━━━今回併映される『蛾意虫』はホラーテイストだが、今回恋愛映画に仕上げた意図は?
前作の『蛾意虫』は、ホラーと若い男女の恋愛を組み合わせて描きましたが、ホラーの部分がより取り立たされてしまったので、本作ではお芝居をちゃんと撮りたいと思っていました。普段人間が隠したい部分を見せるために、恋愛という素材を使っています。人間の格好悪い部分を描くことで、人間の愛おしい部分を描きたかったのです。
━━━本作は、若い俳優たちの演技が光っているが、キャストとのどんな部分に期待したのか。
冬子の高校時代の元彼を演じてもらった高木君とは、長野県上田市で開催されている城下町映画祭で出会いました。実は半分高木君を想定して書いたんです。彼は、見た目爽やかで、女の子にすごく思い入れがあるのに空回りする役が多いのですが、ただのいいヤツというイメージを崩したい。彼の不安定な弱さや、ちょっと腹黒いところを見せたいと思いました。
谷尾さんは、体育の先生の免許を持っているぐらい真っ直ぐないい人なのですが、オーディションでお会いしたときに目がすわっていたんです。心の奥が見えないというか、白黒はっきりつかないところが人間の面白いところで、そこを表現してもらいたいと思いました。
━━━西山さんは『へばの』や『FALLING』での役に比べておとなしめだったが。
加藤麻矢監督とは映画美学校の同期で、『FALLING』の手伝いをしていたときに西山さんと出会いました。オーディションで役者としての魅力は感じたものの、今回はピタリとくる役がなかったので、出番は少ないですが今後ぜひ出てもらいたいという意味も込めて出演してもらっています。2シーンしか登場しないから何をやってもいいということで、スピンオフ企画として東京で上司した際もパフォーマンスをやってくれました。大阪でも「週刊小宮由紀 大阪編」として西山さんがパフォーマンスを披露してくれますよ。