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 『SUPER8/スーパーエイト』
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新作映画
★SUPER8/スーパーエイト (河田充規バージョン)

(C)2011 PARAMOUNT PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.
『SUPER8/スーパーエイト』
〜“THE CASE”(事件):映画に愛をこめて〜

(2011年 アメリカ 1時間52分)
監督・脚本:J.J.エイブラムス
出演:カイル・チャンドラー,エル・ファニング,ジョエル・コートニー,ガブリエル・バッソ,ノア・エメリッヒ,ロン・エルダード,ライリー・グリフィス,ライアン・リー,ザック・ミルズ

2011年6月24日(金)〜全国ロードショー
公式サイト⇒  http://www.super8-movie.jp/
 スーパー8(8ミリフィルム)の映画を作る少年たちを巡る友情,恋愛,親子のドラマが,スケールの大きなアクション&ファンタジーの中で展開されていく。この日常と非日常との出合いの架け橋となるのが8ミリ映画であり,本作の全体が壮大なメイキングフィルムのようになっている。製作のスピルバーグと監督のエイブラムスは,2人とも少年時代に8ミリ映画を作っていたそうで,彼らの少年時代が色濃く反映された作品だといえる。
 スピルバーグの出身地オハイオ州にある製鋼所の町リリアンが舞台とされている。その名前は,同州出身のサイレント時代を代表する女優リリアン・ギッシュに由来するのだろうか。スリーマイル島に関する報道がされており,時代は1979年だ。映される町並みがいかにもアメリカ的で,服装や自動車などがクラシックな印象を与える。ソ連との冷戦を思い出させる台詞,デジタルではないアナログの肌触り等,何ともいえない懐かしさがある。
 2つの家族がドラマの中心となる。最初に,ジョーの母エリザベスが製鋼所の突然の事故で亡くなり,2年以上続いた無事故記録が途切れたことが示される。ジョーは,母が大切にしていたペンダントをいつも身に付けている。保安官代理の父ジャックは,ジョーを気に掛けているが,うまく接することができない。アリスの父ルイスは,妻に出て行かれ,自分の飲酒のせいでエリザベスが亡くなったとの思いからジャックやジョーを避けている。
 ジョーがどのように母親と決別し,また2人の父同士の関係がどう修復されるか,という緊張感を孕みながら,ジョーと中学校の仲間たちの冒険が描かれる。ジョーとアリスの両想いを悔しがるチャールズ,ゾンビ振りが楽しいマーティンら,ユニークな仲間だ。ダコタ・ファニングの妹エル・ファニングがアリスに扮して女優を演じるのも見逃せない。これらの人間関係を大きく包み込みながらサスペンスを盛り上げる展開は,見応えがある。
  ジョーは,アリスらと一緒に映画を撮りに行った先で,大規模な列車事故に遭遇する。貨車には何か大きな動くモノが積まれていたようで,事故後に町から犬が逃げ,車のエンジンが盗まれ,行方不明者が相次ぐという不穏な出来事が続く。しかも,空軍が出動して物々しく,国家機密が絡んでいるようだ。このサスペンスの末に,スピルバーグ風ファンタジーが待っている。最後に映される8ミリ映画の完成版も,コミカルなタッチで面白い。
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★SUPER8/スーパーエイト (安永五郎バージョン)

(C)2011 PARAMOUNT PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.
『SUPER8/スーパーエイト』

(2011年 アメリカ 1時間52分)
監督・脚本:J.J.エイブラムス
出演:カイル・チャンドラー,エル・ファニング,ジョエル・コートニー,ガブリエル・バッソ,ノア・エメリッヒ,ロン・エルダード,ライリー・グリフィス,ライアン・リー,ザック・ミルズ

2011年6月24日(金)〜全国ロードショー
公式サイト⇒  http://www.super8-movie.jp/
 スピルバーグ製作総指揮による話題作の関西最初の限定試写会。やっぱりスピルバーグ(監督はエイブラムス)、子供がわくわくするB級SF活劇をA級の製作費と手間をかけて本気で撮った作品。得体の知れない怪物はスピルバーグ&エイブラムスの「クローバーフィールド」にも登場したが、今度は最初ちらっとしか姿を見せず、よりわくわく感を高める仕掛け。大音響で脅かせる手法がちょっと目立った。
 主人公はスピルバーグらを彷彿させる映画少年(&少女)6人。母親を亡くした14歳のジョーは親友チャールズの8ミリ(ゾンビ)映画製作を手伝うため、ヒロイン、アリス(エル・ファ二ング)らと駅に集合。丁度通りかかった列車に合わせて撮影を始めたら、突然車が突っ込み「パニック映画そのまま」の大事故が発生、辺り一面、炎に包まれる。この時、少年たちが落としていったカメラは回り続け、貨物コンテナから抜け出そうとする“とんでもないもの”を映していた……。  
 事故を起こした車に乗っていたのはなんと生物教師(なぜか無事)。彼らは無事現場から脱出するが、翌日、なぜか空軍が辺りを立ち入り禁止にして大捜索を始める。町は突然停電、犬が姿を消し、車のエンジンが奪われる不思議な事件が続発する。

 巨大で凶暴そうなモンスターはすばしっこくて咆哮だけでなかなか姿を現さず、引き込んでいく。この恐怖感。わくわく感。
 スピルバーグは登場した時から子供たちが「見たい」と思うものを恐がらせながら見せる“夢の魔術師”だった。タンクローリーを“怪物”に見せた「激突!」に始まり、子供たちを震え上がらせたサメの「ジョーズ」、宇宙人の「E.T.」、UFOの「未知との遭遇」、生きた恐竜の「ジュラシック・パーク」……人間が見たいと思ってきた“あり得ないもの”を、本気で“ある”ようにスクリーンに再現した大人子供。そんな彼が、J.J.エイブラムスという“後継者”を得て?プロデューサーに撤した「Super8」は、原点に帰って徹底的に謎と恐怖感にこだわり、それを子供たちが勇気を出して突き止め、克服するといういかにもスピルバーグらしい映画だ。
 ジョーの父親が保安官代理、アリスの父親がぐうたらでジョーの母親の死にからんでいたり、さらにタイトル通り8ミリ映画がモチーフになり、エンドタイトルに完成した8ミリ映画(ゾンビもの)が流れて笑わせるお遊びもある。

 SFの主役は古来、宇宙人か怪獣(モンスター)。「Super8」ではどちらか判然としないところが新味。「宇宙戦争」や「インデペンス・デイ」の敵対宇宙人か、「未知との遭遇」、「E.T.」 のような友好宇宙人の2種類に別れるところを、「Super8」では最初、正体不明のモンスターとしてさんざん大暴れするものの、最後は子供たちと心を通わせ「未知との遭遇」同様、宇宙へ帰って行く。これはスピルバーグの老成か、弟子?エイブラムスの趣味か、敵対者でも優しい心で接すれば分かりあえるという希望的メッセージて締めて子供たちを映画館から送り出す。近年、ジェームズ・キャメロンやクリストファー・ノーランのような、スピルバーグ以上の“魔術師”も登場しているが、オリジナルはスピルバーグであることを示した作品である。
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