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★『さや侍』 記者会見と舞台挨拶

左から熊田星亜、板尾創路、松本人志監督、主演の野見隆明
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(C)2011「さや侍」製作委員会

『さや侍』
合同記者会見と
大阪ステーションシティシネマでの舞台挨拶


(2011年 日本 1時間43分)
監督・脚本:松本人志
出演:野見隆明、熊田聖亜、板尾創路、柄本時生、りょう、
    ROLLY、腹筋善之介、清水柊馬、竹原和生、伊武雅刀、
    國村隼

2011年6月11日(土)〜全国ロードショー
・公式サイト⇒  http://www.sayazamurai.com/
・グッズプレゼント⇒こちら

 監督第3弾「さや侍」(6月11日公開)を撮ったダウンタウンの松本人志監督が7日、来阪PRを行い、監督に徹した新作に「棺おけに持っていける映画」と自信のほどを語った。直後には、大阪駅に出来た「大阪ステーションシティシネマ」のシアター1で行われた試写会で主演の野見隆明、共演の板尾創路、子役の熊田聖亜らとともに“こけら落とし”の舞台あいさつも行い、満員の観客から喝さいを受けた。
≪記者会見≫
――第3作について?
松本人志監督: 頑張りました。
複雑さ、不可解さを前面に出していない。今回はおとぎ話をやろうとした。笑って泣けて…そういう映画がPRではよく見るが、意外に少ない。誰が見てもよくわかる、笑いと涙の映画になったと思う。
板尾: 松本さんのやりたい方向性を考えてやった。
コントを作っていた時代とほとんど変わらない。のびのびと参加することができました。
――初の時代劇だが?
松本監督: 撮ってみてこんなに大変なのかと思った。ほとんどデイシーンだし。ヅラ直しでイライラした。2度とやりたくない。
板尾: 時代劇は何度もやりましたが、こんなに長時間ヅラつけたのは初めて。江戸時代の人はなんであんな髪型にしたのか、江戸時代が嫌いになりました。
――プロの俳優じゃない野見隆明氏の主演はいつから構想していたのか?
松本監督: 映画会議をムチャクチャやったんで、いつから野見さんになったのか分からない。昔、番組をやった時に「いつかこの人とやりたい」と思っていた。
――3本目の映画になるが?
松本監督: 映画……何ででしょうね。なぜこんなにつらい思いしてまでやるのか?
映画に限らず表現することはずっとやっていきたい。棺おけまで持っていけるものを作りたいと思っているし「さや侍」はそれに値するものやと思う。
映画は海を渡るものやし、ずっと残っていく。出来る限り続けたい。自分の思いが今回出来た。(自分が出ず)人を使うことでストレートに表現できたかな、と。

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≪舞台あいさつ≫
――野見さんの主演抜てきは?
松本監督: ギャラ安いんですよ。完全な素人なので、失敗したら「あいつのせいや」って言えるし(笑)。
誰もやってないことをやろうとした。撮影の仕方も最初はドキュメントですよ。野見さんは演技じゃない。最初、みんなに「笑わないでくれ」と言って、みんなで(野見さんを)無視した。國村隼さん(殿様役)は笑いをこらえていた。若君(役の少年)は「全然別に面白くない」って言っていた。野見さんは、2度と会いたくない、あんな汚いもの、こけら落としでかけていいのかと…(笑)。
――ユニークなエピソードもいっぱい
板尾: 話せないエピソードもいっぱい。ヘビは本物でしたしね。最後、(野見さんが)ひもみたいに巻いていました。
熊田: (野見さんの)腹踊りは私がおなかに絵を描いたんです。
松本監督: うどんを鼻からすするのはホンマにやった。あんなにスルッと入るのかなと思った。
――大阪ステーションシティシネマのこけら落としについては?
松本監督: こんなに格がしっかりあるのはなかなかない。
――最後にひと言
松本監督: 今までのものとは違うけど、後半はけっこうマジで作りました。見てください。
【解説】
 松ちゃんこと松本人志の監督第3弾は初めて本人が出演せず、監督専念で“マトモな映画”になった。著書、松本人志の「シネマ坊主」の的確な分析、批評で知られる彼は映画への理解度は相当高いはずだが、過去2作「大日本人」「しんぼる」はお笑い芸人として意表をつくことが主なテーマで、そこだけで“違い”を見せた。巨大な松ちゃんが暴れる「大日本人」はともかく、松ちゃんが個室に閉じこめられる「しんぼる」はひとり芸によるギャグでテレビのバラエティーとの差(映画らしさ)はなかった。
 「さや侍」は松本人志監督が真に存在を問うた“本気”映画。侍であることをやめ、刀を捨てた野見勘十郎(野見隆明)は追い詰められ、捕らえられる。が、変わり者の殿様(國村隼)は勘十郎に“30日の行”を科す。それは笑うことを忘れた息子を笑わせることが出来たら無罪放免になる、というもの。かくて、勘十郎の“30日間の戦い”が始まる…。
 鼻からのうどんすすりや、腹踊り、どじょうすくいをはじめ、見るからにみすぼらしい勘十郎が真面目くさってこっけいなことをやってのける姿はおかしい以上に痛々しく、視点を変えれば賢いのにアホな芸に心を砕く松ちゃんを思わせもする。
 そんな父親に付き添う幼い娘(熊田聖亜)が毅然として、救いになっている。侍を捨てた父親に切腹を勧めもするが、無罪放免へ努力する父親を励まし、ともに戦うようになる。娘の提案で屋外に出た野見の挑戦は人間花火や人間ロケットなどスケールはますますデカくなる、だが殿様の子は病的なまでに無表情。最後のチャレンジ、巨大紙風船にもむなしく敗れた野見はついに切腹の日を迎える…。

 ズバリ“人を笑わせること”に命をかける男という主題は、松ちゃんのみならず、お笑い芸人の生きざまそのもの。笑ってもらわなければ人気(芸人生命)がなくなるという象徴的なストーリーだろう。芸人松ちゃんがクールに自分をみつめた映画に心情が籠もったのは当然かもしれない。だが最後、野見の墓前に本人が現れるのはただの幻想か、切腹なんてなかったというシャレか。お若い芸人のサービス精神とすれば蛇足としか言いようがない。
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