じてほしいです。

Q:監督から細かい演技指導はありましたか?

 リョウについては、細かい打ち合わせはしていません。私が思うリョウをやらせていただきました。

Q:しゃべっていない時の表情もすばらしいですが、なりきっているという感じですか?

 リョウの顔をしているのだと思います。

Q:風景的にどのシーンが好きですか?

 鎌倉の海に向かってリョウが叫ぶところです。景色もきれいですし、陽が落ちてしまうか、間に合うか、ぎりぎりのところで撮ったので、そういう苦労があるからこそ、きれいに撮れたのだと思います。シーン的にも、ずっと閉じていたリョウの心が、大きな声を出すことによって、大きく開いたシーンだと思います。

Q:海に行って、物思いにふけったりすることはありますか?

 海は本当に好きですね。

Q:とても美しいお肌ですが、日焼けには気をつけておられますか?

 2年前の『瑠璃の島』のとき、焼けてもいいやと思って、何もしないでいたら、すごくガングロになっちゃって(笑)、今になって気をつけています。

Q:目指している女優、またはこういうところを見習いたいなという女優さんはいますか?

 今はいないですね。誰かを目標にしてしまうと、その人にすべてが似てきてしまうじゃないですか。そうなるとそれは自分じゃないので、自分は自分のままで頑張ればいいと思っています。

Q:5年後、10年後に、どんな女優になっていたいですか?

 テレビや映画やいろいろある中で、何か一つにこだわらずに、幅広くやってみたい。舞台とかやったことのないことに挑戦したい。コメディを一回もやったことがないので、今、すごくコメディに興味があります。一番難しいとは思いますが、やってみたいです。

Q:コメディ映画を観たりしますか?

『スクール・オブ・ロック』のような映画がすごく好きですね。

Q:女優として、何か気をつけていることはありますか?

 普段から自分が女優だということを忘れる瞬間はないんですよね。休みの日でも一日中、寝て過ごしたりはしないですし、時間があったら絶対映画を観るようにするし、街でよく人を見たり(観察)しています。

Q:普段から女優として気をつかったり、将来への展望を持ったり、いつ頃からそういうふうにしていこうと思ったのですか?

 すごく最近ですね。なにか大きく変わったことがあったと思います。自分の女優としての意識や、役への入り込み方が、ちょっと前とは、全然違う気がします。特にこれ、ということはなくて、いろんな現場に参加させていただいているうちに、こうなったと思います。

Q:演じるのが楽しくなる以前は、仕事という感覚でやっておられたのですか?

 以前は、今よりももっと感覚的にやっていたのだと思います。台本の読み方も違いました。そのときはそのときで楽しかったのですが、考え方が違ったと思います。

Q:役柄に入り込むということですが、セリフはどうやって身体に入れていくのですか?

 セリフは覚えるつもりで読んでいないですよね。脚本は活字ばかりで書いてあるのですが、活字の裏を読んでますね…、私は。ストーリーの流れと役の心情をずっと追いかけて、それを全部体に入れていくんです。だから現場に台本を持っていかないです。セリフを覚えるとかの問題じゃないんですよね。自然に体に入っていく感じなんです。
 これも最近のことです。ちょっと前は「セリフを覚えていこう」と思っていましたが、そうじゃないな、と。

Q:どういう映画が好きですか?

 こだわりは全然なくて、人から薦められたものを観たりしています。
 音楽がすごく好きなので、『スクール・オブ・ロック』や『あの頃ペニー・レインと』や、音楽が入っている映画は好きですね。

Q:音楽を好きになったきっかけみたいなものはありますか?

 小さい頃からピアノを習っていたというのと、椎名林檎さんがすっごく好きで(笑)ずっと歌っているんですよ。

Q:歌を歌う仕事は?

 仕事としてはないだろうと思います。歌でしか生きていけない、と思わないときっとできないと思います。私はお芝居でやりたいです。

Q:大阪はよく来られますか?

 今回、初めて来たんですよ。京都も行ったことがありません。今日、お昼にたこ焼きを食べて、大阪なんだなぁと思いました。(笑)
 自分のイメージの大阪、にぎやかなところをまだ見ていないので、ぜひ見たいですね。

Q:地方に行ったら、楽しみにしていることはありますか?

 食は自分にとって大切ですね。おいしいものを食べると頑張ろうと思えますし。

Q:普段、食事の面で、気をつけていることはありますか?

 運動する時間がないので、野菜ばかり食べています。ずっとお肉ばかり食べていると、体も少し変になっちゃうので、体にいいものを食べるようにしています。

Q:最近、はまっている食べ物とかありますか?

 はやりとかに動かされないんです。いつもは野菜中心の食生活なんですけど、
お肉なら鶏肉が好きで、お母さんのおつまみを私も食べたりします。
 沖縄料理が好きで、家でも作ったりしています。

Q:5歳のときに、ご自身の意思で、この世界に入られたきっかけは?

 芝居とか女優とか、よくわかってなくて、ただ単純に、テレビに出たい!と。母が劇団に入れてくれたので、今、私はこうしてここにいますし、今でも、家族はすごく応援してくれています。

Q:最初からお芝居が希望だったんですか?

 テレビはジャンルが広く、芝居をやってみたらと言われたのだと思います。ただ、そのときの記憶はあまりありません。

Q:『1リットルの涙』で拝見した折、舞台に立っている貴女を観たいと思ったのですが、その予定は?

 まだわかりませんが、ぜひ出てみたいです。

Q:天才的と言われることについては?

 天才って何でしょうか。努力しないで何でもできる人っていないと思います。私自信、努力は必要だといつも思っています。

 端整で美しい顔立ちに、大人びた表情。14歳とはとても思えない落ち着きぶりに、思わずうっとり見とれてしまった。つい最近、大きな変化を体験し、女優としての自分に自信を持ち、演じることに手ごたえを感じている璃子さん。これからも果敢に演技に向かっていこうとする真摯な気持ちが伝わった。好きな音楽や食べ物の話になったときの、屈託のない笑顔も印象的。これからどんな女優さんになっていくのか、今後の活躍が大いに楽しみだ。

  まずは、今年公開の3作品を観て、凛とした美しさと切ない表情に酔いしれてください。

(伊藤 久美子)ページトップへ
『0(ゼロ)からの風』  合同インタビュー

「0(ゼロ)からの風」 

〜一人の母親が起こした奇跡の風
     ・・・命の尊さ大切さを伝えていこう!〜


(2007年、日本、1時間51分)
制作・配給:ウィル・ドゥ
監督:塩屋俊 脚本:江良至
出演:田中好子、杉浦太陽、豊原功輔、袴田吉彦、田口トモロヲ

6月30日〜なんばパークスシネマにて公開

公式ホームページ→

 「世の中は不公平だ」と思ったことはないだろうか。罪のない多くの人々が、理不尽な形でこの世を去っている。ニュース映像で事件の報道を見て、心が痛むことがあっても、次第にそれは風化されていく。だが、被害者家族の中では、癒されることのない悲しみが消えることはない。どうしようもない現実に、ただ諦めることしかできない人も多いだろう。しかし、ここに厳しい現実と闘い続けた、一人の母親がいた・・・。今作は、57歳の鈴木共子さんの実話を基にフィクションで描かれている。

  夫に先立たれた、圭子(田中好子)は一人息子の零(杉浦太陽)と仲良く暮らしていた。そんな彼女に、あまりにも突然の悲劇が襲う・・・。免許失効中・泥酔状態の無謀な運転者の事故により、最愛の息子を奪われる。零の死を受け止められない日々の中、加害者に下された刑は「業務上過失致傷罪」の5年。刑の軽さに疑問を感じた圭子は、息子のために闘おうと立ち上がる。仲間たちと共に2年間街頭にたち、約37万人の署名を集め、刑法改正をすべく、一般市民による初めての法改正となる「危険運転致死傷罪」の新設を成し遂げる。だが、彼女の戦いはそれだけに留まらず、「息子の人生を代わりに生きるのだ」と、自ら大学への入学を果たす。そして、彼女の勇気ある行動は、世の中に少しずつ奇跡を起こしていくのだった・・・。

  いつも笑っている穏やかなイメージの田中好子の面影は、どこにも存在していない。最愛の息子を奪われた悲しみ、犯人への消えることのない憎悪・・・。原作のモデルとなった鈴木さんの魂の叫びが、乗り移ったかのような迫真の演技であった。

  物語の中で、「圭子さんは強いね」と、いう言葉をよく耳にした。確かに彼女が成し遂げたことは、強くなければできなかったことだろう。だが、強い気持ちで前を向いて歩かなければ、いつでも闇に落ちてしまう状況を考えると、彼女の強さが痛々しかった・・・。

  「息子のために闘おうと決めた。でもそれ以上に、自分と同じような苦しみを抱える人を増やしたくない」彼女の言葉が胸に突き刺さる・・・。私たち一人一人の意識によって、世の中をいい方向に変えていける。命の尊さ、重さを、改めて考えるべき時なのだろう。

  物語のエンドロールでは、実際に鈴木さんが企画した「生命(いのち)のメッセージ展」で紹介されている、不業の死をとげられた121名の名前が綴られている。そんな彼らのメッセージをぜひ、受け取ってもらいたい・・・。


  4年前、57歳の鈴木共子さんが早稲田大学に入学したニュース映像を見た塩屋監督が、「この人の挑戦を映画化しなくてはならない」という強い衝動を感じたことから、生まれた作品である。彼女は、免許失効中・泥酔状態の無謀な運転者の事故により、一人息子を奪われた。だが、加害者に下された刑は「業務上過失致傷罪」の5年。刑の軽さに疑問を感じ、仲間たちと共に2年間街頭にたち、約37万人の署名を集め、刑法改正をすべく、一般市民による初めての法改正となる「危険運転致死傷罪」の新設を成し遂げる。彼女の戦いはそれだけに留まらず、「息子の人生を代わりに生きるのだ」と、自ら早稲田大学への入学を果たすのだった。本作は、彼女の実話を基に、フィクションで描かれている。

 この映画化にあたり、塩屋俊監督、主人公である圭子役の田中好子、圭子の一人息子、零役の杉浦太陽、そしてモデルとなった鈴木共子が来阪。合同記者会見を行った。

Q.まず、この作品への思いをお話頂けますか?

監督:映画を作るチャンスをくれた共子さんに感謝したい。この映画は約200社の企業の協賛、寄付金で作られました。それを取りまとめてくれたのが大阪の方であり、僕にとって一番映画がつくりやすい環境の大阪で、95%のロケを行いました。

鈴木:自分のことが映画になる実感がなく、こんな体験ができる人はなかなかいない。でも、正直映画を見て悲しかった・・・息子は映画の中でしか生きられないのかと・・・。

田中:撮影中は毎日辛くて、共子さんの心の叫びを、一人でも多くの人に伝えなければという責任を感じていました。映画を見た時、いつもの私じゃない・・・共子さんの魂が自分に乗り移っていると思いました。本当の意味で被害者の気持ちはわかりません。ただ、皆さんにも、いろいろな角度や視点から見て頂いて、命の重さを感じてもらいたい。かならず気付くことがあるはずです。

杉浦:先日、風見しんごさんの娘のえみるちゃんの事故を聞いて、心が痛みました。彼女は僕のウルトラマンコスモスのファンということで・・・命の大切さは普段気付かないもので、命の尊さ・重さを皆さんに見つめて欲しい。

Q.4年前から企画されていたということですが、この間どのようなやり取りがあったのか、難しかった点などはありましたか?

監督:台本は数十回書き直しています。共子さんがこの作品を見て、彼女に受け入れてもらえなかったらどうしようと、緊張していました。今日からがまさに、ゼロからの出発。作るだけでは意味がないので、全国にひろげていきたい。
Q.それぞれ実在する方がいる役を演じるにあたって、難しかった点、影響を受けた点はありますか?

田中:今までにも実在する人物はやらせて頂いていますが、これほど責任を感じたことはありません。共子さんの気持ちを本当に表現できているのか・・・だけど、今までは役に少しでも近付こうと思っていますが、今回は成りきったという確信があります。


杉浦:自分と零君は同じ年で、亡くなった19歳の同じ時に、僕も上京してきました。零君も夢を持っていた少年で、どんなことを思っていたのだろうかと考えていました。それと、自分の母への感謝の気持ちを重ねて演じていました。
Q.関西を中心の撮影現場で感じられたことや、エピソードはありますか?

田中:午後から雨のシーンがあったのですが、空に向かって零君に話しかけていたら、本当に大雨になって・・・現場には見えない力があって、零君が力を貸してくれてるんだと思いました。ホテル住まいが1ヶ月続いたのですが、よくマッサージに通っていました。そんな癒しの時間を過ごしながら、「私はなんて幸せなんだろう」と、感じていて・・・でも共子さんは癒される時間もなく、心の叫びを訴え続けていると思うと、本当に辛かった。

Q.杉浦さんは大阪出身ですが、地元での撮影はどうでしたか?

杉浦:空いた日は実家に帰っていました。大阪には、田中好子さんと、鈴木共子さんと、自分の母と、3人の母親がいて、不思議な感覚で(笑)すごく嬉しくてあったかい気持ちで撮影ができました。

Q.関西ハリウッド化構想を考えておられる監督ですが、ボランティアスタッフの活躍ぶりが大きかったそうですが、撮影現場の様子はどうでしたか?

監督:寄付金で作られた、非常に厳しい撮影状況の中で、やる気いっぱいの若い大阪の学生のパワーを感じました。30名ぐらい使いましたが、彼らがいなければこの作品が出来ていません。彼らにチャンスを与えながら若い人材を育てていきたい・・・といいながら、育てられたのはこっちかな(笑)

Q.では最後に一言ずつお願い致します。

杉浦:メッセージ性の強い映画です。命の重さ・尊さを見てもらい、一人一人の意識で変わっていくのだと感じてもらいたい。

田中:この映画をみて下さった方が、家族や友達など、一人でも多くの人に命の重さを考えられる映画だということを、伝えてもらいたい。

鈴木:生きていることは当たり前じゃないということを感じて欲しい。息子をはじめ、理不尽な形で亡くなられた方の、痛切に生きたかった一日だということを感じてもらいたい。

監督:鈴木さんから「田中さんは私以上に私に似ています」という言葉をもらい、これ以上の評価はないと思います。これから始まったばかりなので、大きく育てていきたい。そしてぜひとも最後のエンドロールまで見て頂きたい。協賛企業約200社、そして、キャスト欄で赤い糸で括った枠があるのですが、共子さんが開催されている「生命のメッセージ展」で紹介されている、不業の死をとげられたメッセンジャー121名の名前をいれています。それを目に焼き付けて、彼らのメッセージを受け取ってもらいたいと思います。

 それぞれの方の作品に対する強い思いと、人々に命の重さ伝えたいという気持ちが、眼力や話す姿勢から感じ取ることができた。田中好子さんは、時折目に涙を浮かべ、静かに自分の心の叫びを語っていた。その姿を見ていると、こちらも胸が締め付けられるようだった・・・。これから一人一人の意識によって命の尊さを考え、このメッセージを伝えていかなければと感じた時間であった・・・。
(田中 はる)ページトップへ
『アコークロー』 主演・田丸麻紀さんの囲み取材

『アコークロー』

〜初夏にピッタリ。
 沖縄の妖怪キムジナーが楽園の穏やかさをかき乱す琉球ホラー〜


(2007 日本 1時間37分)
監督・脚本 岸本司
出演 田丸麻紀 忍成修吾 尚玄 エリカ

6月23日(土)なんばパークスシネマ 京都シネマ
公式ホームページ→

 名護市出身の岸本司監督をはじめ、その他の製作スタッフ・キャストを沖縄出身者で固めた日本発のメイド・イン沖縄フィルム『アコークロー』。沖縄に古くから伝わる“キジムナー”の妖怪伝説をモチーフとした本作は、今まで沖縄を舞台にして作られてきた作品と比べ完全に異質な雰囲気を醸し出している。青い海を封印し、誰もが抱く沖縄のリゾートイメージを一新。沖縄独特の風土やしきたりを生かした恐怖作品に仕上げた。

  主人公は、ある罪悪感から逃げるように東京から沖縄へと移住してきた女性・美咲(田丸麻紀)。彼女は、人生をリセットし、恋人の浩市(忍成修吾)と始めた新しい環境での生活に幸せを感じていた。だが、気の合う友人にもめぐり会えた矢先に事件は起こる―。キジムナーのように赤い髪をした女の出現により、美咲の人生は思わぬ方向へと転がっていくのだった。

  映画の中で様々な恐怖に直面する美咲役を演じたのは、モデルから女優へと転身をとげた田丸麻紀。本作の撮影中は、東京(ドラマ)―大阪(バラエティ)―沖縄(映画)を行ったり来たりのハードスケジュールだったという。そんな体力的にもキツイなか、堂々と映画初主演を飾った彼女にインタビューを行った。
―――今回、初主演ですがプレッシャーはありました?

そうですね。緊張感はあったんですが、主演だからといって特別というより、今はどんな役にも全力投球なので。でも、本当にみんなに頼りながら頑張りました。

―――脚本を手にされたときの印象は?

ホラーと聞いて初めはヒヤヒヤしながら読んで、一回目はもう夜に読むのはやめようと…。でも、2回3回と読んで行くうちに、人間の弱さ強さ、深層心理的なものが見えてきて、怖いとは違う視点で読めるようになりましたね。

―――怖いのは不得意なんですか?


はい。もう本当に嫌いで…。初めは主演でホラーって聞いたときに「どうしよう…」って思ったのですが、単なるホラーではない面白さに気づいてからは大丈夫でした。

―――どんな所に面白さを感じました?

私が思っていた沖縄の青い海、青い空っていうリゾートっぽいイメージと、全く違うもうひとつの沖縄を見せてくれるところ。あと、目的さえはっきり決めていれば、何度でも再生できるんだという人間の強みに共感しましたね。

―――役作りで気をつけた点は?

トラウマを持っている女性の役なのですが、不安定だからこそ人に優しさをもって接したりとか、か弱いんだけれども芯の強い女性を表現しようと心がけました。

―――“キジムナー”の存在はご存知でしたか?

いいえ、この映画に携わるまで全然聞いたこともない言葉でした。でも、沖縄の人にはなじみ深いもの。その辺にいる子供たちに「キジムナーって知ってる」って聞くと、「僕の家の玄関にいる」とか「木の上にいる」って教えてくれて(笑)沖縄では生活の一部なんですよ。

―――“キジムナー”は人によってもつイメージが違うものだと聞きました。田丸さんは“キジムナー”はどういうものだと思いますか?

私は、人間の中にある罪悪感と不安だと思います。誰もが持っている心の中の不安を写し出したものかな。

―――撮影はどこでされていたんですか?

本島の糸満です。観光地ではない田舎の方ですね。沖縄を舞台にした映画ってたくさんありますけど、沖縄のスタッフで作った映画というのは今回が始めてなんです。なので、すごくローカル目線の映像で、沖縄を無理やり主張していない、本当に生活している沖縄がたくさん映っている。出来上がりを見たとき、それがとても面白かったですね。

―――恋人役の忍成さんの印象は?

なんて肌ツヤの良い、キレイな男性なんだろうと。作品の中で、忍成さんの方が先に移住している恋人という設定で、私が追いかけて行く役なのに、再会した時点で私の方がコンガリ日焼けしているという(笑)でも、演技が始まるとすごいプロフェッショナルな集中力を持っている人でした。

―――監督はどんな方でした?

監督は迷いのない人。沖縄らしい穏やかさをもって、無駄なところにエネルギーを消費しない。自然と共存しながら撮影を進めていく感じですね。欲しい言葉をポンとアドバイスしてくれるので迷わなくてすみました。私が演じた美咲って、トラウマを抱えて沖縄に逃げてきて、さぁこれからという時に大きな事件に巻き込まれる。そんな役柄の不安に感情移入して、つい涙してしまうシーンが多かったんです。でも、監督がそこで、美咲は本当に不安で恐いことが多いけれど、涙を見せるというのではなく、彼女の芯の強さ、壊れそうなんだけれど必死で立っている儚い強さというものを残したい。だから泣くよりは、恐怖をなくして凛とそこに立っていて欲しいと言われました。それで、もう一度美咲像を見直せたりしましたね。

―――本作で今までとは一風違う役を演じて、一皮むけた田丸さんが今後どんな役をやってみたいですか?

関西弁でお芝居したいですね。コントでも何でも(笑)生まれもった言葉が関西弁なので、標準語でお芝居するときは、なんとなく一枚フィルターを通して関西弁から置き換えているような気がするんですね。なので、それが無くなったとき、どんな表現ができるのか楽しみです。

(中西 奈津子)ページトップへ
『檸檬のころ』 谷村美月&岩田ユキ 合同インタビュー
『檸檬のころ』

(07・日本/115分) 
監督・脚本 岩田ユキ
出演 榮倉奈々 谷村美月 柄本佑 石田法嗣 林直次郎

6月16日(土)第七芸術劇場 シネマート心斎橋
 田舎の高校に通うどこにでもいる普通の高校生の輝ける青春を、そのまま切り取った『檸檬のころ』。初めての恋。初めての片思い。初めての告白。初めての仲間…と、その初々しい“レモン”攻撃は、大人になってしまった私たちをタイムスリップさせ、甘酸っぱい“あの頃”へと誘ってくれる。

  ストーリーは主に恋愛が中心となる。学園のアイドル的存在の秋元加代子(榮倉奈々)と、野球部の西(石田法嗣)と同じく野球部の佐々木(柄本祐)の微妙なトライアングルゾーン。そして、軽音部の辻本(林直次郎)に一目ぼれした音楽ライターを夢見る少女・白田恵(谷村美月)。高校生活最後の半年間を舞台に、5人それぞれの心の動きを繊細なタッチで描く。

  キャストも本作にふさわしいフレッシュな顔ぶれが揃う。その中から、音楽少女の白田恵役を演じた谷村美月が、先日大阪の十三で行われた会見に出席。作品について語った。
―――まず、共演者・監督の印象は?

榮倉奈々さんとは共演シーンが少なかったのですが、ひと言で言うとカッコイイ女性。ファンの方に好かれているのがよく分かりました。岩田監督は、まさしく白田さん(谷村が演じた役)のような感じです。監督をお手本にお芝居をしました。(カナリアで共演した)石田くんとは一緒の映画に出ているのに、全然会わなくて(笑)滞在先のホテルですれ違ったときに『久しぶりー』と言うくらいでしたね。でも5人みんな仲良かったですね。ギクシャクしない感じで話せたのですごく楽しかったです。

―――今回、演技初挑戦となる平川地一丁目の林くんとの絡みが一番多かったと思いますが、彼との共演はいかがでした?


そうですね、う〜ん。始めはやっぱり難しかったですね。林さんは初めてお芝居をするということで。いつもは私が役者さんに合わせて貰っていることが多いと思うんですが、今回は私が合わせる側だったので。少し大変というか、受け入れる側の難しさを知りました。
―――5人の中でムードメーカーは誰ですか?

石田くんですかね。いつもニコニコしていて現場のスタッフさんにも好かれていますし。映画の中ではキリッと難しい顔をしているのですが(笑)メイキングではすごくにこやかに、別人のように話をしているのを見てさすがだなと(笑)

―――劇中で谷村さん演じる平田さんは音楽に夢中になっていますが、谷村さん自身は好きなロック歌手とかいるのですか?

いないですねぇ。白田さんの音楽に対する熱い思いっていうのが、初めは分からなくて難しかったんです。それで、一番音楽に近い林くんにどんな感じなのかということを教えてもらったりしました。普段は、アンダーグラフさんとかよく聞いています。撮影後に林くんから平川地一丁目のCDを頂いたのでそれも聞いたりしています。

―――初めに脚本を読まれたときの感想は?

最初読んだ時は、私が今まで演じてきた役とは違うなと。どちらかというとシリアスな役が多かったので、明るい女の子の役に監督が私の名前を挙げてくれたのが不思議で。「私でいいんですか?」って聞いて確認しました。でも、最後には「白田さんは谷村さんでよかった」と言われて嬉しかったですね。

―――役と似ているところはありますか?

恋をしてすぐ顔に出てしまうところは私にそっくりだなと思います(笑)でも、私は結構恋愛には冷めてる方なので、積極的な白田さんをみてスゴイなと。分かりやすい女の子という部分では演じやすかったですけど、大声をだすとか叫んだりというのは難しかったですね。

―――撮影場所はすごく田舎だったとか?

そうなんですよ。携帯も通じませんし。一番近くのコンビにまで30分とか。でも、みんなで揃ってコンビニ行ったりするのは楽しかったです。オフの日には温泉に行ったり、映画を見に行ったりしました。映画館までも1時間半くらいかかるんですけどね(笑)でも、田舎の方がお芝居に集中できるし、辛い想い出のない現場でした。

―――完成品を見ての感想は?

私の今までの作品の中で、唯一ホッとして見れました。いつも怖い顔をしていたりとか、体を張るシーンが多かったりするので。例えば、車にはねられたりとか(笑)いつもつい「大丈夫かな」と、そわそわして見ている自分がいたのですが、今回はそういう意味では、一高校生として客観的に見れたのがよかったです。それに、私がとても楽しそうに見えました。あらためて「あぁ、楽しかったんだな」と思い返しましたね。振り返るとこの映画に出会ったタイミングがよかったなと。今演じると大人びた白田さんになりそうなので。

―――これから演じてみたい役柄とかありますか?

明るい女の子もまたやりたいですが、常に大声で叫んでいたり、異常なんじゃないかってくらい怖い役を思い切って発散してやってみたい。普通じゃない役がいいですね。

―――自分以外の出演者が出ているところで一番好きなシーンは?

榮倉さんと柄本くんのシーンで、「髪をさわらして」という場面です。

―――学校と女優の両立は大変?

今はすごくいい状態で両立出来ているなと感じています。高校の間はまだ、「大阪に居させて下さい」と。まだ親元を離れたくないというのもありますし。仕事で疲れても、次の日学校行ってノー天気に過ごすのが心地いい。今が楽しい分高校を卒業したらどうなるんだろうと、少し不安に。でも、お仕事も最近楽しくなってきているので、女優さんとして続けていけるなら頑張っていきたいと思います。

―――では最後にひと言

社会に出てお仕事をしている方がこの映画を見たら、5人の内誰かに照らし合わせて感じられる作品だと思うので、色んな方に自分の思い出と照らし合わせながら見て欲しいです。

 デビュー作『カナリア』から最新作にいたるまで、谷村美月という女優に対する印象はひとつ。彼女は与えられた役を“演じる”のではなく“生きている”。その役柄の人生を理解し、生きることが出来る稀な女優なのだ。その才能は今の若手女優の中でもピカイチ!しかし、実際の彼女は本当に普通の可愛らしい女の子だった。ひとつひとつの作品に愛着を持ち、家族を大切にし、学校生活を楽しむ。どうやら、普通の生活を送ることが、彼女にはピッタリくるらしい。そんな生活のバランスが、女優としての集中力を高めているのかもしれない。若いのに上手く心に余裕を作り出していることに、ちょっと感心してしまった。

 今後も『リアル鬼ごっこ』『恋路物語〜each little things〜』『魍魎の匣』と出演作が相次ぐ美月ちゃん。これからも彼女から目が離せない。
 監督:岩田ユキ

  注目される若手作家の一人。24歳の豊島ミホの原作『檸檬のころ』を、同じく今もっとも関心が集まる女性監督の一人であり、本作が初長編デビューとなる岩田ユキが映画化。
 
  高校時代の恋や未来に対するもどかしい思いを、男女5人の主人公たちに乗せて熱くせつなく描き出した。誰もが一度は経験してきた苦い思い。とっくに心の底に閉じ込めたと思っていた“カッコ悪い”はずの青春が、なぜかこの映画に触れると宝物のように輝き出す。そんな高校時代の青春に真正面から挑戦した岩田ユキ監督に、映画について話を聞いた。

―――原作者はまた監督の一世代下ですが、原作を始めて読まれたときの印象はいかがでした?

ジェネレーションギャップっていうのはそんなに感じませんでした。今、青少年がキレやすいとかどうのとかって言われていますけど、根本的な悩みはどの時代も変わらない。通じるものがあるなと。好きな人に振り向いてもらえたら天にも昇る気持ちだったりとか、逆に落ち込んだりとか。感情の部分ではどの世代も通ってきた道は同じなので。

―――その中で一番、どの部分に惹かれましたか?

谷村美月ちゃんが演じた白田恵の一編が私にはもうたまらないもので。まさにこれは自分の高校時代だと。冴えなくて、でも一生懸命カッコつけている感じ(笑)。そういう痛々しさ。でも走ったら何か得るものがある感じに惹かれましたね。

―――美月ちゃんが、白田さんは監督そのものだと言っていましたが、ご自身でもそう思われますか?

そうですね。でも、美月ちゃんが演じることによってかなり可愛くなりましたけど(笑)。白田さんの抱えている歪みの部分には、原作を読んだ時に共感しました。

―――初めに白田さんからイメージを膨らましていったんですか?

原作は短編集だったので、初めはオムニバス作品になるのかと思っていて、読んですぐプロデューサーに「白田さんの話は私がしたいです」ってお願いしたら、全部映画化するんだよと言われて。で、今の状態になりました。

―――榮倉さんと谷村さん2人の印象は?

榮倉さんは、キャピッとした感じかなと思っていたら、実際会うとすごく聡明な女の子でした。彼女は役をそのシーン全体の意味から考える理論派で、反対に谷村さんは感情から入るタイプ。白田さんがどんな気持ちでいるかを説明してあげると、自分の中で役をブワッとふくらませて演じられる女優さんですね。

―――監督も音楽がすき?

はい、とっても。白田さんのもっと冴えないバージョンです(笑)原作のストーリーにも惹かれたんですが、その中でさらに付加を付けたのが音楽です。私はバンドが好きで、ピローズとかサニーデイサービスとかバンド名がどんどん出てきて感動しました。バンドのコンセプトのように不器用だけど突っ走っちゃいなよっていう感じが好きです。

―――学園ものに抱くイメージってどんな感じですか?

学校の不自由な感じこそが、ドラマが生まれる場所だなと。修学旅行とか、嫌いな人と旅行させられるんですよ(笑)大人になればいくらでも逃げられるのに、学生時代はそこしか居場所がない。逃げ場がない中でやって行くしかないという不自由さ。色んな人間がひとつの教室に収められているからこそ、その中の社会とか。ドラマだなと。

―――監督の好きな場面と、この作品で一番描きたかったことは?

 文化祭のシーンで、加代子さんが白田さんに「あの詩よかったよ」って言ってあげる場面が私の一番描きたかったところでした。教室の中は狭いとはいえ、全く別の世界にいる遠い存在だった人に自分の作ったものが通じる感動。いつも仲良くしていた友達ではない人の方が、意外と忘れられない言葉をくれたりする。そのキラッとした瞬間を再現したいと思いました。

 あと、石田くんと榮倉さんがラストに電車の中で会ってリップクリームを返すシーン。その時に2人は心の中で、「これが最後だね」とか思ってはいるんだけど、それを口に出さずに普通の会話をしているあの空気がすごく愛おしいなと思います。私は、この演出をするときに、漫画でいう口の方の吹き出しじゃなくて、心の方の吹き出しでこういうことを考えているからそう思っておいてと常に言っていたんです。それがとてもよく出ているシーンじゃないかなと。お別れを言わずに、これが最後だという寂しさを心に秘めて日常会話をするリアルが、口に出して言っちゃう子より胸に来ます。

―――では、最後に映画作りにおいてこだわり続けたいことは?

ダメ人間というか、上手くいっていない人たちにスポットを当てたい。上手くいっていない中でも、何かをあきらめないで頑張るということは大事にしたいと思います。それが出来れば、宇宙人が主役でも何でもいいかなと(笑)そこがリアルであれば、どんな設定でも共感できると思うので。

 言葉を選びながら1つ1つ丁寧に質問に答えてくれた岩田監督。1時間10分(!)という長いインタビューの中で(全部ご紹介できなくて残念)、イラストレーターから映画にシフトしてきた経緯や映画に対する思いも語ってくれた監督。やはり初の長編映画ということで大変な部分も多かったようだが、脚本も絵コンテも手を抜かず「心臓に毛をはやす気持ちで意見を通した」と話す姿はなんだか頼もしい。そんな監督は次回作に向けて現在進行中。どんな作品かはまだ言えないとか。そんなわけで、まず『檸檬のころ』を楽しんでみて欲しい。

(中西 奈津子)ページトップへ
『ダイハード4.0』 ヒット祈願イベント
 「ダイハード4.0」  

〜12年ぶりのシリーズ最新作、“不死身の男”が帰ってきた!〜
          
(2007年 アメリカ 2時間9分)
 監督:レン・ワイズマン
 出演:ブルース・ウィリス,ジャスティン・ロング,マギー・Q

         
世界最速上映決定!
2007年6月23日(土)先行ロードショー
6月29日(金)ナビオTOHOプレックスTOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、 ほか全国超拡大 ロードショー!


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“なにわの街にジョン・マクレーンが現れた!?”

6月15日(金)大阪ミナミ NGK(なんばグランド花月)前、YES NAMBA広場にて、「ダイハード4.0」のヒット祈願イベントが行われた。会場には、先日行われた東京国際フォーラムでのレッド・カーペット・セレモニーで展示された“クラッシュ・カーオブジェ”を総額1000万円かけて移動して展示し、来場者の注目を集めた。

 また、吉本興業所属の若手お笑いコンビ「勝山梶」(かつやまかじ)も映画のヒット斬り込み隊長として登場。なおコンビ片方の勝山慎二は現在「ムーディー勝山」として大ブレイク中。

  先日も所属事務所の先輩である陣内智則&藤原紀香の結婚披露宴に“ムーディ勝山”として登場し、持ちネタの“ムード歌謡”を披露し、世間で大評判となった。

 勝山梶のふたりは、ヒット祈願のテープ・カットを努めた。知名度で相方に大きく遅れをとっている梶剛はジョン・マクレーンをイメージしたコスチュームで「今日から“なにわのジョン・マクレーン”でやります!」と宣言。ダイハード・シリーズ全作を見ているというふたりは、映画について「第一作を見たのが小学校三、四年生の頃」と語り、「映画にありがちな“ヒーロー”でなく普通のオッサンが、懸命に頑張っている姿が凄い!」とふたりはシリーズの魅力を語った。

  その後、“ムーディ勝山”の衣装に変わり再登場した勝山が「いきなり、巻き込まれた、
右から巻き込まれた〜♪」と大ブレイク中の“ムーディ歌謡”を披露。集まった約300人の観衆は携帯電話の写メを撮りながら大さわぎとなった。

  シリーズ一作目から18年。“不死身の男”主人公ジョン・マクレーンは、当時降盛を誇ったハリウッドのマッチョ系ヒーローたちとは明らかに異質な個性を放っていた。見た目もさえない中年男であり、敵の猛攻を浴びてボロボロに傷つき、そのたびに「なぜ俺がこんな目に・・・」と己の不運を嘆く。しかし、ここ一番の大逆転でテロリストたちを葬り去る。彼の人間味溢れるキャラクターは、老若男女分け隔たりなく何世代に渡って愛されている。そこが、ダイハード・シリーズ最大の魅力である。

  世界中のファン待望のシリーズ最新作「ダイハード4.0」は、一作ごとにスケール感を増してきた過去の三作品を遥かに凌ぐ“最大最悪の危機”が容赦なくジョン・マクレーンを襲う。今回の敵がアメリカ独立記念日に仕掛けたのは、超大国アメリカをジャックするサイバー・テロ。デジタルを駆使した敵に対してあくまでもアナログ思考で立ち向かうジョン・マクレーン刑事との一大バトルに誰もがド肝を抜かれるに違いない!

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『赤い文化住宅の初子』 タナダユキ監督 合同インタビュー
『赤い文化住宅の初子』

(07・日本/100分)
監督・脚本:タナダユキ
出演:東亜優 塩谷瞬 佐野和真 坂井真紀 浅田美代子 大杉漣

6月9日(土)よりテアトル梅田にて 7月3日(火)より京都みなみ会館 7月21日(土)より神戸アートビレッジセンターにて公開
―――原作「赤い文化住宅の初子」に惹かれた理由は?

まず、原作の冒頭にある「カネ、カネ、カネ、カネ、シネ」って言いながら初子が歩くカットにビックリして(笑)あとは世界的ベストセラーである『赤毛のアン』を全否定するヒロインというものを始めて見て、この子に突きつけられた現実って何だろう?とすごく興味が沸きました。それ以外では、気持ちの部分でお兄ちゃんに感情移入しましたね。お兄ちゃんのちょっと頑張ればモテるのに、まともに女の人と対峙できない物悲しさとか。父親に対する思い。父親みたいになりたくないのに、そうなってしまうかもしれないと彼が抱く恐怖とか。

―――映画化においての準備は?

実は、脚本の完成に2年かかっているんです。原作の骨格を崩さずに、じゃあ映画で何が出来るのかな?という事を探し続けた2年間でした。「赤毛のアン」を見直したりもしました。

―――初子像を作るのにだいぶん試行錯誤しましたか?

しましたね。原作を読んだ時にとっても色気のある子だなと思って。なかなか掴みきれる自信が無かったりもしたんです。けど、それでも何とか決定稿までこぎつけて、東亜優という子が初子を演じることによって、「あっ、この方向で正しかったんだと」思えました。撮影の初めの方は、わりと丁寧に気持ちの流れとかを説明したりしていたんですが、頼りがいのある感じの女の子だったので、後半は彼女の思った通りに任せてみて、違えば直していくように進めました。

―――キャスティングについては?

出来上がって改めて、出演者全員が役にはまっていたなと思います。「この人違うよね」っていう人は居なかった。亜優ちゃんは始めて会ったとき髪も長くて、色も白くて、線も細くて、すごく可憐で可愛い感じだったんです。で、始めは原作の絵と想像つかなくて可愛すぎるかなと。でも、他の女の子に会っても亜優ちゃんのことが忘れられなくて。でも、髪を切ってもらって、出来上がったものを見ると原作者の松田さんも「似てる似てる!」って言ってくれた。それは、こっちがビックリするくらいの感じでしたね。
―――東亜優ちゃんは大物ぶりを感じさせる新人さんですね

そうですね。撮影のファーストカットが、〔コロッケを買っているお兄ちゃんを見つける初子〕というシーンだったんですけど、あれを見たとき、恐らく私だけじゃなくスタッフ全員が「初子がいる!」っていう風に感じたと思います。それは、私自身もすごく不思議な経験でした。それに、亜優ちゃんNGは一回も出さなかったです。

―――三島くんを演じた佐野和真くんはいかがでした?

今回は、若い2人が本当に手のかからない子たちで、非常にやりやすかった。三島くんって一歩間違うと厭味な子になりかねないんですけど、佐野くんがあのさわやかさをもって演じてくれたのでよかったなと。三島くんってツッコミどころ満載じゃないですか?(笑)結局、何もしてくれないし。でも、佐野くんがああいう風に演じてくれたことで、初子はこの先もっと辛いことがあっても、あの時三島くんと一緒に居たことが良かったと思えるだろうなという感じになりましたね。
―――映画オリジナルで加えられた点は?

妄想のシーンと。あと原作は海辺の設定ではないのですが、何となく読んだ印象で工業地帯の海のような空気を感じた。それに、工業地帯の海だったら入れても違和感は無いんじゃないかなと思ったので、入れてみました。妄想のシーンについては、『赤毛のアン』のアンって空想好きな女の子なので、初子にもそういう部分があって良いんじゃないかなと思って付け足してみました。でも、初子は幸せではない分、妄想もどこかショボクて最終的には幸せになれない妄想をするんじゃないかなと(笑)

―――でも、初子って悲壮感は漂っているんですけど、どこか前向きですよね?それとも天然?

そうですね。先生とのやり取りとか見ていると、初子は多少天然ですよね(笑)でも、それがナチュラルな強さというか、泣き喚くわけでもなく。まぁでも、泣き喚くことが許されなかったからそうなったかも知れないんですけど。とにかく状況を受け入れ続けるということが、悲惨になり過ぎていない。常人には理解しがたい前向きさがありますよね。

―――初子は三島くんもそうですけど、お兄ちゃんがすごく好きですよね?

そうですねぇ。唯一の肉親ですからね。初子はお兄ちゃんのことが大好きだろうし…、お兄ちゃんも何だかんだ言って初子を見捨てない。もうダメダメなんですけど。最終的に見捨てるところまでいかないっていうのが、原作にもあるすごく好きな部分でもありました。

―――初子がこの環境でグレなかったのはお兄ちゃんにおかげ?

そうなんですよね〜。そこはまたお兄ちゃんの悲しさがあると思うんですけど(苦笑)彼はヤンキーにもなれないじゃないですか。あっでもそれを言ったら、原作者の松本さんが「ヤンキーは集団行動だからね。お兄ちゃんは集団行動できないからね」って。それを聞いてなんて悲しい人だろうと(笑)でも、2人とも本当に悪い子たちじゃないんですよね。小さないたいけな兄弟です。

―――初子ってたくましい15歳だと思うんですが、監督の15歳とは振り返っていかがですか?

早く大人になりたくて仕方なかったですね。何にも出来ないんですよね。15歳って。高校生にもなればバイトとかも出来るんですけど。初子も中学生というだけで時給を下げられたりとか、すごく理不尽な目に合っているし(笑)何の力も持てないというか。頑張ろうと思っても中々それを許される状況があまりない。あと私の15歳の時には、三島くんみたいな男の子は自分にはいなかったなと(笑)

―――このドラマには広島弁が効いていました。方言指導は大変でした?

元々、私は方言が好きで、関西弁もそうですけど方言でしか伝わらないものってあるじゃないですか?同じこと言っているのに全然印象が違ったり。だから広島弁はなるべく頑張って練習して来てもらいましたね。亜優ちゃんは和歌山出身なので関西弁のイントネーションなのですが、広島弁は全然違うらしく「難しい」って言っていましたね。でも、みなさんほとんど完璧にこなしてくれました。

―――監督は、「絶望的な悲しみの中にある愛しいものをフィルムに残したい」と言われていますが、この映画の中で“愛しいもの”は一番どのシーンに表れていると思いますか?

家の灯りがついた時の、「ウチはこっちの灯りがええな」という所かなと。というのも、誰も不幸になりたいと思って誰かと一緒になるわけじゃないのに、何かが少しずつヅレて行くじゃないですか?それでも、求めずにいられないという部分がこの作品の中にはあるなと。ずっととどめて置けないものですね。日常生活ってすごくモロイと思うので。

―――では最後に、初子はこれから幸せになっていくと思いますか?

いえ、もっと不幸になると思います(笑)原作者の松田さんは、布団の訪問販売とかに引っかかりそうって言っていました。クーリングオフとかも知らずに過ごしてそうって。

初子の今後も悲惨!と予想する監督だが「どんなに願ってもお母さんは死んでしまったし、お父さんは出て行ってしまった。初子がイマイチ主張しきれないのは、そう言った境遇にある。まだ15歳なのに、あきらめなきゃいけないことがあまりにも多かったんじゃないかな」と、初子にやさしく寄り添うように語ってくれた姿が印象的だった。一度見たら何度でも初子に会いたくなってしまう、ちょっと不思議な“初子ワールド”はぜひ味わって欲しい一作だ。
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「ひいろ」 主演の小崎さよ 合同インタビュー
小崎さよさん
「ひいろ」

〜時代を超え,国を越え,引き継がれる家族の愛と絆〜

(2006年 日本 1時間30分)
監督・脚本:徳江長政
出演:小崎さよ、南田洋子、麻丘めぐみ、ルー・大柴、金子昇、桜金造


5月12日(土)〜なんばパークスシネマ、
5月26日(土)〜高槻セントラルにて公開


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今までに描いていた中国残留孤児のドラマのイメージとは違う、現代の中国と日本を結ぶ新しい感覚の作品である。そこには,小さな焼き物に込められた親の愛情と,終戦時の動乱によって引き裂かれた家族の悲哀が情感豊かに描かれている。

 中国残留孤児である父親に代わって日本の祖母を捜す娘役を演じた、小崎さよさんがキャンペーンのため来阪し取材に応えてくれた。
ひいろ
〈ストーリー〉
  上海の美術学校で陶芸を勉強している呉採陽(小崎さよ)は、焼き物の町、宜興(ぎこう)で窯元を営む父と母,そして祖母に囲まれ何不自由なく育っていた。ある日、祖母が急病で倒れ、いまわの際に、父の出生の秘密を採陽に明かす。

  父・康龍は、終戦の動乱時に陶芸家であった日本人夫婦から預かった子供で、その後返す機会があったのだが、それを祖母の一存で返さなかったと。子供を授からなかった祖母にとって我が子以上に愛おしい存在となっていたのだ。だが、そのことが心残りで、日本の生みの親に一言謝りたい、というのが祖母の遺言となった。
  だが、当の父親は、自分を大切に育ててくれた中国の両親に遠慮して、自ら日本へ親探しに行こうとはしない。そこで,孫である彩陽が、語学留学を兼ねて日本にいる祖母を訪ねることになる。

  初めての日本。戸惑うことばかりの彩陽を、語学学校の先生や,アルバイト先の女将さん,そしてテレビ製作会社の人々に支えられて,焼き物の里・岐阜県多治見へと訪ねていく・・・。
 スラリとした肢体に丸顔で優雅な笑みの〈小崎さよ〉さん。マネージャーの同行もなくお一人でキャンペーンのため来阪されたらしい。どんな質問にも正直に答えてくれた小崎さよさん。きさくでいて、誠実で真面目な性格に好感が持てた。

Q:大阪は初めてですか?
A:はい,初めてです。来られてとても嬉しく思っております。

Q:上海へ留学されていたとか?
A:このお仕事を頂く以前に,半年くらい上海師範学校に留学していました。授業が終わってからは,家庭教師とランゲージエクスチェンジ(語学交換)をしていました。

Q:中国留学の動機は?
A:短大卒業後,カナダへ短期留学していたのですが,その時,台湾や中国の友人とドライブへ行って,音楽も会話も英語ではなく中国語ばかりで,悔しい思いをしたのがキッカケです。

Q:上海留学中はどうでしたか?
A:出来るだけ日本人とは交流せずに中国語に集中していました。お陰で日常会話はできるようになったのですが,政治的な会話になると難しいですね。

Q:上海の暴動が象徴するように,中国人の反日感情で嫌な思いをされたことはありませんか?
A:私自身はそうでもなかったです。滞在中は親日派の人が多く,その後上海の暴動が起こって驚きました。心配して直ぐに友人に連絡したところ,大丈夫だったということでした。日本を許せないという人もいて,反日になるようなメディアの取り上げ方にも問題があると思います。中国人にとって、大好きと大嫌いのNO.1が日本なんですから。

Q:中国のお友達は貴女が女優だということは知っていたのですか?
A:いえ,女優ということは言ってません。帰国後『ひいろ』のお話を頂いて,まさか自分が中国人の役をやるとは思いませんでした。正直ビックリしました。もっと流暢な中国語がしゃべれるようにならなければ!と思いました。
Q:日本語が不自由な中国人の役というのは難しかったのでは?
A:はい。来日時と帰国時のしゃべり方に変化が出るようにしました。
実際,私も上海留学から帰った当初は変な日本語を使っていたようです。返事するときに思わず中国語で返事したり,日本語がすんなり出てこなかったりしましたね・・・(笑)上海で徳江監督にお会いしたときに,「中国人かと思ったよ」と言われ,ちょっと嬉しかったです。

Q:『ひいろ』の前の徳江監督の作品『しの』に出演するきっかけは?
A:オーディションです。「織部」のイメージキャラクターをしていたことと,祖父が趣味で陶芸をしていて陶芸への関心が高かったのです。それが認められたのだと思います。

Q:一番思い入れのあるシーンは?
A:子供と引き裂かれるシーンです。泣き叫ぶこと自体未経験のことでしたから,できるかどうか心配でした。でも,当日は涙がボロボロこぼれて良かったです。
Q:難しかったことは?
A:台本が次々と変わっていって,さらに片言の日本語をしゃべるシーンも順撮りでなかったので,微妙な変化を付けるのが難しかったです。

Q:南田洋子さんとの共演はいかがでしたか?
A:演技指導もして頂いてとても光栄でした。大部弱っておられて,これが最後の出演作だと仰っておられました。でも,普段歩けないのにカメラが回るとシャキッと機敏にされてましたよ。さすがですね!南田さんのお若い頃のフィルムを見て,貫禄があって尊敬できる女優さんだと感じました。

Q:徳江監督はいかがでしたか?
A:演技指導も細かく分かりやすいし,重いテーマでも見やすく作れる監督さんだと思います。

Q:ところで,桜金造さんがカツラを着けてましたが・・・?
A:あれは,ご自分でカツラを着けたいと(笑)。

Q:ヨガをされているとか?
A:はい。自分をコントロールするのに役立ちます。1日に1時間もやると精神的支えになります。深い呼吸をすることによって,姿勢が良くなり,体が柔らかくなり,細部まで酸素が行き渡ります。

Q:作品のアピールは?
A:温かい気持ちになって,両親や家族との繋がりを見つめ直して頂きたいです。映画の中にも小さな器が出てきますが,どんな小さな物でもその人にとっては大切な物なので,物を大事にして人の温もりを感じられるようになって頂きたいです。

Q:日中友好にも役立つ映画では?
A:そですよね。この作品は,残留孤児の物語ですが,どこにいても親子の繋がりを断ち切ることはできないというメッセージも込められています。

Q:海外進出の夢は?
A:ハリウッドより中国・台湾で活躍できればいいなあ,と。

Q:アジアのスターというとチャン・ツイィみたいに?
A:ちょっとベタですけど・・・プライベートでも感謝の気持ちを忘れず,人に優しくできる女優になりたいです。

 好奇心旺盛でチャレンジ精神も旺盛。そして,ひとつひとつ確実に自分のキャリアにつなげていくという堅実さもある。内面から輝く聡明な美しさを持った小崎さよさんでした。これからのご活躍が楽しみです。

  彼女の美しくひたむきな演技で爽やかな感動を呼ぶ『ひいろ』です。是非映画館でお楽しみ下さい。

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「Water」 主演の滝口幸広&川口覚 合同インタビュー
Water
「Water」 合同記者会見&舞台挨拶付き特別先行上映会

(2005年、日本、28分) 配給:株式会社ワイズポリシー
監督/原作:吉田修一(「最後の息子」文藝春秋 刊)
出演:滝口幸広、川口覚、小出早織、伊藤かずえ

5月12日(土) 梅田ガーデンシネマにて公開

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 撮影は3年前ということで、成長してますますいい男になった、凌雲役の滝口幸広、圭一郎役の川口覚、そしてプロデューサの沖田敦が来阪し、作品への思いを語ってくれた。

 芥川賞作家、吉田修一が自らの小説を脚色・映画化した短編作品である。監督の故郷である長崎の町を舞台に、高校水泳部の二人の少年の、ひと夏の甘酸っぱい青春と、繊細な感情が描かれている。

 高校生活最後の夏、いつも一緒につるんでいる凌雲と圭一郎。進学を決めた圭一郎は地元を離れ、上京を考えている。一方、兄をバイク事故で亡くし、たった一人で母を支えなければいけない凌雲は、実家の酒屋を継ぐ決心をする。離ればなれになる二人の中で、微妙な感情が芽生える。そして凌雲は圭一郎に対して、ある大胆な行為に出てしまう・・・。

  今回、撮影には「スイミングプール」「ふたりの5つの分かれ路」でオゾンの世界を鮮烈に表現した、ヨリック・ル・ソーが担当。フランス映画を思わせるような、美しい映像表現には注目だ。
滝口幸広君
Q.お二人は主演が初めてとのことですが、オーデションで抜擢された時の感想や、役作りの際で工夫した点は?

滝口:オーデション段階では内容を知らなくて、凌雲(りょううん)という字も読めないところから始まって・・・(笑)原作を読んだ時に、いろんなものを背負い、自分を抑えている人間で、難しい役だなって感じました。でも、脚本では監督が未熟な僕たちに添った役にしてくれたので、自然にやらせていただきました。
 
川口:凌雲のことをどう思っているのか、どういう感情で好きなのかで悩みました。難しい役だと思いましたけど、あとはやるしかないなって感じです。
あと、人生で初めて日焼けサロンに行って、凌雲が真っ黒だったので、それに追いつこうと必死で・・・(笑)
Q.長崎での思い出や、印象に残ったことは?

滝口:街並みが本当に綺麗で。僕は放浪癖があるんですけど、路面電車に初めて一人で乗って感動しました!あと南に行けばあったかいイメージだったのに、すごい寒くて、ユニクロでパーカーを買ったのを覚えています(笑)

川口:圭一郎の感情で、こういう景色を見て育ったんだなって考えることが楽しかった。あとは、撮影後にみんなでご飯を食べに行って、それがすごい美味しかったです。

Q.冒頭のシーンではお二人の裸にドキっとしまして、特にお尻がキュートで!普段から体は鍛えてますか?あと、学生時代に何かスポーツはしていましたか?

滝口:特に鍛えているわけではないけど、スポーツが好きなので、今は友達とフットサルをしています。水泳は3歳から10年間スクールに通っていたので、泳ぐのには全く抵抗はなかったですよ。あとはサーフィンもしています。基本は自然児なんで!

川口:小学校からずっとサッカー部でした。僕は日本海育ちなので、水泳というよりは海で素潜りをしていて、泳ぐのは得意です。

Q.二人を主演に決定された決め手は?

沖田:滝口くんは天真爛漫で凌雲のイメージそのままで、すぐに決定しました。川口くんは普通に会うよりも、映像を通して見た時に、他の人より際立っていました。

Q.カメラマン、ヨリック・ル・ソーの起用の意図は?

沖田:初めはフランスの監督に撮らせようという発想があったんです。原作をフランス語に訳して渡していたんですが、期間などの問題もあって、白紙になってしまい・・・そこで原作者の吉田さんが撮ることになったんですが、そのまま予定していたヨリックに交渉したら、OKが出たんです。ほとんどボランティアのような形で参加してくれて、彼は2m近い大きい人なのに、エコノミーできてくれてね(笑)本当にラッキーでした。
川口覚君
Q.「Water」は自分にとってどういう作品ですか?

滝口:生まれたのが千葉で自然に恵まれていて、水に接することも多くて、長崎で見る海はまた違っていて、また違う青で・・・えーっと!どういう質問でしたっけ(照笑)
えっーと、いろんなことが詰まっている作品です。いろんな視点からとらえているので、見ている人によって結果が違うと思うので、自分の中のラストを見て欲しいです。

川口:初主演ということで、僕の自信にもなりましたし、人生に付きまとう作品です。親にも自慢できる作品に出会えて、いい思い出として残していきたい。

沖田:初心者が集まって作った作品ですが、制作の現場でプロフェショナルな人に支えられてできたという感じ。いい思い出で、学ぶことが多かった。
Q.では最後に、この映画の見所は?

滝口:フランス人のカメラマンさんで、とても映像が綺麗です。美術館で絵画を見ているような、一つ一つのシーンが芸術となって、僕たちに投げかけてくれてるようなかんじで!これを見ていると綺麗だなってうっとりします。
(Q.うっとりって自分の姿に?)
いやいや、映画に対してですよ!(笑)少し昔の僕も見てください!
あとは吉田監督の撮りたい長崎というのがあって、内容もそうですが、長崎の町を楽しんでもらいたい!

川口:水の青、長崎の町は綺麗です。1カット1カットにすごく意味のある映画で、最初見た時は難しいと思うかもしれませんが、何回も見るうちに、意味がわかってくると思うので、よかったら何度も見てください!あとあどけない僕も見てください!

沖田:フランス人のカメラマンに音楽で。日本映画ぽっくない、ちょっと変わった雰囲気として見て頂けるのではないかと思います。吉田監督の繊細な世界を楽しんでください!

 映画の中では、まだまだあどけない高校生役の姿だが、現在は21歳の滝口幸広くんと、25歳の川口覚くん。大人になって成長した姿で、一つ一つの質問に一生懸命答えてくれたのが印象的だ。場所を変えて、舞台挨拶の会場では、若い女の子で埋め尽くされた満員の客席に、照れた様子の二人。終始、満面の笑みで会場の女の子たちを虜にしていました。この主演映画をきっかけに、ますます活躍しそうな二人から、目が離せない!!

そして、ここで詳しくはお話できないが、衝撃のラストシーン!このシーンは、圭一郎役の川口くんだけが何も知らされておらず、川口くんの驚いたリアルな表情が写っているとのこと。ぜひその映像をご自分の目で確かめてみては如何でしょう!
(田中 はる)ページトップへ
「パッチギ!LOVE&PEACE」 合同インタビュー
「パッチギ!LOVE&PEACE」 合同インタビュー
〜くらえ!これが井筒流・愛と平和の
            パッチギ第二章じゃぁ!〜

『パッチギ!LOVE&PEACE』

(2007・日本/127分)

監督:脚本 井筒和幸    脚本:羽原大介
出演:井坂俊哉 中村ゆり 西島秀俊 藤井隆
    風間杜生 キムラ緑子

5月19日(土)より全国公開

 2005年1月。新年早々、多くの人々に早くも今年bPと言わしめ、日本中に衝撃を食らわせ号泣させたあの映画がスケールアップして帰ってきた!
 今回の作品は前作の舞台だった1968年から6年後に設定。1974年に生きるアンソン、キョンジャ一家の愛と涙を描く。
 
  ストーリーは、アンソンの息子チャンスが抱える病を最新の医療で治療するために京都から東京にやってきた彼ら二世・三世に始まり、アンソンたちのルーツの始まりである彼らの父親・在日1世にもスポットを当て、どんな風に命が受け継がれてきたかを深く掘り下げる。前作以上に考えさせられる問題が山積みだ。しかし、その大きな壁を“井筒流ラブ&ピース”でまた見事にパッチギってくれるのである。

 監督はもちろん井筒和幸。キャストはオーディションで一新され、未来のスターを感じるフレッシュなメンバーが揃えられた。5月19日(土)に公開を控える中、監督を始め、前作を見て『この作品には絶対出たい!』と見事オーディションを勝ち抜いた主役2人のアンソン役の井坂俊哉とキョンジャ役の中村ゆりがキャンペーンのため来阪。映画に対する思いを熱く語ってくれた。

井坂俊哉
―――監督、前作を撮り終えて、第二作目を考え始めたのはいつ頃ですか?

井筒:いつかはあんまり覚えていないんですが…。反響が大きいのをすごく感じていて、第二章みたいなものがあるとしたらどんなものかという事は、プロデューサーと日夜話していました。まぁ、公開後、講演にはよく呼ばれまして、100ヶ所は行ったかなぁ。そこで日韓の話とかしている中で、あの「パッチギ!」のアンソンの一家はどうなって行くと思いますか?ということを逆に聞いたりしてね。そうしている内に、どうなっていくか作ってくださいよという声や顔が色濃く届いた。
  じゃあ、第二楽章ってあるとしたらどんなものか?あのアンソンの一家はどうなって行くのか?あるいは、在日一世はどこからやって来て一世となるのか?一作目で隠れていたことがいっぱいありましたので。バックボーンとしてあったもの、語っていなかったものを引っ張り出そうかと。そういう観衆たちとのキャッチボールの中で、68年の横軸の話から、今度は一世、二世も語り、三世と続く縦軸の話にしようと思ったわけです。   
 ―――キャスティングについてはいかがですか?

井筒:今回の話は芸能界に飛び込んでいく、芸能界のタブーに楔を打ち込む過激なシナリオです。一応、前作の出演者にシナリオは渡していたんですが。(事務所が)ビビったんでしょうね。じゃあ、新しいキャスティングで、威勢のいいやる気のある俳優を探そうかなと。プロも駆け出しも総当りのオーディションで、やる気のある人たちを残していこうと。そして、井坂くんや中村さんと出会ったわけです。

―――お2人は井筒作品に出たい!と、どのようにアピールをしたのですか?

井坂:僕は、変にアピールするよりも、もらった台本を必死になってやりました。

中村:この映画のためなら、どんな役でも何でもします!とアピールしました。

―――先ほど、過激とも言われていましたが、芸能界を舞台に選んだ理由は?

監督:芸能界そのものが在日の人たちが非常に多く来るところでもある。けれど、自由な世界じゃないし解放された世界でもない。そういう意味で今の日本社会の縮図になっていると思うんです。未だに在日の人たちは名前を隠さないといけないとかね。どこか自分のアイデンティティを見つけられないまま、自己証明が出来ないまま、逃げ込む世界って考えている人もいる。あるいは、夢や希望を託すところが芸能界しかないんだって考える人もいるでしょうし。自分の確立ですよね。どれだけ自尊心を持って仕事をすることを今の芸能界は良としているのか?というと、遠い時代からあまり大して変わっていない。自分の本名をプロフィールに書けない。そういう世界を何十年も見てきますと、隠したがる在日の人たちの気持ちも分かるしね。色んなタブーを含むレジェンドに杭を打ち当てて開いてみたい。在日の人たちの励みになれば一番いいことだと思ったんです。

 それに、最近のいわゆる量産的な映画で若者の命を軽んじているのがどうかと…。生きていることの大切さを、命を散らしていくことで美談にしてしまう。そして、大義名分を作って家族のためだとか、あるいは国家のために命を散らすことが非常に美しいことなんだと、言わんばかりの正義を打ち出すようなものは嫌だった。

―――井坂さんと中村さんは、若い立場から見て在日に対してどういう姿勢、考えで臨まれましたか?


井坂:僕は、中学を卒業してからオーストラリアに留学していた時期がありまして、今回の在日の方の問題とはまた深さとか違うとは思うんですけど、日本から出てみて“外国人”だっていう目で見られたこと、そういうことも考えながらこの作品では取り組みました。メッセージのある作品なので、この作品に出られるなら100%120%全力でぶつかって行きたいと思いました。

中村:中学生の時に在日のお友だちが、好きな子に告白する前に自分が在日だって言うことをすごく悩んで泣いていたことがあったんです。私も中学生だったので当時はあまり深く考えなかったんですけど、何かおかしいなとは思いました。今回キョンジャが芸能界に入って色々と言われたりするんですが、在日ってすごく大切な問題だと思います。この映画では、みんなが少しでも感じたことがあるような厳しさだったり、苦しみだったりとかが描かれていて、国境を越えて本当に人の気持ちに取り組んでいる作品だと思います。
中村ゆり
―――中村さんは初日から監督に怒られたそうですが、どんなこと言われたのですか?

中村:言われたというよりも、気合を入れてくれたんじゃないかなと思います。ちゃんとせえよ!って。入魂してくれたんだと思います。

―――監督はそのことおぼえていますか?

井筒:まぁ、演出家として所作を言ったんだと思いますね。諸々の。何気ない日常会話でも、どうでもいいセリフなんか1つもない映画ですから。ひと言ひと言が本当に意味のある、在日の家庭のセリフの羅列なんでね。ハングルも入ってきますし。自分たちで演じるんだから丁寧にやりなさい。そういうようなことを思いながら言ってたと思いますよ。
―――井筒組の現場はいかがでした?

井坂:現場は厳しいです。体重が5キロ減りましたから(笑)でも、ただ単に厳しいだけじゃなくて、井坂俊哉としても厳しかったですけど、アンソンとしてもそれ以上に厳しかったので、それがちょうどシンクロしていって自分もどんどんいい顔にさせてもらいましたし。言葉もきついですけど、それはちゃんと心に届いたので。

中村:スタッフさんもキャストの方々もみんな同じ方向を向いているのが、ビシバシ伝わってくる現場。常にちゃんとアンテナ張っていますっていう方ばっかりで。私がすごく印象的だったのは、井坂君がしごかれている時に助監督の方が、関西弁の発音の問題だったんですけど、本当に悔しそうに「おまえずっと練習したやんけ!」って言ってるんですよ。みんなが気持ちを込めて臨んでる現場だったなって。1つのことにすごく真剣に。情熱的でしたね。

―――監督に言われて印象的だった言葉は?

井坂:「アホぼけカス!やめてまえ!今までの全部捨てろ!」って言われたことですね(笑)キャリアなんか関係ないと。

―――ハングルと関西弁。どっちが難しかったですか?


井坂:関西弁、本当にきつかった!英語以上に難しい。たまに“井筒弁”っていうのもあったりして(笑)とりあえず、24時間寝るときも関西弁を喋っているDVD流して寝たりとか、常に関西弁漬けにしていて。ハングルの方は反対にちょっと少なかったんですけど、ハングルもまた関西弁なまりで…。もう繰り返し繰り返し耳に流して生活を関西弁にするっていう方法で乗り切りました。

中村:私は大阪出身なので関西弁は大丈夫でした。ハングルは話すところ少なかったんですけど、ちょっとしたニュアンスとかも本当にこだわって。“チュクブ”っていう言葉一つとっても関東と関西じゃ違うらしく、それもその一言のために何回も何回もやったりとか、すごいこだわりでした。

―――ちなみに井坂さんは何のDVDで関西弁の勉強を?


井坂:“やすきよ”だったり、最近の関西出身の方が出ているお笑い番組や、監督の昔の『岸和田少年愚連隊』などですね。関西弁のアドリブとかもあったりするんで。

―――井筒作品に出てどういう風なメッセージを受け取られましたか?

井坂:井筒さんの作品はリアリティがある。匂いも空気も感じられて1分1秒逃す所がない。2回でも3回でもみてどんどん深いところを感じ取ってほしいと思います。

中村:やっぱり家族と言うものが軸にあるからこそ、頑張れるし、必死に生きるし、監督の作品って生活に密着しているというか、本当に大切にしなきゃいけないものを新ためて教えてもらいました。

井筒:・・・生活に根ざしたっていうんだよ。密着したというのは取材陣の言葉だよ。

中村:ハイ。すみません(笑)根差したです。

井筒:若い子たちは意気込むのはいいんだけど、人生を演じようとするから。僕が求めていたのは生活を演じること。生活に根ざした気分っていうのをどう演じられるか。だれそれの人生はこんなもんでしょというのは簡単。でも、なぜその瞬間にこういう言葉を出さなきゃならないのか、なぜ?なぜ?・・・ということを絶えず自問自答しとかないと出てこないセリフばかりなので。そら難しいですよ。パッチギの前章でも難しい話ばっかりでしたが、スケールアップしていますからね。余計に端的に心身を的確に語っていかなければならない。兄が妹の芸能界入りを気にするたった1分の場面でも1日やっていましたからね。兄と妹の会話は本当に自然に根ざしてきたかってね。


 「利害関係ではなく、真意を100%汲み取ってくれる人たちだけでパッチギは作られている」と、映画の出来ばえにかなり満足しているご様子の監督・出演者たち。特に井筒監督の熱い語り口調に一瞬インタビューであることを忘れ、講義にでも来ているかのような気になった。

 その中で、興味深かったこぼれ話がある。なんと、この『パッチギ!』第二章を始める前に井筒監督は『フラガール』の企画を進めていたというのだ。しかし、『パッチギ!』の方にやる気がシフトしてしまったので、『フラガール』は後輩にゆずったとのこと。幻となった井筒流『フラガール』。少し見てみたかったかも…!?
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「ロッキー・ザ・ファイナル」公開記念イベント(ゲスト:赤井英和さん)
ロッキー・ザ・ファイナル
ロッキー銅像披露セレモニー IN 
                通天閣


もちろんゲストは“浪花のロッキー”こと
               赤井英和さん!


『 ロッキー・ザ・ファイナル』  

 (2007年 アメリカ 1時間43分)
監督:シルベスター・スタローン
出演:シルベスター・スタローン,バート・ヤング,
    アントニオ・ターヴァー

4月20日よりナビオTOHOプレックス、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、 TOHOシネマズ二条、OSミント神戸他にて公開

             新作紹介→
ロッキー・バルモア像
 四月のある日―大阪のシンボル・通天閣のふもとに「ロッキー・ザ・ファイナル」の主人公であるロッキー・バルボアの銅像が出現した。これはフィラデルフィア美術館近くに実際に設置されている銅像と同じサイズ(約2.6m)の完全レプリカ。

 「ロッキー・ザ・ファイナル」の公開を記念して作られ、日本各地を巡っているこのレプリカがついに大阪に!通天閣での披露セレモニーとなれば、ゲストはもちろんこの人以外考えられない―そう、“浪花のロッキー”こと赤井英和さん!!

  映画でシルベスター・スタローンが着用しているものとお揃いのナイキのグレーのスエットスーツに身を包んだ赤井さんが、ロッキーのテーマ曲とともに登場。そして除幕式が始まった。
赤井英和さん
―今日の除幕式を迎えられてお気持ちはどうですか?

赤井「この街は僕の地元ですし、ボクサー現役時代はロードワークでこのあたりをいつも走っていました。ロッキーがフィラデルフィア美術館の階段を駆け上がってポーズ決めたんを真似して、僕も天王寺美術館の階段上がってガッツポーズしたりしてましたからね(笑)。今日はここでの除幕式に出席できることを本当に嬉しく思っています。」


さっそく真っ赤な布に覆われていた銅像の除幕式へと。赤井さんがゆっくりとその布をはずすと、両腕を高く上げ勝利のポーズをとるロッキーの姿が!

―どうですか、銅像をご覧になって。

赤井「いやぁすばらしいですねぇ。」

―ここで赤井さんにプレゼントを。映画の中でロッキーが着ていたガウンをご用意しているんです!

赤井「ありがとうございます。」

ガウンを身にまとい、ポーズを決める赤井さん。その目つきは心なしか現役ボクサー時代の鋭さへと近づいたような?!

―久しぶりにガウンを着られた感想を教えてください。

赤井「今でもサウナ行ったらガウンはいつも着てますねんけどね(笑)。いや冗談はさておき、やっぱりこれ着たら『ロッキー・ザ・ファイナル』のシーンを思い出します。『一度ボクシングという虫に刺されたら死ぬまでその血がまわる』というロッキーのセリフがあるんですけど、僕はそれがすごい印象に残ってね。そのセリフを聞いた時、涙が止まらへんようになりました。それが何の涙なんか、今はまだ僕自身でも理解できてへんのですけど。とにかく泣けました。」


―今回の映画のテーマがネバーギブアップということなんですが。

赤井「シルベスター・スタローンが60歳ですよね?今回の彼の挑戦を見て『あぁ僕なんかまだまだ未熟や、若輩もんなんや』と・・・。ネバーギブアップの精神で、何でもやっていかなあかん!と改めて感じさせてもらいました。影響を受けまして、もし『どついたるねん2』を作る話があったとしたら、絶対また僕にやらせて欲しいと思いましたね。」

(注)「どついたるねん」―1989年公開の赤井さんの映画デビュー作品。

―現役ボクサー時代のニックネーム“浪花のロッキー”についてはどう思われていますか?

赤井「僕は結局ボクシングとしてはタイトルを持ってないんですよ。そやけど、このニックネームをいただいたことが僕のタイトルやと思ってます。ありがたいなぁと今でも感謝してるし、この名を汚すことなく頑張らなあかんと思ってます。」

―作品をご覧になった感想は?

赤井「ロッキーはほんまに大好きですから、全作品見てるんです。中でも今回の作品は良かったです!感動したし、何よりファイナルとして気持ちよく終わっているというか・・・。皆さんぜひご期待ください。絶対見てくださいよ!!」

このロッキーの銅像は、福岡などをまわり、4月下旬に再び大阪へカムバック。TOHOシネマズなんばに設置される予定だ。それにしてもロッキーに負けず劣らず体中からパワーがあふれていた赤井さん。やっぱりネバーギブアップの本当の意味を知り、戦った男はいくつになってもカッコええもんなのだ。(きっとそれは女もしかり。)

「赤井さんはロッキーシリーズがすごくお好きなんやなぁ」としみじみ感じられた除幕式だった。彼が涙したという「ロッキー・ザ・ファイナル」―その公開が楽しみである。
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  師」 初日舞台挨拶 ゲスト:オダギリジョー,大森南朋
オダギリジョーと大森南朋
蟲 師

『蟲   師』

(2006 日本 131分)
監督・脚本 大友克洋
出演 オダギリジョー 江角マキコ 大森南朋 蒼井優

3月24日(土)より梅田ブルク7ほか、ロードショー


 アニメーション業界の巨匠・大友克洋監督が15年ぶりに実写映画のメガホンを撮ったことでも話題の『蟲師』。
 
  精霊でも、幽霊でもない、生命そのものである“蟲”の世界を描いた少し不思議な物語である本作で、蟲が起こす不思議な現象を紐解く存在の“蟲師”ギンコを演じたオダギリジョーと、虹のような蟲・虹蛇(こうだ)を追い旅をする虹郎役の大森南朋が揃って来阪し、初日舞台挨拶を行なった。

 99%女性ばかりの会場は熱気ムンムン。大歓声の中登場した二人は、少々お疲れなのか言葉を選んでゆっくりと話す。始めに挨拶をしたオダギリジョーは、「初日を迎えられやっと安心できることとなりました。え〜、まぁ…。あとは、大森さんが喋ります…。」とかなり口下手な様子。しかし、そのシドロモドロさも女性の母性本能をくすぐるようで、観客のみなさんはニコニコと優しく見守っている。

 続いての大森は「初日に見れてみなさんラッキーですね。僕たちも初日を迎えられて、やっと宣伝とかからも解放されるのかなと思ったり…(笑)さっき、たこ焼き食べました。」と、口数少ないオダギリを精一杯フォローした。


―――ギンコという役のオファーがあったときにどのように思われました?

オダギリ:蟲師という原作は知らなかったんですが、大友さんが映画を作りたいということに興味を持ったというか…。ほぼ、即決に近かったですね。シナリオも出来てなかったですし。

―――大森さんの場合はいかがですか?

大森:僕も、同じようにお話を頂いて。大友克洋さんと仕事が出来るならと。ファンだったので。

―――大友監督というとアニメーションのイメージが強いですが、実写ということに驚かれませんでしたか?

大森:はい。でも、15年前に1本作っているじゃないですか。だから、あぁ、ついにやるんだなと思いました。ね?(オダギリに話をふる)

オダギリ: ・・・そうですね。

―――オダギリさんはこの“蟲”というものを、どんなものだと思っていますか?

オダギリ:いやぁ、あのぅ。僕の勝手な受け取りとしては、人間が直面する色々なものの現われなんじゃないんですか?

大森:(横で笑っている)

オダギリ:(そんな大森をみて)大森さんはどう思うんですか?

大森:虹郎は“蟲”が見えないので、そういう説明ができなくてもいいと思うんですけど(笑)

―――お2人は、共演されるのは初めてなんですよね?2人で旅をするシーンとかすべてロケでしたが。

オダギリ:ほとんどが、滋賀県とか京都とか。彦根にベースをおいて琵琶湖の周りで撮影していました。

―――撮影以外のときはどんな話をされていたんですか?

大森:世間話ですかね。って、それでいいのかな?芝居についてとか…

オダギリ:は、話たことないですね(笑)

大森:普通に、音楽の話とか映画の話とかいろんな話をしていましたね。

オダギリ:あと、彦根にキャッスルロードっていう、城からちょっとした商店街があるんですけど、そこが彦根の中心地だと思うんですけど、そこにはメシ食いに2人で全部行きましたね。

―――大友監督の演出はいかがでした?

オダギリ:ビジュアル面でこだわられていましたね。照明だったりカメラだったり、待ち時間のほうが長かったです。

 終始クールだったオダギリだが最後には、「おいしいお酒でも飲みながら、この映画について友だちや家族に広めてください。よろしくお願いします」と映画をPR。そして、大森は「今日は、初日ということなので、あとひと月くらいは上映が続くと思いますので、ご友人などに「まぁ、なかなかよかったよ」と薦めると興味が沸き見にきたり…。そうすると興行成績も上がり、オダギリさんの評価も上がり、そして、僕の評価もちょっと上がるんじゃないかなと思いますので、どうかよろしくお願いします。」と、冗談を交えながら締めくくった。
(中西 奈津子)
「黄色い涙」 〜犬童一心監督合同インタビュー〜
「黄色い涙」 

(2007年 日本 2時間8分)
原作:永島慎二
監督:犬童一心
出演:二宮和也 、相葉雅紀 、大野智 、櫻井翔
   松本潤 、香椎由宇


4月14日より梅田ガーデンシネマ、シネカノン神戸
4月28日よりなんばパークスシネマ、MOVIX京都他

 1974年、NHK銀河テレビ小説「黄色い涙」という連続ドラマ(原作:永島慎二、脚本:市川森一)が放送され、当時14歳の映画少年だった犬童監督は、劇中の若者たちの姿に強く惹きつけられ、“いつか映画化したい”という思いを抱いた。
 
 それから約30年後、嵐の5人を主演に迎え、犬童監督自らメガホンをとり、映画化の夢が実現した。

 1963年、東京、阿佐ケ谷。夢を追いかける4人の若者たちの、六畳一間での共同生活が始まった。漫画家の卵の村岡(二宮和也)、歌手志望の井上(相葉雅紀)、画家修業中の下川(大野智)、小説家を目指す向井(櫻井翔)。そして近くの米屋で働く青年、勝間田(松本潤)。

  4月中旬の公開を前に、犬童一心監督がキャンペーンのために来阪。映画に込めた思いをざっくばらんに語ってくれた。

Q:昭和38(1963)年という“時代”をすごく感じました。昭和を舞台にしている映画は結構ありますが、街を再現する映像として、CGはどれくらい使われましたか?

CGは少し使っていますが、基本的にはセットと、ロケ場所を探しました。商店街は愛知県、駅は三重県、列車は静岡県、アパートは(東京の)セットで撮って、やりくりして、阿佐ケ谷という町をつくっています。横浜でも撮影しました。

Q:本当に“いい街”に仕上がっている感じがしました。

僕の父親は、この当時の阿佐ケ谷でよく仕事をしていましたが、映画を観て、商店街や駅の感じとか、昔の阿佐ケ谷はあんな感じだったと感心してくれました。

Q:食堂や銭湯はどこですか?

食堂は愛知県の商店街。閉店していた洋服屋の中を全部食堂につくり直し、実際に商店街の中にある食堂みたいにして、撮っています。銭湯は東京の本郷と、あちこちで撮ってます(笑)。移動が多くなるので、すごく時間がかかった。撮影期間は2ヶ月弱だが、撮りに行かなければいけない。次に東宝で公開する「眉山−びざん−」も同じ2ヶ月くらいかかったが、徳島が舞台で、ロケ場所はどこも30分くらいで行けるところ。あとは東宝のセットで撮ればよかった。

ところが、これは5ヶ所。行くのが大変。セットでも、ロケに行っても、いつも夜中まで撮影していた。嵐のみんなも「撮影が終わらないんじゃないか」と思っていましたよ(笑)。いつも夜中までやって、延々撮っているから。相葉君とか「終わらないんじゃないか」とよく言ってました。大野君は「ピカ☆☆ンチ」以来の映画撮影で、こんなに時間をかけて一つ一つ撮るのに驚いていた。

Q:列車もセットですか?

列車は本物。静岡に撮りに行った。実際に走らせているのと、止めて揺らしているのと両方撮った。走っている時にカーテンが揺れないと変なので、みんなで揺らす。カーテンがなければ、カメラと本人で揺れたふりはできるが、実際、揺らしたほうが、早いので。

Q:この作品をつくるまでの経緯は?

ジェイ・ストームのジュリーさんが誘ってくれた嵐のコンサートがすごくよくて、「嵐で何か映画をつくることは考えられますか」と言われた時に、そういえば俺って昔からずっと「黄色い涙」を映画化したいと思ってたんだな、ということを思い出した。

嵐のメンバーの、男の子たち同士集まって、仲のよい独特な感じは、あのまま「黄色い涙」のアパートにいる4人の感じに写せるし、二宮君が村岡栄介をやれるなと思った。キャスティングの割り振りを考え、市川さんの5時間位のテレビドラマのシナリオと一緒に、企画を出した。原作の本もあるけど絶版で、ベストセラーでもなく、映画にしようという人もいないので、無理かなと思ったが、ジェイ・ストームがこれならおもしろいということで、やることになった。

Q:二宮さんが村岡栄介役をやれるなと思ったのは、どういうあたりですか?

一種の勘に近いところはありますが、みんな思うんじゃないかな?(笑)今、日本の俳優の中で、村岡栄介を誰にやらせたらいいか、という時に、二宮君は一番だと思う。V6で映画を撮らないかと言われて、岡田(准一)君が村岡栄介に、と言われると少し違う気がするし、妻夫木(聡)君でも違う気がする(笑)。二宮君はぴったりですよね。すごい偶然です。

Q:二宮さん以外の配役については、どうですか?

それもすぐ決まりました。この割り振り以外には考えられないと思う。ただ、松本君がやっている役は、ドラマにはなかった。

主人公4人を客観的に、一歩ひいて見る、同世代の若者がほしかった。もう一つは、(4人のうち)だめになる人が3人いるが、この4人が過ごした時間というのは、誰かに影響を及ぼしてほしかった。栄介は栄介で生き残っていくわけだけど、この4人が過ごした時間というのは、誰かに受け継がれていく感じがほしかったので、それを松本君にやってほしかった。

だから、銭湯で話をしている時や、アパートで話している時に、松本君がいて、聞いているという感じにした。

Q:確かに「あ、いるんだ」という、ひょっこりとした感じが印象深かったです。

最後の、松本君が田舎に戻って、農家をやるという行為には、あの時、4人が喋っていたことが影響しているみたいな感じにしたかったんです。

Q:「ジョゼと虎と魚たち」でも映画につかう音楽にこだわっておられたが、本作では?

昔のアナログで懐かしい感じがありながら、今の若い人たちもいいと思うものを誰がやるか、と考えていって…、「SAKEROCKがいいんじゃないか」とジェイ・ストームのプロデューサーの人たちが提案してきて、音楽で昔と今をつなぐ役をSAKEROCKにやってもらった。懐かしいんだけど、今のバンドであり、今もライブをやると人気がある。

「スーダラ節」もSAKEROCKの星野君に歌ってもらった。星野君は、この映画とは関係なく、昔から「スーダラ節」が好きで自分で録音していた。それを聴いていたので、使わせてほしいと頼んだ。星野くんは命かけて「スーダラ節」を歌っていますよ(笑)。

Q:撮影の秘話は?

秘話はないけど、眠れないということですかね。今までの映画の中で一番眠れなかったんじゃないか。夜中までかかった日が多かった。今の日本の映画界で撮影が大変な人が2人いて、それは、行定勲監督と中島哲也監督ですが、この2人の映画に関わる人たちは、半分死ぬ気で現場に向かわないといけないくらいの感じで…その行定組に近づいてきたと言われた。(笑)

人数が多いせいですね。1つのシーンに登場人物が多いと、撮影に時間がかかる。たとえば、2人で向かい合って話しているのを撮るなら、それぞれ一人ずつ、2回撮れば済む。しかし、4人で話をしていて、一人一人を写したい場合は、それぞれ4回、カメラをセッティングし、そのたびにライティングも全部変えなきゃいけない。2人の場合の倍、かかることになり、時間がかかるんです。

あと、アパートのセットを本当に2階につくった。窓の外の見え方をちゃんとしたいというのがあって。でも、これは、ライティングに致命的なぐらい苦労があった。そういうことがいろいろ重なって遅くなった。

Q:セリフで、アドリブとか、ありましたか?

アドリブはゼロ。現場で僕が書き直したのはありますが、実際にその場でのアドリブはないと思う。

Q:嵐の方に演技をつけていてどんな感じでしたか?

俳優としては訓練された人たちなので、あまり何も言わなくてもできちゃう。本当のプロだし、みんな才能があるから、演技に関して苦労しているところはないですね。本当にみんなすごいですよね。

Q:監督の作品で印象深いのは、男性の撮り方です。「死に花」や、「ジョゼと虎と魚たち」の妻夫木さんのラストカットとか、しおれていく感じが独特で、本作でも、最後に一歩踏み出す感じはあるけど、途中では…。

これもしおれてますかね…?。うーん、確かに3人はしおれているんだね(笑)。なんでしおれるのが好きなんだろう…。

Q:男の立場から観ていると、逆にその方が心地がいいんですよね。

リアルなところはありますよね。確かに女性はあまりしおれないよね。香椎由宇さんも子どもを抱いてしっかり立っているし(笑)、田畑智子さんも笑って行っちゃうし…。

Q:それに比べたら、男は、ふられてお酒を飲んで落ち込んでいるシーンとか。

う〜ん…きっと男の人はそうだからでしょうね。(笑)男の人はそういうものだときっと(僕が)思ってるんだろうね。やっぱり、二宮君が階段で酔っ払ってるシーンが好きだし。この映画の中で僕が一番好きなシーンはここ。そこから一気に別れのシーンに行くあたりまでが一番好きかなあ。階段の二宮君の酔っ払い方は最高なんだよ(笑)あれは1回しか撮ってないんだけど、撮影していても最高だなと思った。店から出てくる3人のエキストラもいい。(二宮君に)からまずに、行っちゃうだけの演技もよかった。ただのエキストラの人なんですけどね。

あのバーは横浜にある本物のバー。できて50年以上経っていて、下にナイトクラブがある。そのナイトクラブもすごくて、この映画の前にやった「愛と死を見つめて」というドラマの時に発見した店。そのドラマも1963年が舞台でした。

Q:脚本は以前のドラマと同じですか?

松本君の役を足して、短くしただけで、ほとんど話もセリフもそのまま。ちょっとだけ僕が遊びで足したところもあるが、ほぼ全く同じ。僕が足したのは、ささいな遊び。相葉君が押し入れに入っていて、天丼を落とすところとか、質屋のおばあちゃんの役はドラマにはなかったり、レジスタの音がして拝むとか(笑)、ああいう小さいネタは僕が勝手にやっています。

Q:ところどころにコミカルな効果音が入りますが、あれは?

あの音はSAKEROCKです。映画のドラマ、映像を観ながら、ずっとSAKEROCKが演奏している感じにしたかった。SAKEROCKというバンドが頭からお尻までずっといる、という感じにしたかったので、間ができそうになると、そういう音を出す、みたいな感じにした。それができるバンドだった。普通だと効果音になっちゃうので。SAKEROCKだとドラムやトロンボーンなど楽器でできるので、そういうふうにやっています。MEみたいな感じで。

Q:いろんな人のアップのシーンが多かったのが印象深く、その意図は?

基本は、嵐の人たちが魅力的なので、一種のスターとして撮っているところはありますよね。一人一人をちゃんとおさえていく。いつもこういう映画のつくり方をするわけではないです。たとえば、「ジョゼ…」なら、主人公二人のアップはそんなにない。でも、この映画は、スター映画として5人をちゃんと、まんべんなく見せていく撮り方をしている。彼らがおもしろかったので、それをしたくなったというのもある。

もう一つは、アパートの部屋の中の撮り方でも、一人一人アップで撮っているが、部屋を客観的に見せるだけじゃなくて、(観客も)その中に座って、一緒にいるみたいな感じを出せるときには、出しておきたい。客観だけであまりずっといかないほうがいいかなと。

あと、これは、起こっていることをまんま見せるというふうにして撮っている。あまり映画としてのサスペンスを出すための工夫とか、カットの見せ方で映画的に興奮させていこうとかしていない。次の「眉山…」という映画でもアップは撮っているが、使い方は全然違うし、登場人物をまんま見せていく、という撮り方はあまりしていません。

Q:桜井君の役もよかったです。

桜井君も向井竜三役にはまっていた。(笑)もとのドラマでは岸部シローが演じていた。普段、彼もこういう役をやらないので、楽しんでつくりこんでやってくれた。京都弁もすごく練習し、京都弁指導の人にものすごく細かくチェックしてもらった。

Q:メインの役者が5人いると、監督と話し合う時は、にぎやかなセッションになるのでは?

そんなこともないですね。すごくスムーズに、あまり迷ったりしないで、芝居も撮っていました。だいたい、最初からみんないい感じになるので。最初のうちキャラクターが決まるまでは、多少あったとしても、決まってしまったら、みんな自分のキャラがわかっているので、それでやっていくという感じ。

Q:嵐のメンバーはそれぞれ忙しいと思いますが、スケジュール調整も難しかったのですか?

難しかったと思うが、ちゃんと映画の日というのを空けてくれた。忙しいわりには、すごく慌てさせられた、ということはなかった。彼らが忙しいのに、(こちらは)朝まで撮っているという感じで…(笑)。(翌日)仕事があるのに働かされて、大変だったと思います。

Q:最後に、こういう目線で観ると「黄色い涙」はおもしろく見えるとか、一言お願いします。

一番は、栄介がとる姿勢、態度をちゃんと観てもらえたらなと思う。自分の道の選び方とか。もちろん、彼みたいにはみんなはできないけど、彼みたいな人間もいるし、彼のしようとしたことを覚えておくだけでも、自分はできなくても、違うことにはなると思う。多分、どんな世界でも、栄介がつきつけられていることは、いつの時代でもあることだし。

あとは、なんでもない夏だけど、それがすごく貴重な夏にみえてほしい、ということですかね。それは、多分、若い人たちが過ごしている、なんでもない夏も、同じようだということに気がついてほしい。何でもないけど、そんなことはない、というか…。(映画の中の)彼ら5人にしても、(当人たちは)別になんでもないと思っているんですよね。(笑)


  男女交え三人のインタビュアーを前に、撮影の苦労や、映画にかけた思い、ねらいを、わかりやすく語ってくれた犬童監督。CGに頼らず、各地のロケ場所で撮影を重ねて、生み出された、生の現場の空気感が、そのままフィルムに刻み付けられ、この映画になったと思うと、とても感慨深い気持ちになりました。

 監督のお話は、とても知性的でありつつ、少年のようなきらきらした表情は、忘れられません。とりわけ、二宮さんの酔っ払った演技のことを語られた時には、映画を撮る側ならではの醍醐味のようなものが感じられ、すっかり聞きほれました。

  「黄色い涙」の彼らが、どうしてこんな身近に感じられるのか、あの切ない感じは何なのか、その秘密に少しだけ迫ったような気がします。4月に公開されたら、ぜひ映画館に足を運び、あの世界に浸ってみたいなと強く感じました。

(伊藤 久美子)
「明日、君がいない」 記者会見
明日、君がいない
ムラーリ・K・タルリ
『明日、君がいない 2:37』

(06・オーストラリア/99分)配給シネカノン

監督・脚本 ムラーリ・K・タルリ
出演 テレサ・パルマー フランク・スウィート サム・ハリス 


  2006年のカンヌで20分の間、拍手に包まれた作品があった。その作品を監督したのはなんと!映画制作の知識も経験もナシの19歳の青年ムラーリ・K・タルリだった。

  驚愕の完成度で世界を絶賛させた本作の舞台はハイスクール。主な登場人物は6人。映画の冒頭で誰かが自殺した悲劇を明らかにし、順を追って6人それぞれの苦悩や問題を明らかにしてゆく。自殺したのは誰なのか?時折り挿入されるインタビュー映像が映画に掲げた問題のリアルさを強調し、10代の心のゆがみや、脆さを表現した。
―――映画を撮ったきっかけについて

2003年に友だちが自殺してしまったのが、この映画をとるようになったきっかけです。明るい子でそんなそぶりも全くなかったので、急に命を絶ったことは衝撃的でした。ショックとなぜ?という葛藤があり、自分勝手なことをした彼女を一時嫌いになってしまった。でも、その半年後。腎臓の病気の悪化や、ナイフで刺されて失明した右目の問題。それに、ガールフレンドと別れ、仕事もつまらない…。そんな良い事がない状況で僕も自殺を考えてしまった。でも、実際、薬とお酒を飲んで、意識が無くなっていくとき、ものすごく大きな恐怖に襲われたんです。翌朝、幸いにも目が覚めて、何てことをしたんだ・・!と後悔したあとに、36時間でこの作品を一気に書き上げました。

―――初監督ということですが、参考にした監督や作品などは?

影響を受けたのはガス・ヴァン・サントの『エレファント』。カンヌでガスが僕の作品をみて「すごくいい作品でストーリー性があるよ」と言ってくれたのですが、それは僕にとっては少し奇妙なコメントでしたね。

―――6人の主人公が複雑に絡まりあっていくストーリーですが、映画経験の全くないなかでの撮影は大変ではありませんでしたか?

そうですね。でも、脚本の段階でキッチリすべて頭に入っていたし、一つ一つ丁寧に撮影をしていけたので、それほど大変でもなかったですね。それよりも、資金繰りが大変でした。オーストラリア政府からは一切の援助も受けていません。当たり前かもしれませんが、当時19歳で映画製作の経験もなかったので未熟と見なされて、映画学校を卒業してから出なおせといわれました。

―――最後まで誰が自殺したかわからない展開になっています。ラスト誰か分かった瞬間に少し驚くと思うのですが、なぜああいう展開にしたのですか?

もし、自殺する一日前に「この学校で自殺しそうな子って誰だと思う?」って聞いても、だれもその子の名前を出さなかったと思うんですね。もっともっと問題を抱えていて可能性のある人はいっぱいいたと思うんです。そういうことが頭にあって、あえてああいうラストにしました。

―――同年代の俳優の演技指導はどうしましたか?

一番若い子が16歳で、18歳までの2、3歳差の集まりで、4ヶ月一緒に時間を過ごしていろんな話をしたので、それぞれのことをよく知っていました。1人1人の抱えている問題についても話しましたので、感情が盛り上がらないという時も時間をかけてじっくり引き出しました。それに、それぞれの特徴もキャラクターに反映させたりしました。街でスカウトしてきたスティーヴン役の男の子は、足を少し引きずっているんですが、それは演技ではありません。それに、病気や、ゲイや、近親相姦などの個人が抱える問題も色々出てきますが、すべて見聞きした現実のことで想像などは描いていません。

―――自殺率の高い日本で公開する際、観客の反応はどういったものだとおもっていましたか?


日本が自殺率の高いということはリサーチで知っていました。ですから、日本で公開されることを強く望んでいました。オーストラリアで公開されたときは、「自殺を誘っているのでは?」「いや、これを見ることによって止まるだろう」など賛否両論ありました。公開時、ウェブ上で私のアドレスを公開していたんですが、そこに「映画を見ました。この映画を見ることによって、自殺寸前までいっていた所を救われました。自殺しないですみました」というメールが来たんです。自分の映画がある1人の青年の命を助けることが出来た。思い出しただけでも身震いするんですが、本当にこの映画を作ってよかったと思いました。

―――ラストの自殺シーンにはどんなメッセージをこめましたか?

たいていの映画では自殺のシーンが美化されて撮られています。自殺がどれだけ苦しく怖いものかを責任を持って映像で見せないといけないと思いました。なので、映画の中でもそのラストシーンであえて最期に「助けて」と言わせています。この映画を見て、自殺を踏みとどまってもらいたい。

 とても詩的で美しい映像で見せる作風だが、「自殺は止められる」という強い信念とそうあってほしい願望を込めた監督の気持ちが作品から伝わってくる。

 本作の主人公たちには、苦悩が同じだけ用意されている。(いじめっ子にも人には言えない問題を持たせている)それは、きっと人生でも同じなのだろう。カタチは違うこともあろうが、みな背負う条件は同じ。究極に言うと、そこで、あなたは生きるか?死ぬか?なのではないか。乗り越えた先にある物は、死しては見れないものだ。それを監督自ら実行し見せてくれたように思う。
 
  日本の多くの悩みを抱える若者たちも、その生き方、行動力を是非まねして欲しい。暗くなる前に夢を語ろう!「憎しみには希望を、絶望には夢を、不信には信念を」と監督は言う。この映画に出会った人が自ら命を断つことを辞め、生きた先にあるものに気付いてくれることを祈って。
(中西 奈津子)
「さくらん」 舞台挨拶&合同インタビュー  
さくらん
「さくらん」

原作:安野モヨ子 (1時間51分 日本)
監督:蜷川実花
出演:土屋アンナ、安藤政信、椎名桔平、木村佳乃,菅野美穂


3月3日よりロードショー 
梅田ガーデンシネマ、動物園前シネフェスタ4、シネリーブル神戸、京都シネマ


 第57回ベルリン国際映画祭、特別招待部門にてオープニング上映された「さくらん」。チケットもsold outするなど、海外でもその魅力は人々を引きつけてやまないようだ。

 初監督にしてこの快挙を成し遂げた、蜷川実花監督と主演の土屋アンナさん、安藤政信さんが来阪。3人は映画の中とはうって変わって、モノクロのシックな装いで登場。絶妙な掛け合いを繰り広げながら、和気藹々とした雰囲気で作品について語ってくれた。
さくらん
Q:初監督作品ですが、難しかったところは?

監督:映画は写真と違って、自分で撮るわけではないんですよね。写真は言葉にしなくても、自分の思いが写り込むんですけど。(自分の思い描いているものを)言葉に出して、コミュニケーションをとらなければならなかったのが一番大変でした。

Q:どのような演出をされましたか?

監督:おおざっぱに言うと、女性にはカッコよくいてください。男性には女の人をウットリさせてくださいと、総合的に言っていた気がします。
Q:キャスティングはいかがでしたか?

監督:「さくらん」をやろうと思ったら、アンナしかいなくて。新しいことにアンナと挑戦していけるのはすごく嬉しかったし、一番やりたかったので、一緒にできて幸せでした。最終的に、キャスティングには100パーセント満足しています。

Qなぜ「さくらん」(原作:安野モヨ子)を選ばれましたか?

監督:「わかる!わかる!」という、女の子のリアリティーがある作品が多いので、安野さんの作品はどれも好きです。「さくらん」は楽しいだけじゃない、闇の部分が描かれているところ、その普遍性に惹かれました。吉原が舞台なので、ビジュアルを作りこんでいくのが(自分は)得意そうだなとも思いました。

Q:原作の感想は?

安藤:もともと好きでした。蜷川さんが監督されると聞いて、世界観や話、すべてが蜷川さんが撮るためにあったんじゃないかと思ったのが第一印象です。

土屋:今までの花魁の話って弱い、悲しい女の人の話というイメージがあったけど、今回はまったく違うものを表現しているんだなと。私はそういう女の人が好きだから、共感したし、今までの花魁というものの考え方を変えてしまう一つのきっかけになって、面白いじゃないかなと思いました。

Q:大変だったこと、面白く取り組めたことは?

土屋:面白く取り組めたのは、所作です。女の子はみんなそうだと思うんだけど、着物を着るとなぜだか動きがしなやかになったりすると思うんですね。
大変なのは、鬘(かつら)。重たいというのもあるけれど、倒れたり、動きがあるシーンが大変でした。

Q:蜷川監督作品の印象は?

安藤:スタジオを入る時に、吉原の門をくぐるような雰囲気がありました。気持ちが切りかわるんです。セットにパワーがありました。

土屋:初めて見た時は、蜷川実花の世界! 色! に負けちゃいられないなというのがありました。でも最後の方は、きらびやかな世界っていうのは空しいものだなって思っていましたね。

Q:色使いといい、小物から美術にいたるまで、ありったけの愛が注がれていますよね?

監督:そうですね。各パートの方達がフルでやってくださって、こういう風にやりたいと当初思い描いていた以上のものになったと思います。とても幸せです。
さくらん

Q:アンナさんはロックミュージシャンとしてもご活躍ですが、時代は違ってもロックな生き方をしている「きよ葉」に共感した部分はありますか?

土屋:自分自身を強く持っていて、人には流されず、自分が思う道をちゃんと行くという…私、できるかなぁ?(笑) そこが好きで共感しました。

Q:(撮影中)安藤さんに助けられたと、以前に監督がおっしゃっていましたが、安藤さんから見てカメラマン・蜷川実花と映画監督・蜷川実花との違いは何かありましたか?


安藤:「美しいものが私は好きなんだ」という、美意識というか、強い気持ちはものすごく一緒だったような気がします。

Q:公開に先駆けて、ベルリン国際映画祭で上映されました。レッドカーペットを歩かれていかがでしたか?

監督:未だにほんとに歩いたのかな? と思うくらいリアリティーがなくて。というのも、脚本の開発を始めて2、3年前からレッドカーペットを何着て歩こう? とみんなで冗談で言っていたくらいなんです(笑)。本当に温かく迎えていただきました。観客のリアクションが大きくて。すごく貴重な体験で面白かったです。幸せでした。

Q:アンナさんはお着物でいかれたということですが、いかかでしたか?

土屋:よかったです!

Q:会場の雰囲気はどうでしたか?

土屋:日本の文化に興味を持ってもらえて、嬉しかったです。レッドカーペットを歩くのがただ楽しくて。昔から仲が良く、一緒に仕事をやってきた蜷川監督の作品を、みんながいいと言ってくれたのがすごく嬉しかったです。ごはんもおいしかったです。

Q:今まで出演された作品でも国際映画祭に行かれたと思うのですが、「さくらん」が海外で上映されるのは、感慨深いものがありますか?

安藤:僕だけ行ってないんですけど(苦笑)。2人に対してやきもちを焼いています。でも、やっぱり自分が関わった映画が海外に向けて発信されて、それを受け入れてもらえるというのは、とても嬉しいことだなと誇りに思っています。
さくらん
Q:安藤さんが土屋さんと共演できてとても嬉しいと、感激の言葉を述べてらっしゃいましたが、アンナさんはいかがでしたか?

土屋:ほんとですかの〜? どうなんですかね(笑)。
監督:さっきも言ってたよ。アンナと一緒にできてよかったですって。

土屋:やだ〜。いい人じゃん(笑)。私もよ!

Q:出演者のみなさんが、蜷川監督だからここまでやりたい、やれることは全部やりたいと、おっしゃっていましたね?

監督:さっき、みんなのインタビュー読んでいて、アンナが蜷川さんだったからやったって。皆さんそういう風に言ってくださっていて、言葉にならないですね。ほんとに嬉しかったですし、一緒にできてよかったなって感謝しています!
Q:これから見られる方へのメッセージをお願いします。

安藤:無条件で美しいものが、この映画で見られると思うのですが、300、400年前から普遍的に続いてる愛の形をまた今の世界から逆算して想像していくのは、とてもロマンチックなことじゃないかな。そういった部分でも、楽しんでいただけたらと思います。

僕だけかもしれませんが、ご隠居(市川左團次)のメイクがとてもシリアスなシーンがあって、僕はどうしてもこのシーン笑っちゃうんですよね。とてもシリアスなシーンなのに、クスッみたいな(笑)。僕が発見したこの映画の見所です(なんと大阪限定発言なのだとか!)。

土屋:目で見ても楽しめるし、すごくシンプルなお話で分かりやすいと思います。生きていくととても大変なことがあるし、辛くなってしまう。でも、逃げていても何も始まらない。だから、一生懸命に自分自身で生きていかなければいけない。そこを伝えられたらいいなと思っているので、楽しみながら考えていただければ嬉しい!!です。生きる勇気が出る作品です。

監督:映画を作る時に、女性が持つ強さも弱さも両方出せたらいいなと思っていました。それでも、最後は前を向いて歩ける映画にしたいなと思っていたんですね。できたかなと思うので、そこを見ていただけたら嬉しいなと思います。出せるものはすべて出しました。

本当に一人ではたどり着けないところにスタッフ、キャストの仲間とともにたどり着けたような気がします。映画を気に入っていただけたら嬉しいです。


 「感謝」、「幸せ」、「誇り」、これらの言葉を何度も耳にし、肌で感じた。春は「はじまり」の季節。
この春を「さくらん」から始めてみよう! 
(原田 灯子)ページトップへ
「口裂け女」 加藤晴彦さん 白石晃士監督 記者会見 
『口裂け女』

(2006・日本/90分)配給 トルネード・フィルム
監督 白石晃士
脚本 横田直幸
出演 佐藤江梨子 加藤晴彦 水野美紀


3月17日(土)〜テアトル梅田 シネマート心斎橋 109シネマズHAT神戸 
3月24日(土)〜京都みなみ会館にて公開
 1970年代後半に恐怖の一大ブームとなった「口裂け女」。今もなお都市伝説として様々な噂の尾ひれを引きずりながらも語り継がれている。その有名な“彼女”が30年の沈黙を破りついにスクリーンの中に甦る!

 本当にたくさんの噂がある口裂け女だが、その真実の実像が本作でやっと確認できた気がする。口裂け女はこうして誕生したのかと思わず納得。ホラー映画ファンそして口裂け女マニアにはたまらない作品だ。
STORY
 かつて口裂け女の噂の原点となった静川町で、再びその恐ろしい話が子供たちの間で流れ始めた。そんなある日の夕方、1人の男の子が何者かにさらわれる。目撃者の証言によると犯人は「長髪で大きなマスクをしてトレンチコートを着てハサミをもっていた女性」という、口裂け女の噂と寸分違わぬものだった。その恐怖に騒ぎ立てる人々。そしてまた、子供が1人さらわれた…。

 登場人物の中で、唯一口裂け女の正体に感づき、恐怖に立ち向かう教師の松崎を演じた加藤晴彦と、『ノロイ』でのスマッシュヒットが記憶に新しい白石晃士監督がキャンペーンのため来阪。「口裂け女」について語ってくれた。
Q:1979年に大きく噂が広まったということですが、監督と加藤さんは「口裂け女」世代に当てはまりますか?

監督:僕は73年生まれですが、育ったところが福岡の田舎だったので「口裂け女」の噂は経験しなかったですね。その後、マンガとかテレビで知っていった感じです。

加藤:僕も75年なので、本当にドンピシャじゃないけど、そのあと小学生になってからでも「口裂け女」の印象は残っていますね。
Q:この題材を復活させたきっかけは?

監督:きっかけは、プロデューサーの大橋さんから『口裂け女』の企画どう?と言われて。でも、そのとき思ったのは、昨今取り上げられている子供に対する暴力であるとか、親が子供を殺す、子供が親を殺すという報道で伝わってくる悲惨な悲しい出来事を、映画の中に放り込んだら作る意義があると思って話を考え始めました。

Q:噂からは大きく脚色されていますね

監督:そうですね。オリジナルです。あまりにも笑ってしまう噂とか使えないので、マスクとか大事な部分は残しつつ、この時代をブレンドしてさらにその奥に新たな怖いこととか、新鮮なこととか描きたいなと。ただ、みんなが知っている口裂け女だけじゃ面白くない。本当はこうだったんじゃないかなと考えて作りました。

Q:加藤さんはこの映画のどこに惹かれたんですか?

加藤:今のジャパニーズホラーってもう出来あがっていて、その中でも色んなジャンルに振り分けられる作品があるけど、一度、原点回帰してみるのもいいかと思って。「口裂け女」というホラーのメインの部分、そのストレートな感じが今逆にないので。そのインパクトに惹かれましたね。

Q:口裂け女役の水野美紀さんが迫力ありましたね?

監督:そうですね。こういう役のイメージはあまりないと思うんですが、実は水野さんが本来もっているエネルギッシュなすごく強い部分があるので、それをうまく出してもらった感じがしましたね。でも、初めに本当はお母さん役でオファーしていたんですが、彼女の方から「口裂け女だったらやりたい」って言ってこられたときは驚きましたけど(笑)

Q:ところでお二人は霊感とかあるんですか?

監督:全くないですね〜。幽霊も見たことないし。

加藤:僕も全然ないですね。

監督:でも、霊感なんて加藤さんのように全然なさそうに見える人の方が、映画の中ではギャップがあって面白いんですよ。
Q:では、逆に撮影中のおもしろエピソードはありますか?

監督:加藤さんが師匠と呼んでいた人形がありまして、その人形と掛け合い漫才的なことをしていました。

加藤:(笑)それ、伝わりにくいでしょ!?その現場にいないと。要は、撮影に使っていた子供の死体の人形があるんですけど、いつも無造作に置いてあるんですよ。必ず現場行く間とかに「師匠!今日もお疲れさまです」とか言っていたんですよ。すごくリアルな人形で。

監督:ふと、何も知らずにみると「あっ」って思うくらいリアル。
加藤:その人形を携帯で写真撮って、知り合いに送ったり。そしたら皆すごいビビるんですよ(笑)

Q:その人形はどこの場面で使われているんですか?

監督:地下で口裂け女が子供を刺したあとに、その子供を抱えて階段をあがっていくところで使っています。

Q:では、最後に監督が思う「口裂け女」とはどんなものですか?

監督:口裂け女は自然災害と一緒で、人間には理解できない抗えない力を持っている。それで、始めも地震と共に再生させてみたり。地震のように人間にはどうしようもないものがこの世の中にはあるので。でも、それに理由があるのかって聞かれたら存在理由は無いに等しい。でも「ただ、ある」っていう物がこの世界にはあると僕は思っているので。あと、怖いものというものは理解できないものですから。結末の部分でみなさんどう感じていただけるか分かりませんが、考えさせられる所もあるので迷ってほしいなと思います。
(中西 奈津子)
「守護神」 女子高生試写会 飯沼誠司さん舞台挨拶
守護神
「守護神」女子高生試写会

ゲスト:ライフ・セーバー 飯沼誠司さん

(2006年 アメリカ 2時間19分)
監督:アンドリュウー・デービス
出演:ケビン・コスナー,アシュトン・カッチャー


2月10日(土)より,全国ロードショー


 2月10日公開の“守護神”と呼ばれた伝説のレスキュー・スイマーの栄光と苦悩を描いた娯楽大作「守護神」の主人公と同様、プロのライフ・セーバーとして活躍し、「海猿」「ウオーター・ボーイズ」などに出演し、俳優として新境地を開いている飯沼誠司さんをゲストに迎え、女子高生をターゲットにしたイベント試写会が2月2日大阪HEP HALLにて開催されました。
 
当日は、飯沼さんが主人公と同じく、人の命を救うことに人生を賭けた男の生き様などを女子高生に語り、作品の魅力をアピールしました。

Q:プロのライフ・セーバーは、日本で何人ぐらいいらっしゃいますか?

飯沼:日本では、まだ4、5名です。ライフ・セーバーの世界的ランクの大会で、優勝して、アスリートとしてプロ契約を結んだ人だけです。

Q:大会はなぜ開かれるのですか?

飯沼:人命救助の技術向上のため日頃トレーニングを積むための目標になるからです。

Q:この映画の感想をお聞かせ下さい。

飯沼:最初からあまりの迫力に、ずーっと、口を開けて見ていました。
まず、ケビン・コスナーの伝説のレスキュー・スイマーは、勿論渋くて格好よかったですが、アシュトン・カッチャーが八ヶ月も体作りのトレーニングをしており、本物のライフ・セーバーと同じ様な体形になっていました。彼のプロ根性に驚きました。

Q:映画の中の主人公たちの気持ちや行動は、理解できましたか?

飯沼:荒れ狂う海の中、それも夜間にロープなしで、飛び込むシーンは、自分だったら
できるかどうか、考えました・・・
普通の人間ならパニックを起こします、余程の精神力と体力がない限りできないと思います。

Q:印象に残った台詞などありましたか?

飯沼:ケビン・コスナーは、200人の人命を救ったといわれる伝説のレスキュー・スイマーですが、彼は救えなかった人の人数を常に気にしていたところが、印象に残りました。

Q:飯沼さんに失敗などの経験はありますか?

飯沼:命を失うような失敗はありませんが、ライフ・セーバーを始めた頃、丁度皆さんと同じ女子高生ぐらいの年齢の人が二人同時に溺れていたのを発見した際、どちらの人を先に救出すべきか、迷ったことがありました。
一人は、パニックを起こしていたのですが、落ち着かせ、何とか助けました。もう少し判断が遅かったら救えなかったと、後で 先輩に叱られました。
我々の仕事は、一瞬の選択ミスで命を左右するので、日頃の訓練がいかに大切かその時は痛感しました。
Q:日頃気をつけていることは、ありますか?

飯沼:人間は自然に対して無力です、自然に対して過信しないことです。無理なものは無理と判断することが大切です。例えば、溺れている人は、酸素が欲しいため人間の生存本能でパニックを引き起こします。そういう場合は、無理に近づかず、相手の距離を取ることを考えます。二重事故を防ぐため、常に冷静さを保ちます。

Q:ワンポイント・アドバイスなどありますか?

飯沼:溺れている人を見たら、むやみに近づかず、救助機材がない場合は、空のペット・ボトルだけでも渡して上げて下さい。空のペット・ボトルだけでも十分浮遊力があります。また、アメリカなどでは、お子さんを持つ親や恋人や家族のため、救命処置の講義を受ける人が沢山います。皆さんも是非、いざという時に知識があるだけでも違いますので、講義を受けてみて下さい。

Q:最後に、この映画の最大のみどころは?

飯沼:災害シーンや救助シーンなど最初から最後まで、迫力のある場面が続きますが、 特に注目したのは、救難士訓練生たちの練習シーンで、氷のプールに飛び込み、その状況下に耐えるという訓練シーンは、マニュアルにない、教官自身が自分も生徒も追い込み練習するシーンは大変リアルで印象に残りました。

 この映画のテーマである、“自分の命を捨ててでも他人を救えるのか”というテーマは、 自分の経験やつらい過去を鍛えなおして臨む、ある意味“覚悟”が必要だということを教わり、共感を得ることができました。
 飯沼誠司さんは、甘いマスクであり、真田広之似で、プロのライフ・セーバーとしての活躍だけではなく、さすが俳優を志しているだけにトークの才能も優れており、作品の持つ本質を見事に語っていました。また、同時に彼のまじめな人柄の良さも出て、爽やかで、とても好印象なナイス・ガイでした。これから映画界での活躍が楽しみです。
(後藤 一郎)
「となり町戦争」 江口洋介&渡辺謙作監督 合同記者会見
『となり町戦争』 

(2006・日本 114分) 配給 角川ヘラルド映画
監督 渡辺謙作
出演 江口洋介 原田知世 瑛太 余貴美子


2月10日(土)梅田ガーデンシネマ、三宮シネフェニックス、MOVIX京都、にてロードショー。

 デビュー作にして1年に1作あるかないかの傑作と評され、各方面から絶賛された三崎亜記の話題作『となり町戦争』。第17回小説すばる新人賞を受賞したこの作品は、日常に潜む目に見えない戦争と、戦争を実感できないまま巻き込まれていく青年の姿を通して、戦争の怖さを伝えた今までにないタイプの物語である。

 その映画化にあたり主人公・北原に抜擢された江口洋介と、本作で監督を務めた渡辺健作が来阪。インタビューを行なった。
Q:今まで演じた役柄の中で今回は一番難しい役柄だったんじゃないですか?

江口:そうですね、何もしないというか、どうすれば無気力に人任せに見えるかこだわりました。医者だとか、キャラクターがある人物を演じることが多い中で、“普通な男”というまた違った役でしたね。

Q:何もやらないためにどうしましたか?

江口:監督が「何もしない」っていうことだけを言い続けてたので。じゃあ、逆にこっちも何もしないでやってやろうっていう(笑)何もしないって演じる上で計算しづらい。でも、1ヶ月間愛媛で監督とかスタッフとかみんなで合宿みたいに撮っているので、その中で作っていけました。

Q:出来上がった作品を見て思ったように無気力に見えましたか?

江口:そうですね。見えましたね。で、その人間が彼女と出会って正義感に芽生えてくる。そんな風に見えればいいかなと。それが、この物語が持っている無気力が立ち上がる原動力だったり、どこかファンタジックな戦争というものに向かうキッカケになったり。 原作どおり無気力のままずーっといくと、また頭を捻ってたと思うんですけど。エンディングが意外と高揚感がある終わり方だったので。
Q:目に見えない戦争というストーリーを読まれたときの感想は?

江口:原作はもちろん決まってから読んだんですけど、本当に何も戦争っていうものが描かれていなくて、気が付いたら戦争の真ん中にいた。
でも、原作では最後の最後まで我関せずっていう立ち居地は変えないんですね。でも、見えない戦争はどんどん進んでいく。最後に何が起こるんだろう?っていう。
でも、それは頭の空想の中で楽しめる、小説だから出来ること。これが映画になればどうなるんだろうな、とは正直思いましたね。自分がどうやればいいのかなと。 
原作者が現場に来たときに、「江口さんどうやってるんですか?」ってスゴイ心配そうな顔で聞くんですよ。たぶん原作のキャラクターと俺がイメージ違ったんでしょうね(笑)

Q:実際読まれた時のイメージでご自身と近いところは?

江口:誰でも、問題意識ってあるじゃないですか?ニュース見ていてもコレは違うとか、アレはこうだとか。でも、ずっとそうは思っていられない。生活のテンポとかもあって、その中でゆれる、何となく不条理に思うことは溜まっていくみたいな…。そういう部分は、この役の中とすごく近いなと思いました。

Q:監督はこの原作のどういうところに魅力を感じましたか?

監督:原作者の三崎さんが「となり町戦争」で文学でしかやれないことをやろうとしているように僕は感じたんですね。で、そういう気概がシンパシーを感じまして。僕も、そういう映像ならではの物を作りたいなと思っているので、そういう作家がいるんだったら僕も同じ題材でやってみたいなと思いました。

Q:その映像にするっていう所で、監督が一番こだわったところは?

監督:原作では戦争シーンって全く見せないんですね。北原が逃避行する場面もトランクに死体と一緒に積んで、音だけで聞いている感じで進む。それは原作者の狙いだと思うんですけど、映像の場合何も映さない訳にはいかないので。何らかのモノは映さないといけない。戦争をどこまで映すかっていうことをプロデューサーも含め色々考えましたね。死体は出すのか?とか、武器はだすのか?とか。できるだけ最小限のもので戦争を表現できたらいいなと。

Q:出来上がりでは、その辺はうまくいきましたか?

監督:お客さんの反応を見ていると、そういう場面ではドキドキしてくれているので、あの画の中で、戦争を感じてくれているんだろうなと思いますね。
Q:江口さんはこの作品を通して感じられたことは?

江口:戦争ってものが今の日常で全然リアルじゃないじゃないですか?でも、世の中ではずっと戦争をやっている。戦争反対って言うのは簡単なことだけど、それをじゃあデモを起こすか、反戦歌を歌うか?とか、日常を生きているテンションにそれがないだけに、傍観者になりうる。でも、傍観者になって無関心になっていると、この映画みたいに戦争に巻き込まれていく可能性もある。弾撃ち合っているだけが戦争じゃなくてね
Q:この作品は恋愛ものも入っていたり、ファンタジックな部分もあったり、ジャンルで言うとどんな感じですかね?

江口:ジャンル?どうですかね監督。
監督:「となり町」です
江口:「となり町」?「となり町」という新しいジャンルです。あまりこうサスペンスでもないしね。

Q:では最後にひとことずつお願いします。

監督:僕としては、江口さんの演出に力を注いだので。江口さんの色んな表情を見てもらいたい。無気力なだけじゃなくて、カッコイイところもあれば鼻の下伸ばしている所もあるし、ダラーっと寝ているところもあるし、酔っ払っている所とかもあるし、ものすごい色んな表情を江口さんがされていて、それで“普通の男”というのを表現しているのでそういうところを見てもらうと楽しいかなと思います。
江口:観終わった時に「何だこの感じ」っていう。それで人と喋れるような、あのシーン何だったのかとか、各所にあると思うんですよ、この監督の映画は。何か今の気持ちわりーなとか、最後まで気持ち悪いなと思った気持ち悪さが、もしかしたらこの映画の不条理みたいなもの、そういう計算をしているのかもしれないし。そんな風に、人と話せる映画だと思うんでそこらへんを楽しんでいただけたらなと思います。
江口さんが言うとおり、掴みどころの有るような、無いような・・。しかし、それでいて日常に潜む戦争の怖さがリアルに伝わってくる。とても不思議な作品だ。
そして、のどかな町で平凡に暮らす北原という普通の男を、自然体で表現している江口洋介。原作者の心配はさておき、案外今までの中で一番はまり役かもしれない。 そして、インタビューには出てこなかったが、映画を鑑賞する際には、北原の相手役を演じた原田知世の静かな熱演にも注目してほしい。
中西奈津子
あなたを忘れない マーキー合同記者会見
マーキー

『あなたを忘れない』

(2006年 日本韓国合作 2時間10分
 ソニーピクチャーズ配給)

監督・脚本:花堂純次
出演:イ・テソン マーキー 金子貴俊 ソ・ジェギョン 

1月27日(土)公開 梅田ブルク7 道頓堀東映パラダイス 動物園前シネフェスタ 他

 2001年1月26日、JRの新大久保駅で酒に酔ってホームから転落した男性を助けようとして自らの命も落としてしまった韓国人留学生がいた。彼の名はイ・スヒョン。
  日本に興味を抱き、夢と希望を持って韓国からやってきた彼はなぜ、自分を犠牲にしてまで人を助けようとしたのか?そんなスヒョンさんの歩んできた夢と愛に溢れた日常、その真実を描く。

スヒョンさんの日本での恋人を演じた、HIGH and MIGHTY COLOR のボーカル、マーキーが映画のキャンペーンのため来阪。合同インタビューが行なわれた。

演技は始めてという彼女はもちろん映画のキャンペーンも始めて。まだ19歳の彼女はひとつひとつの質問に言葉を選びながらとても丁寧に答えてくれた。

映画の中でプロの歌手を目指す星野ユリという女の子を等身大で熱演していたのと同様に、とても初々しい感じの彼女に映画への思いや現場の裏話までを聞いた。

Q:初めての女優デビューですが、映画出演のお話がきたときの感想は?

すごくビックリしました。このタイミングでお芝居ができると思っていなかったので。演技には興味があったので嬉しかったですね。台本をもらって初めて事件のことを知って、ストーリーを読んで、正義感だったり人に対する思いに強いメッセージを受け取って共感しました。

Q:台本を読まれたときはどう思われました?

スヒョンさんの育ってきた環境や家族愛が、本当にあったかくて。でも、それと対照的なユリがいて・・。スヒョンとユリお互いが向き合うことで起こる心の変化だったり、今、社会の中で薄れてきている温か味、そういうものに気付かされる作品だなぁと。あと、感動的なストーリーの中に、身近な日常がたくさんあって、音楽が溢れていて、自分たちにすごく近いストーリーだとも思いました。
Q:まさしく等身大の演技でユリを演じた訳ですが、役作りとかは何かされましたか?

役作りというか、ユリと自分には共通点が多くて、例えば音楽が好きなこととか、少し不器用な所だったり。でも、一番大きく違うのは家庭環境。私の家族はとても仲が良いのでユリみたいな環境は経験したことはないんですけど、ユリとしての思いも考えながら台本を読んだり、徐々に徐々に入っていく感じで自分の気持ちを高めました。

Q:お父さんである竹中さんとの言い争いのシーンはやっぱり難しかった?

始めは不安だったんですが、でも竹中さんの演技が体当たりというか、本当に心の底からぶつかってくるので。私もつられてというか、本当に引き出して頂きました。

Q:監督とはユリについての演技指導とかありましたか?

ありのままでいいと言われていたんですが、演技に関しては、「自分の心の鍵を開けなさい」と言われました。さらけ出すことが大事だと。

Q:演じていて一番難しかったことは?

複雑な感情・・。怒ってるわけでもなく、寂しいわけでもなく、その中間みたいな、込み上げてくるジュワっとしたもの、そういう所は本当に難しいなと感じました。逆に歌のシーンは肩の力が抜けて、表現できましたね。

Q:マーキーとして日頃歌っているのと、星野ユリとして歌うのとまた歌い方とか違ってくると思うんですけど、どういう風にやり分けていたんですか?

カメラの前に立って歌うっていう現場では、自分自身というよりも星野ユリという役を借りて歌っているので、ユリが思うスヒョンへの思いを込めて歌いました。
 
二曲あるのですが、『オキザリス』は自分の痛みを吐き出す感じでユリの内面を歌っている。『辿り着く場所』はスヒョンとの共作になる曲なので、二人の未来を想像した歌詞で歌っています。

“向き合いたい”とか“変わりたい”とか、ユリとしての気持ちがいっぱい入っています。曲として出すのはバンドでしたけど、劇中で歌っているときはユリとしての気持ちが強いので、それはもう現場に入ってからの切り替えですね。


Q:イ・テソンさんの印象は?

始め会ったときはイカツイ感じで(笑)肌が焼けていて、サングラスをかけて、どこの怖いお兄さんかと思ってたんですけど、自己紹介で「イ・テソン」ですって紹介されて、「あっ、この人がイ・テソンさんなんだ」とビックリしましたね(笑)  見せてもらっていた写真と印象が全然違ったので。

でも、話してみると気さくで楽しくて、明るいし真面目で。それに、テソンさんはプロの俳優なので、「力抜いて」とか気がほぐれるように声をかけてくれたり、アドバイスしてくれたりしましたね。

Q:日本語で会話とかされました?

ハイ、結構していましたね。分からない部分も、伝えたいことがハッキリしてれば相手に伝わるものだと感じたので、言葉の壁は感じなかったですね。

Q:テソンさんに日本語で言われて印象に残っていることは?

すごくカワイイ間違いなんですけど、テソンさんが“暑いだ”って言うんですよ(笑)。「マーキー、今日は暑いだ」って。それがスゴイ可愛くて、笑ってたら「何で?笑ってるの」って聞くんですけど、「そのままでいい」ってわざと訂正をせずにいました(笑)

Q:逆に韓国語で何か習った言葉は?

習うというよりも、テソンさんがよく撮影中に言ってくれていた「ケンチャナヨ」っていう「大丈夫だよ」っていう意味の言葉を、台本にはなかったんですけど、覚えてアドリブで言ってみたりしました。

Q:ストーリーの中に、日韓の差別的なシーンもありました。何かそのことについて考えられたりしました?

そうですね、私も現場に入る前は少し不安で。報道されているニュースとかでは本当にギクシャクしている感じじゃないですか?だから距離があるのかなと心配だったんですけど、現場に入って韓国のスタッフの方もたくさんいましたけど、本当にフレンドリーでみんなが仲良くて毎日楽しかったんですね。心配していたのがバカみたいに。だから、自分達だけじゃなくて日常から触れ合う場があればいいのになと。

私が実際、現場で触れ合ったことで感じたのは、“国と国”の問題というより、“人と人”から始めていけばいいんじゃないかと思いました。自分たち個人個人はすぐ仲良くなれるのに、歴史だったり消せない過去があるから難しいとは思うけど、そういうものをいつまでもいつまでも引きずってお互い仲良くなれないのは、すごくもったいないと思いますね。

Q:一番好きなシーンは?

韓国でのシーンで、スヒョンさんとお父さんがプサンの山に登って夕日を見ながら、スヒョンさんが日本に行きたいっていう気持ちをお父さんに打ちあけるシーンです。お父さんは無言なんですけど、2人の熱い絆が見える気がして。息子と父親っていう男同士の、父親の息子に対する愛情みたいなものを感じられて涙があふれてきました。感動的で一番好きです。

Q:映画初出演ですが、ご家族の反応は?

お母さんは、一番初めのシーンでユリの手が映るんですけど、その手を見た瞬間に泣いた!とかゆってて。泣くとこ違うよ!って(笑)たぶん、それは違う意味で泣いたと思うんですけど。でも、客観的に見て「いい作品に出れてよかったね」って言ってくれました。

Q:スヒョンさんのご家族ともお話されたと伺いました。どんなお話をされましたか?

色々と話したんですが、一番嬉しかったのは「娘が増えてよかった」って言われたこと。この言葉は涙が出るほど嬉しかったですね。私も、スヒョンさんのご両親と近くなりたいと思ったし、何か支えになることがあればそうなりたいと心から思いました。事件があった当日に感じた気持ちも聞いて、私には想像できないほどの本当に大きな悲しみを乗り越えてきたんだなと。でも、本当に前向きなご両親で、素敵な方たちでした。

Q:ユリはケンカしている両親の笑顔を見たくて歌いだしたのですが、マーキーさん自身は歌を始めたきっかけは覚えていますか?

音楽をするきっかけになったのはバンドのメンバーに入ったことがきっかけだったんですけど、小さい頃から本当に歌が大好きで。家族の前で歌っていました。誰かの喜ぶ顔がみたくて歌うっていうユリの気持ちはすごく分かりますね。劇中で小さい時にマイクを持って写っている写真が一枚出てくるんですが、あれは本当に自分の写真なんです。

Q:映画の中でスヒョンさんが歌とスポーツで2つの国の架け橋になりたいというセリフがありました。マーキーさんもこの映画を通して日韓の架け橋になりたいと思いましたか?

そうですね。本当にたくさんの人と出会えることは素敵だなと思うし、それが音楽ならもっといいなと思います。音楽って言葉じゃない胸に響くもの。そういう力を持っているから、理屈じゃなくてそういう物を通して色んな壁を越えていけたらどんなにいいかなと思います。

Q:では、最後に映画をこれからご覧になる方へのメッセージを

この作品を通して、スヒョンと出会ってユリが変わっていけたように、家族と向き合ったり、素直になれるきっかけになれば嬉しいです。それと、この事件は、スヒョンさんのまっすぐで純粋な日常があっての行動だと思ったので、事件だけを見つめるのではなくて、スヒョンさんの過ごしてきた毎日や人との係わり合いだとかを見てほしいなと思います。たくさんの方に見てもらえたら幸せです。

                                                 (中西 奈津子)

「幸福な食卓」 北乃きい&小滝祥平プロデューサー合同記者会見
北乃きいさん
「幸福な食卓」 
 北乃きい&小滝祥平プロデューサー合同記者会見

監督:小松隆志 (2006年 日本 1時間48分)
出演:北乃きい、勝地涼、平岡祐太、さくら、羽場裕一、石田ゆり子


2007年1月27日公開(梅田ピカデリー、MOVIX堺、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸 他)

家族の崩壊と再生を描いた、瀬尾まいこ原作の「幸福な食卓」。この作品の主演に抜擢されたまだ若干15歳の新人女優・北乃きいちゃんと、プロデューサーの小滝祥平さんが来阪し会見が行なわれた。

Q:北野さん、オーディションで選ばれたということですが、初主演に抜擢された感想は?

北乃: 率直にとてもうれしかったです。“主演”ということがどれだけ大変なことか分かってから、とても 緊張をしてプレッシャーがスゴイ有りました。

Q:では、プロデューサーの小滝さんにお聞きします。北乃さんを佐和子に抜擢した理由は?


小滝:この佐和子という役柄は難しいくらい普通の子なんですよ。でも、崩壊しかかっている家族が、こ の普通の子と普通に居ることでなんとか支えられている。だから、普通に「あっ、佐和子」だと思える子がいいなと思っていて、北乃さんにお願いしました。

 ですが、演技はズブの素人で(笑)でも、やっていくうちに彼女がだんだん佐和子になっていった。それはおそらく北乃さんの中にある資質のようなものがちょっとずつ現われてきたんじゃないかなと思います。どんな役者にとっても一番難しい“普通”な芝居を、彼女が佐和子に置換され自然な佐和子が出来ていって、僕らも原作の佐和子に会うことができたという風に思っています。

Q:オーディションでどの辺りが佐和子のイメージに合っていると思いましたか?

小滝:まずは、原作にあった通り小柄でした。小柄な普通の子というポイントがあったので、どんなに芝居がうまくても大柄な人には佐和子はできないなと。

 それに、どこか一輪で咲けるといいますか、群れなくても佇むことができる。恐らく彼女なら佐和子のイメージで物語を作ってもらえるんじゃないかと。僕と脚本の長谷川くんと監督は普段、意見は合わないんですが、佐和子を選ぶことに関しては意見が合いました。

北乃:私が佐和子と似ているところは、前向きなところだったり、積極的なところだったりが似ているかなと思います。逆に似ていないところは一人で悩みを抱え込んでしまうのが佐和子なんですけど、私の場合だと色んな人に相談したりとかするので、どちらかというと私は勝地さんが演じられた大浦君に似てますね。

Q:大浦くんを演じた勝地さんとの共演はいかがでしたか?

北乃:同じ事務所の先輩で、今まであまり喋ったことがなかったんですが、撮影中に私がすごく緊張していたので面白いことをいってくれたり、現場を盛り上げてくれたりしました。すごくムードメーカー的な方なのでとっても楽しく撮影が出来ました。

Q:北乃さんは原作の小説をお読みになりましたか?感想はいかがでした?

北乃:はい。初めて分厚い本を読んだのがこの「幸福の食卓」です。1度目に読んだ時は理解ができなくて難しい本だなというのが率直な感想です。2回目には不思議な家族だな、でも、どこにでもある家族と変わらないんだなと思いました。あと、キスシーンがあることに驚きました!初めての映画で初めてのキスシーン、それが事務所の先輩って・・。ビックリしてそこを何回も読み返してしまったりとかしてました(笑)

Q:そのキスシーンも普通に演じれましたか?

北乃:そうですね。ドキドキしながらキスをするっていうシーンだったので、リアルな感じになっていればいいなと思います。

Q:映画の中で「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」っていうセリフがありますが、もし実際、お父さんに言われたらとしたらどう思いますか?

北乃:う〜ん、うちのお父さんはそんなにお家にいなくて、あんまり喋らないので・・。逆にそんなに変わらないと思います(笑)

Q:では、映画の中のように朝の食卓でコミュニケーションをとったり、重大な事実を告げられたりとかいう経験もない?

北乃:あまりないですね。おばあちゃんっ子なので、おばあちゃんとご飯を食べることが多いです。

Q:北乃さんはテレビにも何本か出られてますが、映画とテレビの違いは実感しましたか?

北乃:そうですね。少しだけ違うなと思いました。まず、映画はワンシーンをじっくり撮ってドラマはスピードが速いということと、ドラマでは現場のスタッフさんと話したりしないのですが、映画の現場では1ヶ月ずっと一緒なので打ち溶け合って本当の家族のような感じになりましたね。
Q:戸惑いはありませんでしたか?

北乃:毎日戸惑っていました。自分ができないお芝居があったりして、どうしていいか分からなくて毎日のように考えていました。

Q:一番苦労したシーンは?

北乃:お父さんの自殺未遂を発見するシーンが難しくて。そこは半日かかりました。

Q:監督には相談したりしましたか?

北乃:監督には分からないことがあればすぐ相談していました   。監督と一緒に佐和子を作っていった感じです。

Q:まだ15歳ですが、小さい頃から映画はよく見ますか?

北乃:色んなジャンルを幅広くは見ていないんですが、好きなジャンルのアクションとホラーは小さい頃から見ています。恋愛映画とかは苦手です・・。なので、あんまり友だちと話は合わないですね(笑)

Q:例えば、どんな映画が好き?

北乃:アクションではアンジェリーナ・ジョリーが出ている「Mr&Mrsスミス」や、ジャッキー・チェンの「酔拳」とか。あとK−1も好きなので、CG使ってない格闘技系とかすきですね。ホラーは「悪魔の棲む家」や「死霊のはらわた」だったり、そっち系がすごく好きですね。

Q:ラブコメとかは見ない?

北乃:見ないですね。前に一回見たのが面白くなくて・・「それで?」って感じになっちゃうんです。

Q:「幸福な食卓」みたいな作品はどう?

北乃:こういう家族ものの映画は好きです。他に「明日の記憶」とか。人間の怖さとか入っているのがいいですね。最近は「ミザリー」を見たのですが、ああいう人間の怖さがすき。怖いと言ってもおばけとかはダメですけど(笑)

Q:見るのは好きということですが、実際出演するとなったら?

北乃:嫌ですホラーは!でもアクションはやってみたい。CGなしの。やるならちゃんと練習してやります。

Q:好きな女優さんは?

北乃:アンジェリーナ・ジョリーさんが好きです。「17歳のカルテ」とかも見たんですが、やっぱりアンジェリーナ・ジョリーさんはスゴイ方だなと思いました。アクションの出来るカッコイイ日本の女優さんって少ないじゃないですか?なので、その少ない中に入りたいなと思います。

Q:小滝さんは大作を手掛けられた次に、ご自信の原点に戻ったような青春ものを久しぶりにお作りになられた理由は?

小滝:僕は自分が参加させてもらった作品では「初恋」や「ココニイルコト」だとか、実はそういう作品の方が得意だと思っているんですね。この原作に出会い、どこの家族にも潜んでいる話に惹かれて、ともかく佐和子とかお母さんだとか直ちゃんに会ってみたいなと。

  そして、読んでいるうちにMr.Childrenの「くるみ」という曲が頭の中で勝手に鳴ってきました。それで小林武史さんに音楽を無理矢理お願いをして、桜井さんも彼女を見てもっとピュアに歌いたいと言ってくれまして「くるみ」をレコーディングし直してくれたんです。ですからあれは、元の「くるみ」とはまた一味違う別の曲なんですね。
Q:北乃さんは大画面で初めて自分を見てどうでしたか?

北乃:一回目見たときは、客観的に見れなくて・・。すごく大きなスクリーンに自分が映っていることが恥ずかしくて。2回目は完成披露試写のときに見たのですが、撮影のときの事を思い出したりして嬉し涙がでました。周りもすごく気になって見ていたんですが、笑うシーンは笑って、ラストでは泣いてくださる方もいてすごく嬉しかったです。

Q:自分の顔の印象は?

北乃:変!デブ!太ってるんですよ、中学3年生のとき。あんまり自分の顔が好きじゃないんですよ。ゆりこさんキレイだなとか思って、自分はあまり見ないようにしてました。

Q:ミスチルの「くるみ」の印象は?

北乃:映画に歌詞が合っているなとすごく思いました。河原で歩いているシーンもあの曲があってこそ感動がみなさんに伝わるのかなと思いました。

Q:小滝さん、他のキャストの方々はイメージどおりでした?こだわって選ばれたりとかは?

小滝:みんな最初のイメージどおりなんですよ。お母さんも石田さんしかなくて。初めてのお母さん役だったんですね。で、初めはちょっと抵抗があったみたいですけど、快くやっていただいて。羽場さんもお父さんはこういう人だろうなと。

  直ちゃんも最初から平岡くんしかいないと思っていて、で、小林ヨシコがずっと誰なんだろうと考えていた時に、深夜番組でさくらさんがプロレスの技をかけられていて、そのときの受け応えみてこれは小林ヨシコだと思ってさくらさんにお願いしました。大浦くんはいろんな意味で勝地くんのイメージだったんですね。ちょっとドジなところもありますし。ですから、最初にイメージしてお声がけした人が全員そのまま出ていただけました。
   
  自分の演技はマイナス20、他の俳優さんは1000点。ストーリーは2000点くらい。

Q:来年、新しい挑戦としてやってみたいことは?

北乃:アクションをやりたいです。自分は体を動かすことが好きなので、好きなことをお芝居でできたら すごく幸せだなと思います。

では最後に小滝さんからメッセージを ・・・

小滝:私が手がけたここ数作では本当に心に残る作品です。基本である家族の食卓が、社会であったり地域であったり国の骨格を作っているなということが、この何気ない作品にはあります。感動でき   る作品ですので、ぜひ、ご覧になってください。

   
    
15才という年齢よりすごくしっかりしている印象の北乃きいちゃんは、映画の中と同じようにとて も凛とした雰囲気。自分の意見をきっちり持っていて、好奇心が旺盛で負けず嫌い。「自分の演技はマイナス20点」など自分に厳しい側面を見せたり、今後の成長がかなり楽しみな高校一年生。その彼女の強い意志が、『幸福の食卓』の佐和子に色濃く現われていると思います。
お楽しみに。

                                                 (中西 奈津子)
旧作映画紹介
 

「マイアミ・バイス」

 
「刑事スタスキー&ハッチ」「白バイ野郎ジョン&パンチ」「女刑事キャグニー&レイシー」etc.……。
’70〜’80年代のアメリカのテレビは、軽快なタッチのコンビ刑事ドラマが大人気だった。
そんな中、それまでのコンビ物よりも若い世代の支持を集める事になる、異色のドラマが誕生した。
「特捜刑事マイアミ・バイス」である。
マイアミ・バイス

24時間、ポピュラー音楽のプロモーション・ビデオを流しっぱなしにするMTVの放送が始まったのが、’81年。
当時としては斬新だったこの専門チャンネルは、若者の心をガッチリと掴み、マドンナマイケル・ジャクソンなど、ビジュアルやダンスで魅了するパフォーマーを数多く後押しした。

そのMTVをヒントに、「マイアミ〜」は作られた。
スタイリッシュな映像と流行りの音楽の融合は、まさにプロモーション・ビデオのノリ。
おまけに、キザで、セクシーで、どことなく影が有る潜入捜査官ソニー・クロケットとリカルド・タブスのコンビは、MTVで見るミュージシャンに負けないカッコ良さ、と来れば、若者受けするのも当然だ。

そんな、MTV世代にとっては伝説的なテレビドラマの映画化に、オリジナルの持つ雰囲気をぶち壊す要素は一切許されない。
テレビ版で製作総指揮として携わっていたマイケル・マンに監督が委ねられ、安堵したファンも多いだろう(そもそも、映画化を強く望んでいたのはマン自身であるが)。

しかし、一番のポイントは、主役の二人を演じる俳優である。
ドン・ジョンソンフィリップ・マイケル・トーマスがハマリ役だっただけに、誰が演じてもしっくり来ないのでは?という心配は、フタを開けてみるまで付きまとうだろう。
だが、当代一のモテ男、コリン・ファレルと、ミュージシャンとしても成功を収め、MTVにも登場しているハズの演技派ジェイミー・フォックスは、今考えられる中で最強のキャストなのだ。

――深く静かに潜入せよ。――
このキャッチ・コピーが語るように、ソニーとタブスに、その辺のアクション映画に有るような、ド派手な捜査はタブーだ。
他人に成りすまし、組織の内部から犯罪を暴く事が求められる、“囮捜査官”という最も危険な任務。
マイケル・マン得意の、緊張が張り詰めたような演出が、私生活まで丸ごと売り渡さないと遂行出来ない捜査の厳しさを浮き彫りにする。

太陽が燦燦と降り注ぐ明るいイメージのマイアミの裏側を、ダークな配色のカメラワークと、ムーディな音楽で表現する手法はしっかり踏襲しつつ、監督が映画化にこだわったがゆえのディテールも加え、テレビ時代からのファンにも、これが初めてという人にも、魅力が伝わる仕上がりになっている。
ハリウッドで活躍するSAYURI」組アジア人俳優の一人、コン・リーがヒロインを熱演しているのも見もの。

男の美学が堪能出来る「マイアミ・バイス」は、9月2日(土)より、ナビオTOHOプレックス他、全国拡大ロードショー。                                           (川口 桂)


「ジャーヘッド」〜もうひとつの戦争回顧録

 “世界の警察”の旗印の下、アメリカはあらゆる戦争の中心にいた。本土が戦場になった事が無いにも関わらず、兵士やその家族など、戦争と深く関わり、未だその亡霊から逃れられない人たちがたくさんいる。そのせいか、数々の戦争映画が作られ、その都度“戦争の実態を描いた作品”として話題を呼んできた。
  そして、ここにまた、戦争の真実を新たに突き付ける作品が生まれた。『ジャーヘッド』は、湾岸戦争に送り込まれながら、出撃の機会を与えられる事の無かった海軍兵の“待ち続ける”日々を描いた、異色の戦争映画である。
  湾岸戦争と言えば、思い出すのはテレビゲームのようなニュース映像。あまりにも現実離れしていて、本当に起こっている事なのかと錯覚してしまうほどだった。まんまと情報操作にしてやられていたわけだが、イギリス人のサム・メンデス監督は、それとは逆の演出をこの作品でやってのけている。映画という作り物の世界の中で、原作者A・スオフォード自身の体験を、ドキュメンタリー調の乾いた表現を用い、よりリアルなものに仕上げたのだ。
  戦っていなくても常に戦争と向き合い、気持ちを移ろわせ、違う自分に変えられて帰還する等身大の兵士たちを描くのに、派手な戦闘シーンはいらない。これまでの戦争映画の概念が、今、覆される。

 
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