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★アンノウン

(C)2011 DARK CASTLE HOLDINGS, LLC

『アンノウン』 (UNKNOWN )
〜究極のミステリー、自分は何者なのか?〜

(2011年、米、1時間53分)
監督:ウィリアム・コレット・セラ
出演:リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガー、
    ジャニュアリー・ジョーンズ、エイダン・クイン、
    ブルーノ・ガンツ、フランク・ランジェラ

2011年5月7日(土)〜新宿ピカデリーほか全国にて公開
公式サイト⇒ http://wwws.warnerbros.co.jp/unknown/

 普通に日常生活を送ってきた男が事故に遭い、昏睡から覚めて妻に会いに行って「知らない。どなた?」なんて言われたら…ショックどころじゃすまない。

 植物学者マーティン(リーアム・二ーソン)は学会出席のため、妻エリザベス(ジャニュアリー・ジョーンズ)とともにベルリンへ。だが忘れ物に気付いてひとりタクシーで空港に戻る途中、交通事故で川に転落、昏睡状態から覚めたら身分証明書もパスポートもなく、友人知人も不在だった。頼みの妻が「誰?」では、元の邦題「身元不明」だ。しかも妻の隣には別のマーティン(エイダン・クイン)もいてパスポートも新婚旅行の写真まである。一体俺って誰なんだ?と自分を疑うのも無理はない。
 じつはこれ、サスペンスミステリーの黄金トリックだ。小説ではウィリアム・アイリッシュの「幻の女」が有名だし、映画ではヒッチコックの名作「バルカン超特急」で列車に一緒に乗っていたはずの老婦人が行方不明になり、乗客から「そんな人いなかった」と言われる。このオマージュでもあるジョディ・フォスターの「フライトプラン」では、一緒に飛行機に乗った子供が行方不明になり、乗務員、乗客全員から子供の存在を否定され、ジョディは半狂乱になって機内を捜し回る。

 自分探しこそ最高のミステリー。出だしから見るものをギュッとつかんでしまうテクはお見事。だが、そこからもうひとひねりして、マーティンは自分が知っているマーティンとは別の人物だった、というのだから、けっこう奥深い。

  病院へ戻されたマーティンが陰謀の存在を確信したのは誰かに拉致されかけ、看護師が殺された時。彼は旧東ドイツ秘密警察シュタージの元メンバー、ユルゲン(ブルーノ・ガンツ)、事故ったタクシー運転手シーナ(ダイアン・クルーガー)に協力を求める…。

 マーティンの強さや妻の知らん振りも納得出来るタネ明かしは意表をつくが、そんなストーリー展開よりも、自分が自分であることを証明するものは何かという問いかけは重い。身分証明書かパスポートか、免許証か。友人知人に妻…。みんな否定された時、自分が自分でいる自信はあるだろうか? 文句なしの痛快サスペンスアクションに加え、秘められた謎にぐいぐい引き込まれる会心の一作といえる。
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