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★シリアスマン

(C) 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
『シリアスマン』 (A SERIOUS MAN )

(2009年 アメリカ 1時間46分)
監督:ジョエル&イーサン・コーエン
出演:マイケル・スタールバーグ、リチャード・カインド、アダム・アーキン

2011年2月26日〜ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開
関西では、テアトル梅田、順次〜京都シネマ、シネ・リーブル神戸 にて公開
監督主義プロジェクトhttp://www.ddp-movie.jp/index_ddp.html

 「ノーカントリー」でアカデミー賞3部門受賞を果たしたクセ者コーエン兄弟の新作はさらにシュールで奇怪な悲喜劇だった。60年代、アメリカ中西部郊外に家庭を構える中年男ラリーに降ってわいた不条理の数々。ラリーは真面目なユダヤ人だが家族はみんな問題や秘密を抱え、次から次へと災難に見舞われる。勤務先の大学ではアジア人学生にワイロを渡され、家では突然、妻から離婚を迫られる。賢者ラビに相談してはみたが、さらに巨大な不運に襲われる…。
  ニューヨークのインテリユダヤ人、ウディ・アレンは言ってみれば愚痴と自己とう晦の映画なのだが、コーエン兄弟の不条理劇はより破壊的で毒をもって現代を活写する。「ノーカントリー」の問答無用で殺戮を繰り返す殺し屋(ハビエル・バルデム)には慄然とするしかなかったが、今作にはそんな凶暴な暴力はない。だが日常生活の中で起きる不条理がどれほど凄まじいものか。普通に生活し「何にも悪いことなどしない」男がたいした理由もなく、見入られたように不運に見舞われる様はよく分かる。
 妻とラリーの友人の不倫?からモーテル暮らしを余儀なくされ、親戚の叔父の数々の不始末に悩まされ、かかってくる電話といえば「テレビが映らない」という子供の訴えばかり…。
 これほどの不条理に耐えなければならないラリーには同情よりも苛立ちを覚えもする。ユダヤ教の知識などないが、宗教に頼っても無駄、自分の人生は自分で切り開くしかない、ということか? 家族みんな敬虔な信者なのはユダヤ人の歴史的事実なのだろうが、困り者の息子が成人式を迎えてすべて解決してしまうのはコーエン兄弟ならではの肩透かしかもしれない。
(安永 五郎)ページトップへ
   
             
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