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★マイティ・ソー

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『マイティ・ソー』
〜第3期スーパーヒーロー時代の幕開けか?〜

(2011年 アメリカ 1時間55分)
監督:ケネス・ブラナー
出演:クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、トム・ヒドルストン、ステラン・スカルスガルド、コルム・フィオール、レイ・スティーヴンソン、イドリス・エルバ、カット・デニングス、浅野忠信、レネ・ルッソ、アンソニー・ホプキンス

2011年7月2日より丸の内ルーブルほか全国にて公
公式サイト⇒ http://www.mighty-thor.jp/
 マーベルコミックから登場した新ヒーロー、マイティ・ソーは第3期アメコミ・ブームの幕開けになるかも知れない。
 ブーム第1期は1930年代、大恐慌が吹き荒れ、人々がニューディール政策に希望を見いだした時代、スーパーマンやポパイ、ターザン、キングコングまでスーパー・ヒーローがそろって登場し大人気を博した。第2期は70年代、ベトナム戦争の敗北で動乱の60年代が終わり、世界の大国が無力感に陥った。当時、若者たちに人気の支持を集めたアメリカン・ニューシネマはスーパー・ヒーローはジョークでしかなかった。「俺たちに明日はない」(67年)、「イージー・ライダー」(69年)、「明日に向って撃て!」(69年)など代表的な作品では、主人公は無残に撃ち殺される。ベトナム敗戦の現実を前に“無敵のヒーロー”ではおれなかった。
  70年代に入ると、映画で「スーパーマン」や「キングコング」が装い新たに復活。この時にはジョージ・ルーカスで新時代のヒーロー「スター・ウォーズ」(77年)も登場している。あれから40年、1962年に誕生したマイティ・ソーは新時代のスーパー・ヒーローの資格あり、だ。
 イラク、アフガンと続いた泥沼の戦争が、元凶ビンラディンの射殺で一応の終止符を打ち、リーマン・ショックに始まった不景気にも明るさが見え始めた。事情は異なるとはいえ、共通項が見いだされる。暗い時代はもうけっこう、未来を夢見て生きたい時代に、いささか荒唐無稽であっても強いヒーローが待ち望まれている、といえようか。

 マイティ・ソーは乱暴過ぎて人間界に追放された“史上最強”男。映画の世界でアメコミ・ヒーローは今も金脈だか、ソーの魅力は人間に近いところ。体格も普通なら能力も追放される時に取り上げられ、ほとんどない。そんなごく普通の青年が自分に降り掛かった難儀をどう乗り越えるか… ヒーローに抜擢されたクリス・ヘイムズワースは「スター・トレック」(09年)のオープニングで注目された新人。二枚目だが普通っぽい青年で、ビッグスターが代々演じたスーパーマンやバットマンとは明らかに違う。どこにでもいそうな男は今の世にふさわしい“ヒーローの庶民化”か。

 ソーは神の世界「アスガルド」の最強戦士だが神の世界を危機に陥れ、神々の王の父オーディン(アンソニー・ホプキンス)に力と最強の武器“ムジョルニア(でかいハンマー)”を取り上げられ地球へ追放される…。
 いきなり神話の世界だと辟易するところだが、オープニングは天文学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)ら家族が調査するシーンで、天変地異(ソーの墜落)の勃発で彼女達の車がソーとぶつかる。「未知との遭遇」を思わせるSF風のイントロで違和感なくアメコミの世界に入れる。
 ソーが落下した砂漠では科学者たちが“宇宙人”の調査に血眼で、ソーは地球でも暴れ者だった。だが、ジェーンと出会ったことで少しずつ人間の痛みや弱さを理解し始め、ジェーンに心を奪われていく。アカデミー賞主演女優賞(ブラック・スワン)の強みか。一方、アスガルドでは弟ロキの陰謀で父地球にいるソーにも危機が迫っていた…。ソーは力を取り戻せるか? あとは最新SFX技術で神話と現実を結ぶ壮絶アクションで一気に見せる。

 ソーに危機を知らせに来る“三銃士”の1人が浅野忠信だった。「モンゴル」(07年)でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた浅野のハリウッドメジャー進出。第2の渡辺謙になれるか、今作は小手調べといったところか。

 人の弱さを知ったソーがどのように地球を、神の世界を救出するか、神様はいざ知らず、人間に何が出来るかという問題提起かも知れない。
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