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 しあわせのパン

(C)2011「しあわせのパン」製作委員会
『しあわせのパン』
〜パンを分け合う幸せをかみしめて〜

(2011年 日本 1時間54分)
監督:三島有紀子
出演:原田知世、大泉洋、森カンナ、平岡祐太、光石研、八木優希、中村嘉葎雄、渡辺美佐子、中村靖日、池谷のぶえ、本多力、大橋のぞみ、あがた森魚、余貴美子

2012年1月21日(土)〜北海道にて先行公開、
1月28日(土)〜渋谷シネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、京都シネマ、OSシネマズミント神戸、ほか全国ロードショー

公式サイト⇒ http://shiawase-pan.asmik-ace.co.jp/index.html

 

 

 

 北海道洞爺湖のほとりに建つカフェ・マーニは、宿泊もできるオーベルジュ式のパンカフェ。優しい水縞夫妻は、いつでも焼きたてのパンと挽き立てのコーヒーでもてなしてくれて、さらに四季折々の産物で作る美味しいお料理で訪れる人の心まで満たしてくれる。そんなカフェ・マーニに心傷付き辿り着いた3組のエピソードを詩情豊かに綴りながら、人は決して一人では生きてはいけない、誰かとパンを分け合うように喜びも悲しみも分かち合いながら生きていくことの幸せをしみじみと感じさせてくれる。「かもめ食堂」を彷彿させるような癒し系の物語だが、さらに一歩も二歩も心に踏み込んだ感動作である。

 夏、彼氏に沖縄行きをドタキャンされ傷心を抱えて東京からやって来たカオリと、地元から出ていけないジレンマに悩むトキオ。自らの生活に憤りを抱くふたりに、〈クグロフ〉という特別な時に食べるパンや素朴なパンを分け合ってもてなす水縞夫妻。秋、深い孤独と不安を抱えた少女・未久とその父親。突然去った母親への思慕と喪失感で心を閉ざしているようだ。母親の得意料理であったかぼちゃのポタージュを出されたふたりは、母親のとは違うが別な美味しさがあることを知る。冬、吹雪の夜、老夫婦が思いつめた様子で訪れる。体の弱い妻をかばいながら、思い出話をする夫。パンが苦手という妻が美味しそうに焼き立ての豆パンを頬張り、「明日もパンを食べたい」と言う。秘めていた覚悟が溶けていくように表情が和らぐ。

 カフェ・マーニには他に、常連の大きな鞄を持って山高帽をかぶった阿部さんや、りえさんの顔見ては「きれいですね〜」とつぶやく郵便配達のおにいさん、どんな遠くの声も聞こえ何でも知っている地獄耳のヨーコさん、美味しい野菜を作っている子沢山の広川夫妻、そんな人々を見守る子羊のゾーヴァ。ほっこりとしたのどかさを感じさせてくれるナレーションは昨年芸能活動休止宣言をした大橋のぞみちゃん。そして、水縞夫妻を演じているのは、「探偵はBARにいる」で見事ハードボイルドをクールに演じて二枚目以上の魅力を発揮していた大泉洋と、「時をかける少女」以来歳を取るのを忘れているかのような原田知世。二人とも多くは語らないが、原田知世の「どうぞ」という一言と、大泉洋の心配そうに見つめる表情が何より心に響く。
 本作のもう一人の主役は心の傷を癒す数々のパンやお料理だろう。どれも美味しそうで、「しあわせのかおり」(2008年)の時は終映後中華屋さんへ駆け込んだが、今度はパン屋さんへ駆け込みカンパーニュやマロンパンなどを買い込んでしまった。カフェ・マーニで大自然のふところに抱かれるようにゆったりと身も心も癒されてください。

(河田 真喜子) ページトップへ

(C)2011「しあわせのパン」製作委員会
   
             
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