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★遠くの空

(C) 2010「遠くの空」製作委員会
『遠くの空』
〜東京の空の下で繋がる運命の糸〜

(2010年 日本 1時間24分)
監督:井上春生
脚本:草野陽花
出演:内山理名、キム・ウンス、黒田福美他

2010年9月25日〜新宿K’sシネマ、
10月9日〜シネマート心斎橋、アップリンクXほか全国にて順次公開

・内山理名舞台挨拶レポート⇒こちら
・公式サイト⇒ http://www.to-kunosora.jp/
※舞台挨拶付き特別先行上映
【日時】9月21日(火)18:30の回・上映後 ※20分程度(予定)
【登壇者】内山理名さん ※登壇者は予告なく変更となる場合あり
【会場】シネマート心斎橋(http://www.cinemart.co.jp/theater/shinsaibashi/
 過去の傷をかかえる男と女、そして今を感じていきる娘。そんな3人の運命が繋がっていくのを静かに感じる深遠なラブストーリーが誕生した。




 主人公の美江(内山理名)は、幼い頃に父を亡くし、在日韓国人の母明子(黒田福美)に育てられ、韓国企業への転職活動を行うOL。ある日人事異動で韓国から赴任した上司ユウ・ジョンベ(キム・ウンス)に運命的なものを感じた美江は、年下の彼がいるにもかかわらずジョンべを散歩に誘う。散歩を重ねるうちに、美江はジョンべの過去を知り、過去に愛した女性のことを知るのだった・・・。

 美江とジョンべの恋と並行して語られるのは、30年前のジョンべの恋。1980年5月に韓国で起こった広州民主化運動(学生や市民と戒厳軍との抗争)という歴史的な民主化のための衝突の最中で、一つの恋が生まれ、儚く消えたのだ。ラブストーリーとしての要素を強めるだけでなく、韓国の人々がその歴史にどう向かい合ってきたのかキム・ウンスの滲み出る演技を通して垣間見ることができるだろう。

 深く愛する人が愛してはいけない人と気付く美江を、キャメラは遠くから彼女が醸し出す言葉に出来ない感情まるごと映し出す。誰にも言えない秘密を抱えて生きている明子の表情、命がけの民主化運動の傷跡とそれからの人生が浮かび上がるようなジョンベの後ろ姿。役者たちの漂わせる演技が見ている者の心に沁みる。ストーリーに随所に散りばめられた東京の空は、韓国に繋がる架け橋にも見えた。

 韓国の歴史的事件を盛り込みながら、時代と国を超えた愛、家族愛を抑えたタッチで描いた深みのあるラブストーリー。運命の糸を繋ぐ太宰治の『斜陽』に脚本の妙を感じた。
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