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★『MADE IN JAPAN こらッ!』舞台挨拶 (2011.10.15)
『MADE IN JAPAN こらッ!』舞台挨拶
ゲスト:高橋伴明監督、大西礼芳

(2010年 日本)
監督:高橋伴明 脚本:和間千尋
出演:大西礼芳、松原智恵子、山路和弘、松田美由紀

2011年9月24日〜京都シネマ、
10月1日〜渋谷ユーロスペース、10月15日〜第七藝術劇場、
近日〜名古屋シネマテーク にて公開
公式ブログ⇒ http://ameblo.jp/made-in-japan-kora/
 京都造形芸術大学の学生がプロと組んで映画を製作する“北白川派映画芸術運動”の第二弾、高橋伴明監督の「MADE IN JAPAN こらッ!」が10月15日、大阪・十三の第七藝術劇場で公開され、高橋伴明監督と主演を務めた京都造形大の現役3回生・大西礼芳(21)が舞台あいさつした。

 罰当たりな“崩壊家族映画”という型破りな映画を学生脚本(和間千尋=当時3回生)と学生の大西主演という大胆な起用で撮った高橋監督は「大学から、学生たちとプロが協力して映画を撮ろうという話があり、こういう形の映画には可能性がある、と思った。脚本は当時学生で、第1稿から1年かけて直したが、自分では手を入れず直させた。こういう話で、本人は救いを書いてきたが、そこの部分は全部はずさせてこういう形にした。主演は、学内でオーディションしたが、私は彼女(大西礼芳)が1年の時から目をつけていた。今はやりの顔じゃないので、彼女なら大丈夫、と思った」。
 大抜擢の大西は「選ばれてうれしかった。オーディション仲間はみんな先輩だったので、プレッシャーはきつかったですが」。
 松田美由紀や松原智恵子らプロの俳優との絡みもあるが「けっこう渡り合っていて、遜色なかった」と高橋監督。大西も「こういう人たちとやらせてもらえる貴重な経験をさせてもらいました。映画の中で『笑ってもいいですか』といところは笑えなかったので『笑えません』に変えてもらいました。撮影は大変でしたが、宣伝・配給業務などにも参加してこの1年、いろいろ楽しかった」。大西は次回作に大御所・若松孝二監督作品への出演が決まっている。
 学生プラスプロのコラボ、北白川派については「どこまでプロがやるかだけど、あと2 〜 3本やっていくことが大事になる」と大西監督。
「MADE IN JAPAN こらッ!」
ごく普通の家族に見える杉田家だったが、要の祖母(松原智恵子)の死を境に母春子(松田美由紀)も父も娘雛子(大西礼芳)も勝手なことをやり始めてバラバラになっていく。崩れっぷりが凄まじい。マザコンの父は引きこもり、女装に化粧。母は近所の身障者の世話が生き甲斐に。牛乳配達の雛子は配達した家の呼び鈴を押しては怒られる。娘は友人の家に、母は身障者のところへ。離婚が成立したら娘も父に「勝手に家に入るな」と言われてぶちギレ。チェーンソーで「家」を打ち壊し始める。
 伝統の松竹ホームドラマをはじめ、小津安二郎、成瀬巳喜男、木下恵介、それに現代の大御所・山田洋次まで、日本映画は家族の有り様を描いてさまざまな名作を生み出してきた。その中にあって、“逆家族映画”はいかにも反骨男・高橋伴明監督らしい。本人は少々胡散臭い家族映画の嘘を痛烈に暴いて見せた映画。
 前作が「BOX袴田事件」、その前が「禅」、「火々」と近年、1作ごとに異なる題材を取り上げて日本映画を活気づけている。今回も「学生ら若い人と一緒に作ることに刺激を受けた。あくまで授業の一環だからね。北白川派として何本か続けていかないといけない」と伴明監督。

 「今風の顔じゃない」ことが決め手になりオーディションで主演に抜擢された大西は」。出づっぱりだった自分をスクリーンで見て『随分幼いなあ、と思った。母が雛子(主人公)みたいな人なので役作りは苦労せず母の通り演じた』と笑った。
 次回作は若松孝二監督の「千年の愉楽」出演が決まっている。京都造形大学からフレッシュなヒロインが飛び出した。
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★『MADE IN JAPAN こらッ!』 インタビュー
『MADE IN JAPAN こらッ!』インタビュー
ゲスト:高橋伴明監督、大西礼芳

(2010年 日本)
監督:高橋伴明 脚本:和間千尋
出演:大西礼芳、松原智恵子、山路和弘、松田美由紀

2011年9月24日〜京都シネマ、
10月1日〜渋谷ユーロスペース、10月15日〜第七藝術劇場、
近日〜名古屋シネマテーク にて公開
公式ブログ⇒ http://ameblo.jp/made-in-japan-kora/
 高橋伴明監督が自ら教授を務める京都造形芸術大学とのコラボで「MADE IN JAPAN こらッ!」を撮り15日来阪、主演した学生女優・大西礼芳(21)とともにPR会見した。製作は京都造形芸大の「北白川派」。公開は秋予定。製作費500万円、脚本は当時3回生の女子大生だった和間千尋 、撮影、録音、照明から配給、宣伝まで学生主導という学生映画の新たな挑戦だ。

 祖母(松原智恵子)の死を機に、父、母、娘(大西礼芳)がそれぞれ勝手気ままに主張しはじめ、バラバラになる“罰当たりな家族”を描くアンチ家族映画。いかにも現代学生気質、今どきの家族を感じさせて笑わせながらぞっとさせるところが伴明流か。
 ●高橋伴明監督と一問一答
 ―学生との仕事は難作業だったのでは?
「 (学生は)撮影に入るまでの組み立て、準備が出来ない。共同作業に慣れてないんだね。今は撮影機材も良くなって、1人2人でも作れる。大勢の人間で一緒に作ることが苦手だね」。
 ―学生(和間千尋)の書いた脚本だが、どれぐらい手を入れたのか?
「1年ぐらいかかって書き直させた。家族構成だけは変えてない。彼女は根が優しいから、家族が再生する方向に向かう。その部分は全部削除した。「再生しなくていいんだ」と」。

 ―日本映画は戦前の松竹時代から、ずっと家族を描き続けてきた。その伝統への反逆、挑戦か?
「いや、私はそんな大それた監督じゃない。平和に見える家族だけど、こういう家族はどこにでもある。それを少しデフォルメした。今は個人主義と自己チュー(中心主義)をはき違えている。映画は自己チュー人間ばかり。個人主義は相手を尊重することで成り立つものだから。30年前はこういう家族にはならなかった。(当時)すでに芽は出ていたけどね」。

 ―どんなところが?
「電車の中でおばあさんが立ってるのに若い女が平気で化粧してるところなど…。」

 ―30年前にはなかった?
「なかったね。ちゃんと日常生活していた」。」
―主演の大西さんにはどんな指導を?
高橋監督 「役者さんに指導などしない。演技指導は監督の仕事じゃない。映画の世界観を作るのが監督の仕事で俳優はそれに向かう演技ならそれでいい。大西さんにも『こずるくやらないで思いを表現してほしい』と。キチっと役者やってた」。
大西礼芳  「(主人公)雛子は憧れの存在で、私の中にも雛子の部分がある。実は私の母親が雛子タイプで、一番やりやすかった」。
 ―彼女を抜擢した決め手は?
高橋監督 「古い人間に見えたこと。日本人のDNAというか。仏像にも見えるし、入学した時から印象に残っていた。正直、ここまでやれるとは思わなかった」。

 ―松田美由紀さんは?
高橋監督 「独特な作り方が出来る人。(映画の通り)変な奴じゃないですか」。

―監督の映画は見た?
大西礼芳「 はい。「禅ZEN」「光の雨」「TATOO(刺青)あり」「火々」です」。

  −撮影中、心がけたことは?
大西礼芳 「自然な演技をこころがけていて、この映画でもそうしようと思ったんですが、プロの俳優の皆さんは舞台のようにハイテンションで、画面で見るとそれがピタッと合っていた。私は映画の中で『笑って見ろ』と言われたところで笑えず『笑えません』というセリフに変えてもらいました」。

−「北白川派」の2本目だが、今後の北白川派の可能性は?
高橋監督 「次の第3弾、山本起也監督の『カミハテ商店』はなかなかよさそうだよ。来年には第4弾として林海象監督の『生きるあかし』も決まっている。プロが学生を支える、という作り方はほかにないし、こうした動きの中から僕らを超える監督が出てきたらと期待を持っている」。

 −監督は何を教えている?
高橋監督 「シナリオと映画製作のゼミだけど、今度、書き取りからやろうと思っている。ものを伝えるのが仕事なんだから、基礎からキチっとやらないといけない」。

 −監督にとっては? 
高橋監督 「学生とのコラボで化学反応かな。違う人と出会うことによって自分の中で変化が期待できる」。

【MADE IN JAPAN―こらっ!―】物語
 何事にも無関心な18歳の杉田雛子(大西礼花)。父・完治(山路和弘)は会社員、母・春子(松田美由紀)はホームヘルパーのごく普通の家族。だが、家族の中心だった祖母・妙(松原智恵子)が死んだことから、完治は引きこもり、遺影の前で酒ばかり飲む生活。祖母の服まで着始め変調をきたした父に愛想を尽かした春子はヘルパー先の足の不自由な青年・健一に愛情を注ぐ。一方、牛乳配達しながら配達先のチャイムを鳴らす意味ないいたずらを繰り返す。健一の唯一の家族・姉の貴子が「甘えます」と書置きして家出。杉田家では雛子にはずみで階段から突き落とされた春子は「ひとりになった健一と暮らす」と彼女も家を出る。
 崩壊していく家族。無関心だった雛子も「家は他人の快適な生活を守るためにあるの。私の快適な生活が守られていない」とブチ切れてチェーンソーを手に「家」を壊し始める。

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