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★ウッドストックがやってくる!

(C) 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
『ウッドストックがやってくる!』(TAKING WOODSTOCK)
〜史上最大の野外フェスの舞台裏と若者と〜

(2009年 アメリカ 2時間01分)
監督:アン・リー
出演:ディミトリ・マーティン、ダン・フォグラー、ヘンリー・グッドマン、ジョナサン・グロフ、ユージン・レヴィ、ジェフリー・ディーン・モーガン、イメルダ・スタウントン、ポール・ダノ、ケリ・ガーナー、メイミー・ガマー、エミール・ハーシュ、リーヴ・シュレイバー

2011年1月15日〜ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開
2011年1月22日〜テアトル梅田にてロードショー
順次、京都シネマ、シネ・リーブル神戸にて公開

公式サイト⇒ http://ddp-movie.jp/woodstock/
 ウッドストック、という言葉だけで団塊世代にはもうたまらない。1969年8月に3日間、ニューヨーク州の農場で開かれた伝説の野外コンサートはジミヘン、ジャニス・ジョプリンをはじめクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング、サンタナ、ザ・フー、グレイトフル・デッドら当時“ニューロック”と呼ばれた最先端ロックミュージシャン30組以上のが出演、入場者は50万人ともいわれる。その模様をとらえたドキュメンタリー映画(マイケル・ウォドレー監督)は71年のアカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞した。ロック音楽史、アメリカ現代史のエポックでもある。
 団塊世代には涙なくしては語れない、思い出のライブは当時、ベトナム反戦運動→ヒッピー&フラワームーブメント→百花繚乱のニューロックとつながるカウンターカルチャーの象徴だった。そんなビッグイベントを受け入れる地元はどうだったのか、その様子をユーモラスに描いたのがこの映画である。
 インテリア・デザイナーのエリオット(ディミトリ・マーティン)は、小さな町ホワイトレイクで老父母が経営するモーテル「エル・モナコ」救済のために奔走中。近くの町で予定されていた音楽フェスティバルがキャンセルされたことを知り“町の活性化”のため商工会会長として受け入れへ動く。ウッドストックのプロデューサー、マイケル・ラングもそんな彼の熱意に乗る。ヒッピーやゲイ、フリーセックスの若者が大挙押し寄せることを懸念する地元民に目の敵にされるが、エリオットはまなじりをけっすることもなく、飄々とすべてを受け入れ、淡々と歴史的イベントへと準備を進めていく…。
 保守勢力には受け入れ難いイベントだったはずだが、当時の社会的潮流としてなんとなく許してしまう空気があったのではなかろうか。時代が変わることへの予感といえばいいか。ドキュメンタリー映画の中で、コンサート中、突然地元農民がステージに上がり「アイム・ア・ファーマー(私は農民)」とあいさつし、会場を埋めた若い観客から拍手喝采されるシーンがあり、強く印象に残っている。地元農民と観客の束の間、仲間感覚を持てた。これがこのイベントの大きな特徴だったのだろう。

 ウッドストック・コンサートを頂点とした反戦運動、フラワームーブメントは、ベトナム戦争終結(1975年)後、急速に鎮静化するのだが、あの昂揚感は40年後の今でも忘れられない。こんな映画が今も作られるということがその証明だろう。 映画ではコンサート準備はイベント関係者が自分たちの力だけで進め、エリオットは周辺のやっかい事を任されるだけ。だが、素朴な若者が開催を信じて一途に突き進む力こそ、史上最大の野外フェスを実現した要因だったのではないか。コンサートが始まってからはエリオットは観客のヒッピーたちに勧められてマリファナを吸ったり、ハイになった両親の世話をしたりするだけでついに実際のライブは見ずじまい。だが、ハイな状態で見た会場が光の中で浮き上がる幻想的なシーンに、当時の若者の心象風景が込められているようだ。

 ただ、エンドロールで3枚組サントラ盤(LP)の1曲目、リッチー・ヘブンスの象徴的な「フリーダム」が流れたり、アーロ・ガスリー、シャナナ、CSN&Yらアルバム曲は数曲流れるが、ライブシーンはなく、周辺映画に撤している。見終わった後、本物のウッドストック映画をもう一度見たい、と痛切に思った。

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