アクション映画の主役はかつて「男と車」だった。横長の画面に車の疾走が似合った。007のボンドカーは秘密兵器だったが、男の道具として画面から飛び出さんばかりに主役を張ったのがマックィーンの「ブリット」(1968年)、シスコの坂道を突っ走るフォードGTマスタングはシビれるほど強烈だった。これが車映画の皮切りなら「ワイルドスピード」最新第5作は“究極”に違いない。最初から車の激走が主役だった同シリーズでも、今作の凄さにはただア然。全編走る走る、最後には2台の車に引っ張られて巨大金庫がパトカー軍団の追跡をかわし、周囲をなぎ倒して走り回るのだから息つく暇などない。
天才ドライバーコンビ、元FBI捜査官ブライアン(ポール・ウォーカー)と強盗犯リーダー、ドミニク(ヴィン・ディーゼル)の破天荒な大暴れに、取り締まる側(FBI)でザ・ロックことドウェイン・ジョンソンがシリーズ初参加、ほかにドミニクの妹でブライアンの恋人ミア(ジョーダナ・ブリュースター)ら“WSファミリー”がそろった“家族”の勢ぞろいが記録的大ヒットの一因という。
突っ走る列車にトラックを横付けして高級車2台を強奪する冒頭から、ブライアン&ドミニクとザ・ロックの対決。ヴィンとロックのキャラがカブるのではと思ったら、ヴィンが意外に可愛い笑顔で要らぬ心配だった。重量級対決は製作者いわく“キング・コング対ゴジラ”。だが、真の敵はブラジル裏社会を牛耳るボス・レイエス(ヨアキム・デ・アルメイダ)で、3人タッグを組んで警察署を急襲、デカい金庫がひたすら暴走するシーンは見たことない、手に汗シーンだった。カーマニアなら豪華「車キャスト」に垂涎間違いなしだろう。 |