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 『REDLINE』
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★『REDLINE』 石井克人+小池健 記者会見

(C)2010石井克人・GASTONIA・MADHOUSE/REDLINE委員会

『REDLINE』
〜必見!石井克人×小池健が描く
         臨界点突破のレースアクション〜

(2010年 日本 1時間42分)
原作・脚本・音楽 石井克人
監督 小池健
声の出演 木村拓哉 蒼井優 浅野忠信 

2010年10月9日(土)〜梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、Tジョイ京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー
公式サイト⇒  http://red-line.jp/

 『サマーウォーズ』『パプリカ』などの傑作アニメを次々と輩出するマッドハウスが、7年の製作期間を費やし完成させた『REDLINE』がいよいよ10月9日より一般公開となる。遠い遠い未来、宇宙最速を決める超過酷なレースの祭典「REDLINE」に参加を決めた命知らずのレーサーたちの熱いデッドヒートを描く。原作・脚本は『鮫肌男と桃尻女』『山のあなた 徳市の恋』など話題作を手がけ『キル・ビルVol.1』ではアニメパートを担当した石井克人。監督は、『PARTY7』『茶の味』など、石井作品のアニメ部分を担い、『アニマトリックス』で世界的に注目を集めた小池健が努める。
 体感する映画というふれ込みの通り、この作品マジで突き抜けている!マシンやキャラクターのデザインは、近未来的でポップでありながら、どこか懐かしさも感じさせるビジュアルで肌なじみがいい。それでいて、レース場面の身体が振動するようなスピード感と迫力は、実写映画以上にダイナミックで痺れた。なかでも一番の驚きは、とても緻密で生命力溢れる作画が、車も背景もすべて手描きだということ。作画10万枚を4年かけて描いた監督らの努力と根性の賜物が、CGでは表現されないリアルなスリルと興奮を生み出した。
 実写映画においてもアニメーションの世界でも型にはまらず、柔軟な発想で作品を撮り続ける石井克人は本作の着想について「『キル・ビルVol.1』が終わったあとに、ああいうバタ臭いアニメを日本でも出来ないかなと考えていた。あと、僕が子供の頃に「アストロ球団」や「ワイルド7」を見てショックを受けたように、今の子供たちにもショックを受けるようなアニメを見させてあげたいという思いがベースになっています。ちょうどその時、小池監督と一緒にどうですかと話を頂いたので、昔、小池監督と一緒に作った『TRAVA』をベースにSFものでレースものができたらいいなとプレゼンしました。」それを受けて「多彩なキャラクターがたくさん入っていて、レースもSFも好きなのできっと面白くなる」と確信したという小池監督は、完成に至るまで普通のアニメーションではありえない実験を重ねてきた。

 
「車とかメカを正確に描くのは非常に大変な作業なので、現在のアニメーションの主流はCGに移行しているものが多い。でも、僕は“デフォルメ”とか“軋み”とかダイナミックな表現が好き。だけど、そういったものはCGで表現できない部分が多いと感じているんです。激しい動きだったり、デフォルメをつけたポージングだったりは自分の得意分野なので、手描きで挑むことはスリルになると確信していました。車のブレなどをカメラのブレで済ませるアニメーションもありますけど、それだと臨場感がでない。車内のコックピットの軋み感や、キャラクターのブレ具合も全部ずらして変えて描いています。」なかでも一見過ごしてしまいそうな群集シーンには一番時間がかかっているそうで、8秒ほどの群集シーンで3ヶ月(!)冒頭のイエローラインのレースで2年(!!)かかっているのだとか。気が遠くなるような話だが、それだけ見ごたえのある画面に仕上がっている。  
 そんなアニメ大作を完成させた小池監督を石井は天才と評する。「人物キャラクターの描き分けができて、車やメカみたいな物のパースと三面図が描けて、画面のレイアウトができて、美術設定もできて、絵コンテも描く。本来、それが全部できる人って宮崎駿さんぐらいなんですよ。でも、小池監督はそれを全部1人でやっている。すごい、天才ですよ。しかも、4年かかった作画期間は、朝8時に会社に来て夜の11時に帰るという生活を360日間続けていた。体も丈夫なんです(笑)」そんな絶賛のコメントに対して「単純に僕は、自分が出来ることしか表現できないだけ」と謙虚な監督。「何か作りたいと思ったとき、背景もキャラクターも自分で描く、CGを使わないスタイルは今の時代を逆行していて挑戦になる。でも、まぁ好きでやっているだけです。」
 レースシーンの他に、注目して見たいのが主人公・JPのキャラクター設定だ。ルックスはリーゼントに革ジャンを決めてクールだが、性格はウルトラ純情というJP。武器搭載OKの熾烈なレースでも、頑なにスピードだけで勝ちを目指し、友情にも熱いうえに、初恋の相手ソノシーに何年も片思いを続けるシャイなヤツだ。今までいそうでいなかった主人公の性格設定はどのように作り上げたのか。キャラクターデザインを手がけた石井に聞いてみた。「最初はまったく逆のタイプでした。26人子供がいる“種馬レーサー”という設定で、子供の養育費のためにレースに出るっていう(笑)このままストーリーを考えていくと、これ相当長くなるよって(笑)JPが内縁の妻と手を切って、ソノシーと一緒になるまでを書いたら大変だから、じゃあ真逆でいこうと。あまりいないキャラクターだけど、それも面白いんじゃないかな。」ちなみに“種馬レーサー”案を最初に聞いた小池監督は「どうしよう。消化できない」と焦ったそう(笑)

 そのJPに声を当てるのが木村拓哉だ。これが、かなり役にハマっている。真面目で一途で負けず嫌いで優しいというJPのキャラクターと木村の素の性格がそのまま重なり、劇中のJPが段々、木村拓哉に見えてくる。そういえば顔も似ているような気も。特にリーゼントで出演していた『TV's HIGH』の頃の木村を彷彿とさせる。その質問を石井にぶつけてみると「描いているときから意識はしています。ヒーローだし、想像するのはタダだから木村さんで書いてみようと(笑)CM撮影で8年ぐらい一緒に仕事していて、木村さんが車好きでマニュアルしか乗らないっていうのも知っていたし、カッコいいし、優しいし、純粋だし、JP役にピッタリだなと思っていました。アフレコは、叫びの所も全力でやってくれて、声を嗄らしながらも、朝から夜にかけてきっちり1日でやってくれました。」
 そして、ソノシーを演じた蒼井優は、今までにないセクシーな役柄で新境地を開拓した。蒼井を選んだ理由は「色々な役者さんから蒼井優はヤバイですよと聞いていたんです。キャラクターになりきるのが上手すぎると。アフレコでは、キャラクターを作ってきてくれました。本人がアフレコしているのに、本人かどうか分からない(笑)どこから声だしてるの?って(笑)」確かに。蒼井優は声優一本でも成功できるくらいポテンシャルが高い。小池監督も「台本にないような状況も頭に入っていて、その上で演技もしてくれるので説得力がある。」と絶賛する。

 JPの親友でメカニックのフリスビーには石井作品常連の浅野忠信が扮した。「浅野さんは、声優は初めてなんですけど、フリスビーが画面から切れるとアドリブで勝手なこと言い出すんです(笑)声優でアドリブなんて無いだろと思いつつも、それがピッタリなんですよ。そのキャラクターがおそらく言うだろうな、ということしか言わないので、アドリブも採用しています」

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