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 『バス・パラディアム』 女優:エリザ・セドナウイ 単独インタビュー
            
( 2010年3月19日(金) ホテルグランドハイアット東京にて

『バス・パラディアム』BUS PALLADIUM
ゲスト:女優のエリザ・セドナウイ 

(2010年 フランス 1時間40分)
監督・脚本:クリストファー・トンプソン
出演:マーク・アンドレ・グロンタン、エリザ・セドナウイ、アルチュール・デュポン、ジェラルディン・ペラス




1980年代のフランスのロックシーンを背景に、5人の若者が人生を選択せざるを得なくなるひと夏の姿を追ったロードムービー。昨年のフランス映画祭で観客賞に輝いた『コード』にも出演していたクリストファー・トンプソンの初監督作品。『コード』を監督していたダニエル・トンプソン監督は母親。彼女の作品のような群像劇だと思っていたら、全く違う斬新な青春群像を打ち出してきて驚いた。青春のある時期、ひと夏の経験を切り取ったような新鮮なイメージが光る作品だ。ロックを通じて若者の生き様と青春のきらめきが反映された好感の持てる作品となっている。

【STORY】
ルカ、マニュ、フィリップ、ジャコブとマリオの5人組は、仲のいい幼なじみ。彼らが結成したロックグループ「ラスト」は、着実にファンを増やしていき、レコード会社との契約も夢ではなくなった。だが、学業かプロのミュージシャンか、将来進むべき道をめぐって、メンバーの思いは揺れ動き、すれ違う。そこへローラという魅力的な女の子が現れたことで、仲間たちの微妙な人間関係はバランスを失っていく。
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インタビューに応えてくれたエリザ・セドナウイは、5人のグループの中に入ることで微妙な人間関係を作り出すローラという美しい女性を爽やかに演じている。彼女は5カ国語に堪能で、さらに日本語も勉強中とあって、「ありがとうございます」「お疲れ様です」「かわいい」「楽しい」などを連発しては周囲を和ませていた。映画の中の魅惑的な役柄と違って、キュートな表情で快活にしゃべるエリザはとってもチャーミング!
【プロフィール】
《ローラ役:エリザ・セドナウイ》

1987年、イタリア生まれ。1994年の両親の離婚をきっかけにフランスに移住する。2006年、母親が経営するモデルエージェンシーからモデルとしてデビュー。数々のファッション・ブランドのカタログやショーのモデルをつとめる。本作では、一度に二人の男性を愛し、彼らを惑わす、自由で美しく魅惑的なローラを演じる。
――― 女優の仕事は本作が初めて?
いえ、2本目です。劇場公開はこれが初めてなので、初めてのプロモーションを楽しんでいます。
――― 日本には?
12歳の時に初めて来日して以来、母が日本好きなので何度か来ています。
――― 日本の魅力は?
伝統的なものとスーパー現代的なものが共存しているところが好きです。それから、細やかな気配りができる国民性や、他人を尊重するという文化的習慣、村上春樹の本や日本語を聞くのも好きです。それに何と言っても日本食が大好きなんです。言葉では説明しにくいけど、フィーリング的に私に合っているような気がします。
――― 最近ではあまり希薄になってきましたけど、日本人特有の「慎ましさ」とか?
日本人は感情をあまり表に出さないけど、静かに情熱を秘めているところにも惹かれます。


――― ローラという役柄についてどのように解釈して演技されたのですか?
監督ともよく話し合ったのですが、このローラという女の子は、計算ずくで行動しているように見られ誤解されやすいけど、本当はとても正直な女の子だと考えました。そうした誤解されては陰口を叩かれているような女の子のためにも、正直な女性の可愛らしさを表現しようと思いました。
撮影に入る前に、体の動かし方や話し方など、専門家のレッスンを受けて臨みました。

――― フランスにおける1980年頃のロックについて?
その頃ロックをしていた人達は特別な人だったと思います。でも、本作ではロックはきっかけに過ぎず、監督は青年期から大人へと移行する若者を描いています。グループが解散してそれぞれの道を歩む過渡期を語りたかったのです。

――― 素敵な共演陣ですが、何かトラブルなどはありませんでしたか?
3ヶ月間のツアーは楽しくて仕方ありませんでした。出演者は皆、監督が好きで選んだ人達ばかりでしたから、雰囲気はとても良かったです。あまり楽しすぎて、私がブレーキをかけてあげることもしばしば。地方へ行くと、撮影隊も小規模になり、プロデューサーがスクリプトとったり、1人で二役したり、いろいろいい勉強にもなりました。

――― 他の共演者とのロマンスは?
皆さんとても立派な役者さんで、インテリで生き生きしているけど、そこはやはり注意しないとね(笑)

――― トンプソン監督の演出の仕方は?
細かい指示を出したり、沢山話し合ったり、監督は脚本も書き俳優でもあり、映画を知り尽くしている人です。エレガントな言い方で、冷静に私達を導いてくれました。さらに、相手の立場に立って考えることができる人で、細かい指示を出すけど信頼もしてくれるという素晴らしい監督だと思いました。

――― 初監督のプレッシャーのようなものを、側にいて感じましたか?
監督は、とても控え目な人で、そのようなことがあったかも知れませんが、他人にはそんなことを見せないタイプなので、分かりませんでした。ただこれだけははっきりと言えます。彼は、監督としての才能を生まれながらにして持った特別な人だと。


――― フランスでの反応は?

今週の水曜日(日本時間3/18)に公開されたばかりで、まだ反応は知りません。でも、月曜日に出演者達とパーティをしたのですが、また歌ったり踊ったりして大騒ぎ。作品は勿論ですが、制作過程がとても楽しかった作品ですので、その楽しさが伝わればいいなと思います。
パリの日本食のレストランで監督と食事した時に、万が一東京の映画祭で本作が上映されることがあれば絶対私が行くからね、と言っていたら本当に実現して嬉しかった。

――― 今後の活動は、モデル?女優?
両方! 言葉というツールで表現する女優という仕事にも興味を持っていることは確かね。
――― それだけの魅力を十二分に備えた女性だと思いますよ。
「ありがとうございます!」

ファッション誌『SPUR』(6月号)の表紙を飾ったエリザ。
映画の中のローラ役同様、表紙を飾る表情はグラマラスな雰囲気を醸し出しているが、取材中の彼女はまるで女子高生のようにはしゃいだり笑ったりして全く違う可愛らしさを見せていた。瞳を輝かせて語る表情から、撮影が余程楽しかったのだろう。 そして、作品の持つ爽やかさは、こうしたフレッシュな俳優たちのエネルギーからもたらされていると容易に想像できた。

【プロフィール】
《監督:クリストファー・トンプソン》
1969年、イギリス生まれ。祖父ジェラール・ウーリー、母ダニエル・トンプソンと、映画一家に生まれ、20歳で俳優デビュー。母の監督作『ブッシュ・ド・ノエル』(‘99)、『モンテーニュ通りのカフェ』(‘06)、『コード』(‘08)には出演者としてだけでなく、共同脚本家として欠かせない存在になっている。セザール賞には3度ノミネートされており、待望の長編処女作の本作には妻のジェラルディン・ペラスも出演。
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