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★うん、何?(うんなん)

(C)2008「うん.何?」製作委員会
『うん、何?』(うんなん)
〜雲南市を舞台にした、青春映画の清々しき1本〜

(2008年 日本 2時間3分)
原案・監督・脚本:錦織良成
出演:橋爪遼、柳沢なな、宮崎美子、甲本雅裕、菅田俊、中村麻美

2010年10月2日(土)〜シネ・ヌーヴォにて公開
公式サイト⇒ http://www.unnan-movie.com
 島根県出身の監督・錦織良成(にしこおり・よしなり)監督の、島根3部作の第2弾。第1弾は、女教師と生徒の交流を描いた『白い船』(2002年)、第3弾が今年公開された『RAILWAYS』(2010年)だ。第2弾だけがなぜか関西公開されていなかったが、『RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男の物語』のヒットで、日の目を見ることになった。
 さて地方ロケーション映画は、21世紀になって47都道府県にある各フィルムコミッションの充実で、量産されている。しかし、一部の作品では、観光誘致をもくろんだような映画が見受けられる。だから、本作もそんな1本なのかと思いきや、これが大ハズレだった。確かに、雲南市をPRしようとしたところもないとはいえない。ロングショットで捉えられる雲南市の美しき風景の数々、ヤマタノオロチ伝説、教師役の甲本雅裕が生徒たちを、隠れた名跡へ案内したりするなどいろいろある。けれど、本作は青春映画なのだ。
 大林宣彦監督の青春恋愛映画「尾道3部作」のように、映画的な瑞々しさにあふれている。だからメイン・テーマは、男子高校生(橋爪遼)は女子高校生(柳沢なな)にコクる=告白することができるのかだ。最近作でたとえるなら、三浦春馬と多部美華子の「君に届け」のような作品性だといえるかもしれない。そして、今一つの見どころは、本3部作に共通するポイントだが、家族の絆である。
 冒頭で、主人公の少年は自転車に乗ってどこかへ出かけていく。重い病気で入院中の母に、毎朝牛乳やらを届けているのだ。この冒頭からいくと、おそらくこの母は死ぬんだろうなという予想が何となくできる。『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)以来再燃している、愛しき人の死が入っている映画か、パターン化した泣ける映画なのかと思ったが、これもまた予想がハズれてしまった。
  死は確かに訪れる。ただし、テイストが微妙に違うのだ。たぶん泣く人がほとんどだろうけれど、泣かせる意図はない。本作で最も長い長回しの撮影を駆使した、母の臨終シーンはコクるシーンに続いて、本作の2本柱ともいえる大きなハイライトである。「笑顔で、生きて」と息子に言う母が天使のように見える。『NANA』(2005年)以来、母役のオファーを思いっきりこなしてきた、宮崎美子の真骨頂をここでも見た。
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