topへ
記者会見(過去)
旧作映画紹介
シネルフレバックナンバー プレゼント
新作映画
★東京島

(C) 2010「東京島」フィルムパートナーズ
『東京島』
〜なにがなんでも生き抜くこと。したたかに生き抜く女のパワーは南国の眩しい光に負けないくらい強烈だ。〜

(2010年 日本 2時間09分)
監督:篠崎 誠  原作:桐野 夏生「東京島」
出演:木村多江、福士誠嗣、窪塚洋介、鶴見辰吾、柄本 佑


2010年8月28日〜シネスイッチ銀座ほか、梅田ブルク7、敷島シネポップ、神戸国際松竹、TOHOシネマズ西宮OS、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ鳳、TOHOシネマズ泉北、シネプレックス枚方など全国ロードショー

公式サイト⇒ http://tokyo-jima.gaga.ne.jp/
 ここは南国の無人島。流れ着いたのは女が1人、男が23人。なかなか刺激的なシチュエーションだ。「キャスト・アウェイ」ばりのサバイバルものかと思えば、気候は温暖、果物や魚は取り放題、危険な動物もおらず贅沢を言わなければ生きるのには困らない、でも出ていくことは困難な島。閉ざされた環境の中で人はどのように生き方を選びとっていくのか。原作のドロドロ・ダークな部分は控えめに、からりと明るいタッチで描いて、ちょっぴり生きる力が弱くなっているイマドキの日本人に喝を入れてくれる作品だ。
 海で嵐に会い、無人島に遭難した清子と隆。現実を受け入れられずひきこもる夫は謎の死を遂げ、清子は後から流れ着いた日本人の若者16人と暮らすようになる。島でただ一人の女である清子は大事にされて楽しく暮らしていたが、群れて島に安住しようとする彼らはなんとなく頼りない。そこへ中国人グループが新たに漂着する。島からの脱出を目指す彼らは、清子に「一緒に来ないか」と誘うのだが…
 甲斐性のある夫だったであろう隆が島では何の役にも立たず、代わって清子が思いがけずサバイバル能力を発揮する逆転が面白い。20代の男性から見れば「賞味期限切れ」であるはずの43歳の清子が島では女王様であることも、同世代の女性なら「ありえへん」とは思いつつも、思わず「おおっ」と膝を乗り出してしまうかも。生命力たくましい中国人男子といかにも草食系の日本男子との対比も皮肉っぽく描かれて、作品のあちこちに笑いが仕掛けられているのが楽しい。
 島でたくましく変身したヒロインを演じる木村多江がいい。日焼けたすっぴんとぼさぼさ頭なのに、輝いている。かつての従順な妻の顔をかなぐり捨てた後は、ある時は女王様のように、またある時は母親のように、状況と相手によって変貌し、欲望(主に食欲)の赴くままに生きる姿は、息苦しい時代を生きる私たちの目に清々しくさえ映るのだ。「何がハッピーエンドかは自分で決めるわ」最後に清子が下した大きな決断を皆さんはどう思うだろうか。
(三毛家)ページトップへ
   
             
HOME /ご利用に当たって