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★『恋愛戯曲〜私と恋におちてください。〜』 鴻上尚史監督記者会見 |
(C) 2010 映画「恋愛戯曲」製作委員会 |
『恋愛戯曲〜私と恋におちてください。〜』
〜天然小悪魔・深田恭子を堪能できる
鴻上流ラブコメディ〜 (2010年 日本 1時間46分)
監督・脚本 鴻上尚史
出演 深田恭子 椎名桔平 塚本高史 清水美沙 西村雅彦 2010年9月25日よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネセゾン渋谷、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
関西では、 テアトル梅田 なんばパークスシネマ MOVIX八尾 MOVIX堺 MOVIX京都 シネ・リーブル神戸 MOVIXココエあまがさき
公式サイト⇒ http://koiochi-movie.jp/ |
過去に2度上演された鴻上尚史の人気舞台『恋愛戯曲』を、鴻上自身が映画化。若くして成功したものの恋をしないと物語を書けない女流脚本家と、何とか締め切りまでにシナリオを仕上げてもらいたいドラマプロデューサーが“強制恋愛”を繰り広げるドタバタ・ラブコメディ。スランプに陥った脚本家を深田恭子、何かと彼女に翻弄されるプロデューサーを椎名桔平が演じる。
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この作品のポイントは、物語が第三階層まで掘り下げられているところ。現在と脚本中の世界とまたその中の世界…とまるで『インセプション』(?)のように場面展開していく。大阪でインタビューに応えてくれた鴻上監督は「僕は単純な話はあまり好きじゃない。遊び心のある、迷宮感覚が味わえるものが好き」と作品のスタイルについて語る。舞台を映画化する上で脚本も大幅に進化させた。「舞台は第三階層まで衣装もセットも変わらず、俳優の演技力のガチンコ勝負になっているけど、映画はもうひとつ広がりをもたせたいなと。同じ場所の物語だと苦しいので、テレビ局の“営業と編成と製作”の三つ巴を付け足しました。」 |
このテレビ局内の手柄の取り合いが、結構ありそうで笑える。脚本家をヨイショして、スポンサーに媚びへつらい、同僚とは対立する。テレビ局って威張っていそうに見えて、実は中間管理職の極みかも。古臭い体制が残る業界のリアルさを感じるが、もしかしてモデルがいるのだろうか。「実は、僕はテレビドラマの脚本を書いたことがないんですよ。だから、モデルはいない。でも、逆にテレビ局と深く関わっていたら、製作と営業と編成の三つ巴みたいな内部のゴタゴタは生々しすぎて書けなかったでしょうね。演劇界では劇中のように面倒見てくれるプロデューサーはいないです。ほっとかれておしまい(笑)動く金額が大きいテレビ局には、こういうプロデューサーはいるんでしょうね。だからこそドラマが生まれる」 |
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ちなみに、脚本家の主人公を女性にしたのは「男だと自分の事かと言われそうだから」(笑)では、鴻上さんにも書けなくなることはあるのか聞くと「僕は根がまじめで責任感が強いので(笑)2、3日は遅れることがあっても、書けなくなったことはないですね」とキッパリ。しかし、実際は大物作家でも締切に全然間に合わない人もいるんだとか。ちなみに、有名なドラマ脚本家の北川悦吏子さんはこの映画のあらすじに対して「恋に落ちてもいいと思うようなプロデューサーなんていないわ!」と名言を残したそう(笑) |
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舞台の初演では主人公を永作博美、再演では牧瀬里穂が演じてきたが、今回、深田恭子を起用した理由について「主人公はアラサーのイメージだったんですけど、映画にするにあたって、もっと破壊力のあるものにしたいなぁと。そこで、20代の脚本家が大人を翻弄する方が面白いと考えた。第三階層はゴージャスだから、胸の谷間が見えるような赤いドレスが似合う人がいいなと(笑)それから深田さんのヤッターマンを見て、これはもう映像的に文句ないなって。それに、彼女は衣装から入る人で、衣装のイメージを伝えると、その衣装にふさわしいキャラクターになれる。第二階層の疲れた主婦の服を着ると、もうそこに疲れた主婦がいる」
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本作のテーマは恋と仕事。主人公は恋にも仕事にも積極的でスイッチが入るとのめり込むタイプ。日本では草食系という言葉が流行るくらい内気で消極的な恋愛が主流になりつつあるが、やはり恋愛とはガツガツ行くべきなのだろうか。「映画を見終わったあとに、恋愛したいなと思ってもらえたら嬉しいけれど、別に両思いになる必要はないんですよ。要は、ときめく経験ってした方がいいよってことなんです。スポーツって1、2年しなくてもたいして気にならないんだけど、たまに汗を流すと、やっぱりスポーツっていいなと思う。リフレッシュしてよく眠れたり、全細胞が若返る気持ちになる。やってない時に、スポーツっていいよと勧められても「なんで?」って思うけど、恋愛もそれと同じ。いざトキめいてみると、恋愛ってこんなに素敵なんだって実感する。コンビニの店員さんにときめくだけでも、随分活性化しますよ。そういう意味での恋愛って、未婚・既婚関係なしに必要だと思う。でも、草食系はまだマシで、最近は“草”になっている若者が多い。僕は草、自分からは動かない、誰か食べに来て。だって動くと傷つくんだもんっていう(笑)それを、とやかく言うつもりは無いんだけど、恋愛って激しい苦しみをくれるものは激しい喜びをくれる。そこそこの苦しみには、そこそこの歓びしかない。やっぱり片思いであろうと飛び込むことがいい。いろんな励みになるのになと思います。」
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