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★ツーリスト (河田充規バージョン)
『ツーリスト』 (原題:THE TOURIST)
〜往年のミステリー・コメディに思いを馳せて〜

(2010年 アメリカ 1時間43分)
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョニー・デップ、ポール・ベタニー、ティモシー・ダルトン,スティーブン・バーコフ,ルーファス・シーウェル

2011年3月5日(土)〜TOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸他全国ロードショー
・来日レポート⇒ こちら
・公式サイト⇒
  http://tourist-movie.jp/

 久しぶりにロマンチックでコミカルなミステリーの世界に酔わされた。「知りすぎていた男」(1956,米)のようなヒッチコックが得意とした巻き込まれ型サスペンスだ。エレガントでチャーミングなスタンリー・ドーネン監督の「シャレード」(1963,米)も思い起こされる。しかも,ソフィー・マルソーとイヴァン・アタルによる「アントニー・ジマー」(2005,仏)のリメイクだという。監督がドイツ出身で,ヨーロッパテイストが漂っている。

 題名の「ツーリスト」は,米国ウィスコンシン州の数学教師だというフランク(ジョニー・デップ)だ。彼は,パリからヴェネチアに向かう列車の中でエリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)に声を掛けられる。そのときから彼女の元恋人で犯罪者のアレクサンダー・ピアースだと疑われ,警察とギャングの両方から追われる身となる。ピアースが姿を現さないミステリアスな雰囲気の中に,フランクとエリーズのロマンスが上手く絡んでくる。
 ピアースが逃亡中に整形しているというのがポイントだ。観客はもとより,劇中の警察やギャング,エリーズも彼の顔を知らない。最初は警察やギャングがフランクをピアースと取り違えている。だが,次第に2人の区別が曖昧になり,ラスト近くでフランクが金庫を開けられるか否かというスリリングなシーンが盛り上がる。小道具として,良い面と悪い面,過去と将来という2つの顔を持つローマの神ヤヌースが用いられているのも一興だ。
 アクション・シーンも巧みに味付けされている。屋根の上の逃走シーンでは,只者とは思えないフランクの身のこなしと,彼を見上げるエリーズの表情が印象づけられる。運河でのボート・チェイスのシーンでは,エリーズの眼差しが熱く,2人の息もピタリと合っている。そして,エリーズの正体が明かされ,ピアースかも知れないフランクとの関係がどうなるかも気になる。ヴェネチアを舞台とする洒落たサスペンスに,ただ微笑むしかない。
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★ツーリスト (江口由美バージョン)
『ツーリスト』 (原題:THE TOURIST)
〜気分はまさに “ツーリスト”、
             ヴェネチアと美女と危険な罠〜


(2010年 アメリカ 1時間43分)
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョニー・デップ、ポール・ベタニー

2011年3月5日(土)〜TOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸他全国ロードショー
・来日レポート⇒ こちら
・公式サイト⇒
  http://tourist-movie.jp/
 水の都、ヴェネチアの魅力的な街並みに、エレガンスなドレスに身を包んだアンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップが登場!どれだけゴージャスでスリル満点のストーリーが展開するかと、ちょっと身構えていたのだが、ジョニー・デップがシマシマのパジャマに裸足で屋根の上を必死で逃走している姿を見て、すぐに違うと気付いた(笑)。イマドキのアクション至上主義とは一線を画した、ほどよいゆるさと大人のやりとりを楽しむ、優雅でどこか懐かしいミステリーなのだ。
 イタリアを電車で一人旅していたアメリカ人の数学教師、フランク(ジョニー・デップ)はヴェニスに向かう車中で美女、エリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)に声を掛けられる。ヴェニスでも誘われるがままにエリーズと同じ部屋で過ごすこととなり夢見心地のフランクは、突然何者かに命を狙われる。そしてエリーズも姿を消していた・・・。
 警察に見張られていることも承知で、その警察を煙に巻くスペシャリストの顔を見せるアンジェリーナ・ジョリー。それに対して電車で初めて会ったフランク演じるジョニー・デップはなんとなくダサい。話題もリアクションもパッとしない、旅行カバンにシマシマパジャマをきちんとたたんで持参する男だ。随分アンジーに華を持たせたなと思いきや、これもまた一つのフェイク(騙し)だから恐れ入る。
 そして、本作の第3の主役はまぎれもなくこの運河の街ヴェネチアだ。映画で観た心象風景に残っているヴェネチアが思いだされ、うっとりすることだろう。夜の運河のボートチェイスシーンや、ホテルのバルコニーから広がる朝のヴェネチアの眺め。数々の名作が生み出されたこの土地で、『善き人のためのソナタ』のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督は、懐しくそして新しいヴェネチアの魅力をスクリーンいっぱいに映し出した。今一番輝いている二人の競演は、映画が持つ夢、ロマンス、スリルを一度に味わえる醍醐味を思い出させてくれる。これは楽しまねば損だろう!
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