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★シチリア!シチリア!

(c)2009 MEDUSA FILM 
『シチリア!シチリア!』 (原題:BAARIA)
〜少年は走り続ける、シチリアの大地を!〜

(2009年 イタリア 2時間31分)
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フランチェスコ・シャンナ、マルガレット・マデ、アンヘラ・モリーナ他
2010年12月18日〜シネスイッチ銀座、角川シネマ新宿、梅田ガーデンシネマ他全国順次公開
公式サイト⇒ http://sicilia-sicilia.jp/
 降り注ぐ太陽、土埃を上げて大地を走る少年・・・こんな冒頭を見ただけで、「待ってました!」と拍手を送りたくなった。『ニュー・シネマ・パラダイス』を世に送り出し、世界中を感動の渦に巻き込んだジュゼッペ・トルナトーレ監督。再び自身の出身地シチリアの町、バーシアを舞台に、親子三代に渡る壮大な人生賛歌、そして故郷賛歌を完成させた。








  牛飼い一家の次男坊ペッピーノを主人公に、小さい頃から出稼ぎに行きながら、父親や兄弟と過ごした少年時代から、第二次世界大戦後、美しいマンニーナと激しい恋の末結ばれ、新しい家族の誕生や愛する父との別れを体験する壮年時代までを描き切った本作。もう一つの主役と言えるのは、時代ごとにその表情を変えていくバーシアの町に他ならない。何度となく、時にはペッピーノが空を飛んでいる目線から映し出されるバーシアの町は、道路や町の映画館から町の人たちが住んでいる家に至るまで、各時代の思い出の風景を甦らせている。監督の心象風景のような「物言わぬ主役」へのこだわりと情熱の賜物だ。

 ジュゼッペ・トルナトーレ監督の祖父や父をモデルにしたペッピーノ一家の生き様は、自伝的要素は多分に含まれているものの、むしろ特別ではないバーシアの人々の暮らしや生き方といった普遍的な方向に反映させている。劇中に度々登場する血生臭いシーンやペッピーノが幼いながら労働を強いられるシーンも、当時の人の生きるたくましさを強烈に焼き付けるのだ。また、『ニュー・シネマ・パラダイス』を彷彿とさせるような映画館のシーンが登場するのも見逃せない。無声映画時代からの変遷もしかり、そしてペッピーノが息子と映画館に通い、息子が映画のネガフィルムの切れはしを太陽にかざして見る姿も『ニュー・シネマ・パラダイス』のトトと重なり、二つの作品の繋がりを感じることだろう。

 冒頭でシチリア、バーシアの町を走った少年が駆け抜け、そして最後にまた帰ってくるのは、監督自身の姿と重なる気がする。どこへ行っても必ずここへ戻ってくる、そんな強い意志と故郷への愛が、作品の端々から滲み出ている。大いなる情熱から生まれた映画、そうそう見れるものではない。
2009 ヴェネチア映画祭 金獅子賞 ノミネート &パシネッティ賞 受賞
2010ゴールデングローブ賞 外国語映画賞 ノミネート
2009 トロント映画祭特別上映作品 2009 アカデミー賞 外国語映画賞 イタリア代表
(江口 由美)ページトップへ
   
             
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