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 『ヒック&ドラゴン』
 クリス・サンダース監督
 ディーン・デュボア監督
★『ヒック&ドラゴン』クリス・サンダース監督、ディーン・デュボア監督インタビュー

(C) 2009 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.
『ヒック&ドラゴン』 (How To Train Your Dragon)
〜人間とドラゴンの理解と友情が、
           武器をもたない世界を作る〜

(2010年 アメリカ 1時間38分)
原作 クレシッダ・コーウェル
監督 クリス・サンダース、
 ディーン・デュボア 
声の出演 ジェイ・バルチェル ジェラルド・バトラー アメリカ・フェレーラ

2010年8月7日(土)〜新宿ピカデリー、梅田ブルク7 TOHOシネマズ梅田 なんばパークスシネマ TOHOシネマズなんば 他にて全国ロードショー
公式サイト⇒  http://www.hic-dragon.jp/

 『リロ&スティッチ』を手がけたクリス・サンダース&ディーン・デュボア監督コンビが、最新アニメ『ヒックとドラゴン』をひっさげて来日。2人揃ってマスコミの取材に応じ、映画に込めたメッセージや、大いなる影響を受けたと認める宮崎駿について語った。映画は、心優しいバイキングの少年・ヒックと傷ついたドラゴン・トゥースの友情を描いた感動巨編。バイキングの掟ではドラゴンを倒してこそ一人前と認められる。そんな人間とドラゴンが敵対する世界で、互いの立場を理解しあい交流を深めていくヒックとトゥースの等身大の姿を迫力ある映像で壮大に表現する。


 初めは人間を襲う凶暴な動物として描かれているドラゴンだが、ヒックとトゥースが絆を築きあげていくにつれ、獰猛なドラゴンたちのナイーブな素性が現れてくる。首筋をなでられると気持ち良さそうにしたり、ヘビに怯えてみたり。そんなドラゴンたちのギャップのあるキャラクター設定も本作の見所のひとつ。「ストーリーを作る時、どの時代に設定するかに関わらず、周りの人に似ているキャラクターを作るんです。人間にとってどこか普遍的な資質を取り入れることで、キャラクターがよりリアルになる。あと、ドラゴンにはわざと動物にありがちな動きを入れました。蛇、オウム、アザラシなど。トゥースに関しては犬ですね。また、ドラゴンの巣にしても蜂の巣っぽい感じを出している。そういう真実味をいれることで、もしかしたらドラゴンって本当にいたかもしれないと思わせるようにしています。」(ディーン)
 ヒックとトゥースが出会って間もなく、徐々に互いの警戒を解いて信用を築き、触れ合っていく場面が印象的だ。ヒックの行動をじっと見つめるトゥースが、おもむろに動きを真似る場面は『E.T.』を彷彿とさせる。「実は、あの場面でインスピレーションを受けたのは『少年と馬』という映画なんです。少年と馬が信頼関係を築いていく場面が、言葉なしに音楽と映像だけで描かれていく。信頼していない両者のやりとりがダンスのように繰り広げられて、やっと信頼を築いていくというシーンのオマージュになっています。このシーンはわざとセリフを入れずに音楽と振り付けと互いに対する好奇心、それだけでシーンを作り上げるように注意しました。」(ディーン)「さらに、全体を通じてトゥースを“動物”にとどめておくことにとても注意を払いました。アニメーターにとって動物を人間っぽく描くのは魅力のあることですが、この映画ではあのシーンだけがマンガっぽい。あとはマンガっぽくならず、動物として描くようにしたんです。」(クリス)
 さらに、2人の監督は本作で3Dにも初挑戦した。「今回は、いかに3Dをフレッシュに保つかを考えました。そして、わざと3D効果を浅くしたり深くしたり、強弱をつけたんです。通常の場面では浅くしておいて、飛ぶシーンになると深くなる。そうしてフレッシュな感覚を持続させました。」(クリス)
 そして、大きな影響を受けていると語る宮崎アニメについては「僕が初めに見たのは『となりのトトロ』で、とても深いインパクトを与えられました。非常に繊細かつリアルに、家族が壊れている様を描写しつつ、それに対比してファンタジックな動物も出てくる。普通の人々とマジカルな世界を対比させる発想は、宮崎アニメに影響を受けています。『リロ&スティッチ』に関しては、特にトトロの影響を受けています。そして、今回のドラゴンが飛ぶシーンに関しては『紅の豚』や『風の谷のナウシカ』の飛行シーンのディティールに凝っているところに強い影響を受けました。」(ディーン)「宮崎アニメは強いストーリーの構造を持っているし、強い女性のキャラクターやセリフの少ないシーンを恐れずに使っているのがスゴイと思う。」(クリス)

 最後に2人で監督をするメリットについて聞いてみた。「僕たちの強みは同じようなストーリーや映画が好きということ。映画作りにおいては、ストーリーをシンプルで明確にしつつ、フレッシュで驚きがあることが大切。2人でいると「そこ怠けているんじゃないの?」と注意しあえるし、いつもお互いにフレッシュでいられるね。」(ディーン)

 「僕らが目指すのはコメディというよりアドベンチャー。2人はキャラクターを身近に感じる感覚は似ているけれど、アプローチの仕方が違う。ありきたりで陳腐なものや、怠けたものを排除することで僕たちのプロジェクトはうまくいっているよ。世の中のつまらない映画の多くは、監督にもう1人監督をつけてあげれば、うまくいくんじゃないかな。(笑)」(クリス)
(中西 奈津子)ページトップへ
   
             
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