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★ビューティフル アイランズ

(C) Kana Office. All rights reserved
『ビューティフル アイランズ』
〜水没していく島、
       他人事ではない未来の自分たちの物語〜


(2009年 日本 1時間46分)
監督・プロデューサー・編集:海南友子
エグゼクティブプロデューサー:是枝 裕和
出演:シレタ、アマダ(ツバル)、クラウディア、マリオ(ベネチア)、シェラトン・マレフ(シシマレフ)他

2010年7月17日〜梅田ガーデンシネマ、7月24日〜シネリーブル神戸、7月31日〜京都シネマ 他全国順次公開
海南友子監督インタビューこちら
・公式サイト⇒
http://www.beautiful-i.tv/
 地球温暖化による水面の上昇。もう10年ぐらい前から言われていることだが、なかなか実感が湧いてこなかった。でも、水没の危機が目の前に迫っている場所で、騒ぐことなく日常の営みを続けている人々の姿を見て、様々なことが思い巡った。これは未来の自分たちの物語ではないかと。

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 一見子どもたちが水と戯れ、豊かな自然を謳歌しているように見えるツバルという小さな島の風景。だが、水面に浮かぶような家や、水面が間際まで迫る島の一本道が映し出され、かつてはそうでなかった場所であることが一目瞭然となる。子どもたちは学校で地球温暖化の授業を受け、老人たちはそれでもこの島は大丈夫だと水没しないと信じている。島の学校に通う姉妹シレタとアマダも島を愛し、島で住み続けたいと願い、祭りでは情熱的に歌い踊る。そんなありのままの島の人たちの姿はむしろイキイキとしていた。
 水の都で知られるベネチアでは、その伝統工芸なども紹介しながら、ゴンドラ乗りの父を持つクラウディアとマリオたちが父のことを語り、アラスカ最西端に位置するシシマレフ島では、シェルトンとクララ夫妻が割れた氷に落ちて亡くなった息子のことを語る。それぞれ、他にはない豊かな自然と景観が、人々を魅了している場所であり、スクリーンが映し出す憧れの地ベネチアやアラスカの風景に思わず見とれた。それと同時に、近い将来その景観は大きく変わり、人々が生きていく場所すらなくなる危険と隣り合わせであることが示唆されていることを感じずにはいられなかった。

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 環境の変動にさらされた島で人々が生きるかけがえのない姿を映し出した本作を通して海南監督が伝えたかったのは、悲劇ではなく島の美しさや人々のささやかな幸せだったのではないか。色々な思いで見ることができる体感型ドキュメンタリーだ。
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