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『ミッドナイト・イン・パリ』

 
       
作品データ
原題 Midnight In Paris
制作年・国 2011年 アメリカ
上映時間 1時間34分
監督 ウディ・アレン
出演 オーウェン・ウィルソン、レイチェル・マクアダムス、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ 、マリオン・コティヤール、マイケル・シーン
公開日、上映劇場 2012年5月26日(土)~新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマ、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ西宮OSほかほか全国ロードショー
       

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Photo by Roger Arpajou -(C) 2011 Mediaproduccion, S.L.U., Versatil Cinema, S.L. and Gravier Productions, Inc.

~真夜中のパリで遭遇した、夢のような世界とは?~

 

本作は、今年のアカデミー賞で4部門(作品・監督・脚本・美術)にノミネートされ、脚本賞を受賞した。ウディ・アレン監督らしいウィットに富み洗練されたストーリーテリングで魅了し、監督の熟達した手腕が光る作品となっている。76歳にして42本目の本作は、ニューヨークの次に大好きだというパリを舞台に、彼自身が抱き続けた憧れをそのまま投映したようなお話だ。これまたウディ・アレンに似た主人公が理想の時代にタイムスリップするという、『カイロの紫のバラ』のような大人のためのファンタジックな内容で旅情を誘う。多くの人が憧れるパリで、自分にとっての憧れの時代へ行って、憧れの歴史上の人物と直接話ができるなんて、夢のような体験をさせてくれる。大人を心からワクワクさせるこんな嬉しい映画を見逃す手はない!

mip-2.jpg ハリウッドの娯楽作品を手掛ける売れっ子脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)は、富も名声も魅力的な恋人イネズ(レイチェル・マクアダムス)も得ながら何か物足りなさを感じていた。イネズの両親に同行してパリにやってきたギルは、かつてパリで暮らすチャンスを逃したことを後悔しており、そのことをイネズに話すと、「アメリカ以外で暮らすなんて考えられない!」とあっさりはねつけられる。現実的な彼女と理想を追い求めようとする彼との間に、少しずつ距離ができてしまう。

 保守派のイネズの両親ともソリが合わず、イネズはやたら知識をひけらかすポール(マイケル・シーン)と遊びたがり、ひとりパリの路地裏を歩いていると、年代物のクラシックカーが近付いてきてギルの前で停まる。ギルが憧れるF・スコット・フィッツジェラルドとゼルダ・フィッツジェラルドと名乗るカップルに誘われるまま行った先のパーティは、なんとジャン・コクトーが主催者。そこのピアノで歌っていたのがコール・ポーター!……有名人の仮装パーティと思いきや、そこは紛れもなく1920年の“ゴールデンエイジ”と謳われたパリだった。それから毎夜同じ場所で待っているとお迎えが来て、ギルの憧れるゴールデンエイジへタイムスリップして、ヘミングウェイやダリやピカソなどと出会う。

 mip-3.jpgそんな中、当時ピカソのミューズだったアドリアナ(マリオン・コティアール)に一目惚れし、自分の体験談を基に小説を書き始める。アドリアナと過ごす夢のようなパリの夜。だが、アドリアナが憧れるのは19世紀末のパリ“ベルエポック”の時代だという。誰にとっての理想の時代とは、それぞれが生きている時代以外のところにあるというのも皮肉なものだ。はたしてこの体験はギルにどんな人生の選択をさせるのだろうか。

 かつてウディ・アレン自身、「ニューヨーク以外で暮らすなんて考えられない」と劇中のイネズと同じようなことを言っていたが、今ではニューヨークだけでなく、ロンドン・バルセロナ・パリを舞台にした作品も撮っている。最新作『To Rome with Love』ではローマが舞台だそうだ。それぞれの都市が持つ雰囲気を作品の中核に据え、そこで繰り広げられる愚かしくも愛すべき人々の人生を軽妙なタッチで、なおかつ印象深く見せてくれる。

 mip-4.jpg劇中「パリのアメリカ人」が訪れた観光スポットが色々登場するが、どこも有名な観光地ばかり。初めてパリを訪れた人でも、どこか懐かしさを感じられるのは、どこも見知った所ばかりだからだろう。特に、エッフェル塔、ノートルダム寺院、セーヌ川岸、ヴェルサイユ宮殿などはあまりにも有名。そんな中、ちょっと珍しかったのは、主人公ギルが真夜中にクラシックカーを待つ場所だ。パリ5区カルチェ・ラタンにあるパンテオンの裏手のモンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通りに面した建物の階段があるところ。もしかして、理想の時代へ連れて行ってくれるかも知れない。今後映画ファンの間では観光スポットになるに違いない。早速「パリ満喫ロケ地巡り」へと行ってみることにしよう。(河田 真喜子)

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Photo by Roger Arpajou -(C) 2011 Mediaproduccion, S.L.U., Versatil Cinema, S.L. and Gravier Productions, Inc.