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★祝の島(ほうりのしま)
『祝の島(ほうりのしま)』
〜過去から未来へいのちをつなぐ、原発反対運動を続ける島人のくらし〜

(2010年 日本 1時間45分)
監督:纐纈(はなぶさ)あや
ナレーション:斉藤とも子
2010年6月19日〜 ポレポレ東中野、横川シネマにてロードショー、
7月31日から第七芸術劇場、
順次 京都シネマ、神戸アートビレッジセンター にて公開 


*「祝の島」公式サイト⇒ http://www.hourinoshima.com/
*「祝の島」監督ブログ http://holynoshima.blog60.fc2.com
*「祝の島」スタッフブログ http://blog.goo.ne.jp/hourinoshima
 瀬戸内海に神霊の島と呼ばれる小さな島がある。漁業と農業がさかんだが、台風が直撃することも多く厳しい自然環境の中、島の民は強い結束をもって島を愛し、島でいのちをつないできた。そんな祝島に大きな影を落としたのが、1982年に持ち上がった祝島対岸の原子力発電所建設計画だ。本作は、28年間原発反対運動を続ける島人のくらしを丹念に追いかけた祝島のいまを映し出すドキュメンタリーである。
  石に文字を刻むのが夢だとコツコツ掘り続けるおじいちゃん、島で唯一の女性漁師のおばあちゃん、本庁の広場でデモをしたときのことを語るおばあちゃん。そんなインタビューの中に皆が礼服を着てある場所に向かうシーンがある。それは小学校の入学式だった。たった一人の新入生、来賓客は島の大勢のお年寄りたち。みんなで新しい一年生が誕生したことを我がことのように喜び祝うのだ。これだけで、島の人たちの暖かさがヒシヒシ伝わってくる。
 豊かな自然に囲まれた島の人たちの暮らしには、28年間続けてきた原発反対デモ行進も組み込まれている。正月には毎年恒例のデモ行進も行う。あるおばあちゃんが語った「原発が島の人の心をむちゃくちゃにした」との言葉にはやりきれない悔しさが滲んでいる。この問題が起こったことによって対立を余儀なくされた島人同志の葛藤が垣間見えるのだ。
 キャメラは島の人たちだけでなく、島の風景や島ならではの伝統行事、島で生きる動物たちを人の営みと共にしっかりと捉えている。過去の営みを未来につなげるべく、希望を持って生きている島の人たちのありのままの姿を映し出し、自然と共生することの大切さを気付かせてくれるのだ。まったなしの原発反対運動がこの尊い島で起こっていることを知るだけでなく、現代の日本人が忘れた心もそっとすくって差し出してくれたドキュメンタリーだ。
(江口 由美)ページトップへ
   
             
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