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★ 運命の子

(c)Shanghai Film Group Co., Ltd. Shanghai Film Studio/TIK FILMS/Stellar Mega Films Co., Ltd. /21 Century Shengkai Film
『運命の子』 (Sacrifice)
〜犠牲と復讐を乗り越えて、父が見た未来への光〜

(2010年 中国 2時間8分)
監督:チェン・カイコー
原典:司馬遷『史記』  
原作:チェン・カイコー『運命の子』角川文庫
出演:グォ・ヨウ、ワン・シュエチー、ファン・ビンビン、
    ホワン・シャオミン、チャン・フォンイー他

2011年12月23日〜Bunkamuraル・シネマ(リニューアル・オープニング第一弾作品)、
2012年1月24日〜梅田ガーデンシネマ、3月3日〜シネモザイク他全国順次公開
公式サイト⇒ http://www.unmeinoko.jp/
 『さらば、わが愛 覇王別姫』の巨匠チェン・カイコー監督待望の最新作は、司馬遷『史記』より、京劇としても高い人気を誇る『趙氏孤児』の完全映画化である。チェン・カイコ―らしい深みのある人物描写と、丁寧な時代描写を重ねながら、復讐と犠牲、守るべき命、そして親としての愛を描いた感動の歴史ドラマに仕上がっている。キャスティングも『狙った恋のおとし方』のグォ・ヨウと『孫文の義士団』での演技が記憶に新しいワン・シュエチーの実力派が顔を揃えた。古典らしく究極の状況に追い込まれた人間の選択や、親子の絆といった普遍的な内容が盛り込まれ、最後まで目が離せない。
 中国・春秋時代、晋の国を治めていた趙氏一族に謀反を企て、皆殺しにした武官の屠岸賈(ワン・シュエチー)は、一族の嫡男が生まれたことを知り、探し出して殺そうとする。出産に立ち会った医師・程嬰(グォ・ヨウ)は、母で王妃の荘姫(ファン・ビンビン)に赤ちゃんを託され、荘姫は子を救うために自害。程嬰は荘姫の子を守ったがために、わが子と妻を殺されてしまう。絶望の中、一人で荘姫の子を育てていた程嬰は、その子に屠岸賈へ復讐させることを策略しはじめるのだった。
 冒頭しか登場しないが、息を呑むような美しさのファン・ビンビン演じる荘姫が命がけで守った子、程勃こそ物語の核となる存在。我が子を犠牲にしてまで守った子であると同時に、我が子の復讐を秘かに託す人物として、過去を封印し、敵である屠岸賈のふところに親子で飛び込んでいく日から程嬰の壮大な復讐の幕が開くのだ。
 中盤以降は、武将としてたくましく育てようとする屠岸賈と絆を深める程勃の姿に、育ての親としてはがゆく感じる程嬰の葛藤が描かれ、父子関係の難しさがにじみ出る。何のために人生を犠牲にしてまで屠岸賈のもとに飛び込んだのか、親の想いがなかなか子どもに届かないのはいつの世も同じだ。本当のことを告げても耳を貸さない程勃が最後に二人の”父”と対峙するとき、運命の残酷さと犠牲になった命の大きさを生まれて初めて実感する。
 命の重さは同じといえど、犠牲になるべき命、守られるべき命があり、まさにそのはざまで苦しみ抜いた父、程嬰の人生。医師としての誇りと使命感を失わずに気高く生きた姿や、絶望の中に復讐だけでなく一筋の希望を見いだした“父”の物語は、彼が守り抜いた“息子”によって、次の世代に受け継がれていくことだろう。
(江口 由美)ページトップへ
(c)Shanghai Film Group Co., Ltd. Shanghai Film Studio/TIK FILMS/Stellar Mega Films Co., Ltd. /21 Century Shengkai Film
   
             
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