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 『ロストクライム−閃光−』
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★ロストクライム−閃光−

(C) 2009「ロストクライム -閃光-」製作委員会
『ロストクライム−閃光−』
〜組織を敵に回しても真実を追い続けた刑事たち〜

(2010年 日本 1時間58分)

監督:伊藤俊也
原作:永瀬隼介『三億円事件』
出演:渡辺大、奥田瑛二、川村ゆきえ、武田真治、夏八木勲他

2010年7月3日〜梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、三宮シネフェニックスほか全国にて公開
公式サイト⇒ http://www.lostcrime.jp/
 その殺人事件には、警察を揺るがすような事実が隠されていた・・・。学生紛争が起こり、日本の若者たちが反体制紛争を繰り広げていた1968年に起こった三億円事件。証拠が多数残されたにもかかわらず、迷宮入りした伝説の事件を『プライド 運命の瞬間』の伊藤俊也監督が濃厚な刑事ドラマとしてスクリーンに甦らせた。
  三億円事件の真相を掴むカギを握ったがために組織(警察)に追われることとなったのは、定年間近のベテラン刑事、滝口(奥田瑛二)と、出世欲を持つ熱血若手刑事、片桐(渡辺大)。年代も仕事の仕方も正反対の二人の刑事の物語を中心に据えながら、事件にかかわった人物たちを過去と現在の2つの時代を行き来しながら描いている。事件当時の犯人たちを突き動かした時代の空気も、モノトーンの映像と共に再現され、後々に起こる悲劇とは一線を画した当時の若者のアツさが懐かしい。
 実際には未解決の事件だが、次々と暴かれていく組織のタブーや組織が必死で口封じするシーンを見ていると、隠され続けた真実を目の当たりにしたような衝撃を覚えるのだ。事件によって人知れず運命を狂わされた男たちのドラマも重なり、事件が未だ人々に与え続ける深い傷をもあぶり出している。
 また、主人公たちを影で支えた女たちも描かれ、外では見られない人間臭さもしっかりと捉えられている。組織の圧力に屈することなく、あくまでも真実を追い求める滝口演じる奥田瑛二の渋み極まる演技は格別だ。そして滝口のもと刑事にとって大事なことを身を持って教えられた片桐演じる渡辺大の怒りの眼力が、いつかは本当に事実が暴かれる日が来るのではと期待を持たせてくれた。今もなお数々の大事件が時効を迎え、記憶の彼方へと忘れ去られる中、本作が作られた意味は大きい。
(江口 由美)ページトップへ
   
             
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