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★おまえうまそうだな
『おまえうまそうだな』
〜大人も子供も楽しめる、親と子の愛情物語〜

(2010年 日本 1時間29分)
原作 宮西達也
監督 藤森雅也
声の出演 加藤清史郎 原田知世 山口勝平 別所哲也

10/16(土)テアトル梅田 MOVIX堺 TOHOシネマズ鳳 敷島シネポップ TOHOシネマズ二条 109シネマズHAT神戸 他にて全国ロードショー

公式サイト⇒ http://www.umasoudana.com/
 絵本作家・宮西達也の大ヒット作「おまえうまそうだな」を映画化。草食恐竜の母親に育てられた凶暴な肉食恐竜のハートが、ひょんなことから今度は自分が草食恐竜のこどもを育てるはめになるという物語を通して、「家族とは何か」「生きるとはどういうことか」を訴えるハートフルアニメ。大自然の中で起こる運命の出会いと別れにシンプルかつ深いメッセージが込められており、こどもの付添いで映画館にでかけた親の方がすっかりはまって泣いてしまったというのもうなずける感動作だ。
 物語は、草食恐竜・マイアサウラのお母さんが川で拾った卵を自分の子と同じように育てることから始まる。兄弟のライトと元気に育つハートだが、もとは肉食だから草食恐竜のご飯は苦手。「何で食べられないのかな?」と泣きべそをかくハートにお母さんは「誰にでも苦手はあるのよ」となぐさめる。だが、ある日、本能が目覚めてしまったハートは、自分の立場に気付き家を飛び出した−。
 もうこの10分ほどの序章だけで、この映画見てよかったなぁとしみじみ。ハートが“肉喰い”で敵対する種族の子だと気付き、そのためにいつか別れが来ると知りながらも、今を大切にわが子同然の愛情をかけ優しく育てるお母さん。その見返りを求めない本能的な愛と慈しみには感動せずにいられない。その気持ちを察して、母の元を離れたハートは、やがて大人のティラノサウルスとなり、もちろん肉を食べて生きていた。そんなある日、ハートは小さな卵から生まれたばかりの草食恐竜をみつけ「おまえうまそうだな」と声をかけると、その子どもに「お父さん!」と勘違いされてしまう。
 食べようと思ったのに、「僕のお父さんでしょ?“うまそう”ってとってもいい名前!」とすっかり懐かれてしまったハートは困り顔。自分の幼少期の体験があるからこそ、草食と肉食は一緒には暮らせないことも知っている。でも、母の愛を受けて育ったハートは、この小さい子を見放すことも出来ない。葛藤を抱えながらも、いつしか本当の親子のようになっていくハートとうまそう。だが、“世間”はそんなふたりの関係を認めるはずもなく…。
 ここからはわりとアクションありの怒涛の展開が待っている。ピンチで示される親子の絆はもとより、異種族をすんなり受け入れるほど自然界は甘くないという事実も描かれる。絵のタッチは、元の絵本よりもっとアニメっぽく可愛らしいのだが、ティラノサウルスの争いや、捕食の場面をきっちり描くことで「生きる=食べる」という壮大なテーマにも切り込んでいく。結構シュールなシーンもあるが、子どもに“食育”を学ばせるにはこの物語は適当な教材だ。感動の中にある少しの厳しさこそ、このアニメが一番訴えたい真実なのかもしれない。
(中西 奈津子)ページトップへ
   
             
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