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『ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ』

(C)1976 STUDIOCANAL / HERMES SYNCHRON
『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』
原題: JE T'AIME, MOI NON PLUS


(1976年 フランス 1時間25分 R18+)
監督、脚本、音楽 セルジュ・ゲンズブール
主演 ジェーン・バーキン、ジョー・ダレッサンドロ

2010年6月5日(土)〜新宿武蔵野館 他全国順次ロードショー!
関西では、7月17日(土)〜テアトル梅田にてレイトショー
 実社会でも映画でも長らく日陰の存在だった女性が、しなやかに自己主張し始めたのは1970年代から、だろうか。1060年代、ベトナム反戦運動の広がりを背景に成熟しつつあった自由な女性像。その象徴として広くアピールしたのはアメリカのシンガー・ソングライター、キャロル・キング(アルバム「つづれ織り」が有名)、そして映画では英国生まれの女優、歌手のジェーン・バーキンではないか。そのバーキンを世に送りだしたのが才人セルジュ・ゲンズブールの初監督作「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」である。まるで男の子のようなスリムな肢体はおよそ色気とは縁遠いのだが、これまで見たことないユニセックスの魅力が新時代の到来を実感させた。
 廃品運搬業の青年クラスキー(ジョー・ダレッサンドロ)がフランスの田舎町でカウンターで働くジョニー(バーキン)と出会い、強く惹かれる。だが、彼にはゲイの“恋人”がいて、女性の肉体を愛せない。そんな2人の異形の恋愛模様を赤裸々に描いた、これまた異形の映画である。初めてベッドをともにしながら「出来ない」と告白するクラスキーに、ジョニーは「私は男よ」と後ろ向きになって誘う。ゲイの青年とボーイッシュな娘の倒錯的な関係に性差を超えたつながりが見える…これこそ70年代の華、フラワームーブメントの主張の大きなひとつでもあった。男女の愛に背を向けるような痛々しい“恋愛”映画は、当時はもちろん現在でも珍しい。こんな映画をさらりと作ってしまうゲンズブールは並じゃない。
 ゲンズブールはこの映画のサントラも手がけていて、日本未公開だった時から伝説的アルバムとしてマニアの注目を集めていた。ゲンズブールとバーキンのデュエットによる「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」なる歌は、心地よいメロディーに、ほぼ全編バーキンのあえぎ声が入っていて聴く者の度肝を抜いたものだ(映画では使われていない)。その後、バーキンはゲンズブールと結婚し、シャルロット・ゲンズブール(女優)が生まれる。バーキンのしなやかなライフスタイルはこの映画から出発しているように思う。
(安永 五郎)ページトップへ
   
             
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