―――テレビとアプローチの仕方が違ったと思いますが、るいの心境の変化や愛情表現をどのように解釈されましたか?また、どうやって年齢差を越えた愛の深さを表現されたのでしょうか?
鈴木:撮影前に監督とも話し合ったのですが、とにかく今回の映画は二人の心の動きをじっくり表現する。そして強い気持ちで相手と向き合おうと思いました。るいの気持ちを表現するのに思い惑うことはあったのですが、最終的には相手を全部受け入れる強さが持てたのではないかと思います。
━━━キャストもスタッフもドラマと同じですが、映画に落とし込む際にドラマとは違うという部分や心がけたことはありますか?
監督:特に映画だからこれを変えようとは意識せずにやろうと思いました。撮り始める前に京香さんや長谷川君とも話をしたのは、一本の作品としてまずは満足していただけるものを作らなければいけないよねと。2時間というドラマシリーズよりさらに短い時間の中で描いていかなければいけないので、より深く緻密に、細部に目を凝らしたようなことをやらなければいけないと思ったのが一つあります。逆にぐっと世界観を広げて、今回マレーシアを舞台に選んだのですが、主人公るいと相手役の行の二人が世界の片隅にぽんと置き去りにされたような舞台を作ってみました。そこはかなり雰囲気の変わった作品になったと思います。
━━━行は寝たままの状態で、内心を表情で表現するのが難しかったと思いますが、表現する上で心がけたことはありますか?
長谷川:僕の場合はある程度負荷がかかっている方が、より役に入り込みやすいというか、五感が研ぎ澄まされるという部分があります。何かをやろうとするよりは、カメラを信用して、基本的には心の部分を大事にしました。
━━━ドラマと映画でるいを演じて、恋愛観や価値観で変わったことがあれば教えてください。
鈴木:ドラマにインするとき、終わるころには「17歳年下もありだと言いたいです。」と言ったのですが、やはり17歳ってすごく下ですよね。ただ、そういうことではなく、相手のすべてを受け入れることが一番強いことなのではないかと捉えるようになりました。自分の考えを押し付けたり、相手に何かを求めるのではなく、受け入れていくことは本当に強い愛の形なんだなと思いました。
━━━映画をやったことで、さらにるいという役に共感できた部分はありますか?
鈴木:ドラマをやったときに、本当にるいという女性が好きになっていたので、私の年齢でこの役が回ってきたことにすごく感謝しています。逆に映画でもう一度やれるとなったときに、今度はどうやっていいか実は戸惑いもしましたし、難しいなと思いました。ドラマでは人間関係や社会的なものと向き合った時に彼女や色々なことが表現できていましたが、映画の中になってはじめて二人だけ置いてけぼりになった空間の中で、じっくり向き合うことができた気がします。今では、映画があったからこそ、相手のことをよく見て受け入れられるようになったのではないかと思います。
━━━濃厚なベッドシーンが多いですが、どのように演じましたか?
鈴木:どういう風に表現するかを細かく台本に書かれている訳ではないので、いきなり映画となると、演じるのが難しいです。でも、ドラマで長谷川さんと何度も相談し、信頼し、委ねられることができたので、スムーズに撮影できました。とてもきれいなシーンになったと思います。
━━━るいや行の役を演じることによって、役の人生観や恋愛観に引きずられることはありますか?
鈴木:役を演じることによって、個性が広がるのはいいと思いますが、私が極端に変わってしまうことはないですね。できることなら、全く違う考え方でその期間生きれたら素晴らしいと思いますけれど、集中しているのは撮影の期間ですから、家に帰ったら私はいつもの自分、鈴木京香に戻りたいと思っています。意外と引きずられるものではないです。
長谷川:鈴木行というよりは、目標に向かってすごく突き進んでいった男で、そこがるいを愛するという気持ちに変わっていくわけです。恋愛ということを考えるよりは、ほしいものを得るための情熱が出せればいいなと思っています。
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