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戦火の馬

(C) Dream Works II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
『戦火の馬』 (WAR HORSE)
〜奇跡の馬に見る,希望を信じ続ける心の輝き〜

(2011年 アメリカ 2時間27分)
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:エミリー・ワトソン,デヴィッド・シューリス,ピーター・ミュラン
   ニエル・アレストリュプ,ジェレミー・アーヴァイン

2012年3月2日(金)〜大阪ステーションシティシネマ他全国ロードショー

公式サイト⇒ http://disney-studio.jp/movies/warhorse/

 スティーブン・スピルバーグ監督がロンドンで舞台版「ウォー・ホース」を観て,その感動を世界に届けたいとの思いから映画化したという。萌えるグリーンと燃えるオレンジが象徴的だ。一頭の馬を主役として戦禍における人間模様が綴られる。イングランド南西部はデヴォン州の丘陵地帯に草原が広がる穏やかな風景で幕を開け,舞台は第一次世界大戦下の西部戦線へと移っていく。奇跡の馬ジョーイが過酷な戦場を生き抜く姿が凛々しい。
 小作人テッドは,馬の競りで地主に負けたくなくて,農耕に向かない仔馬を30ギニーで落札し,地代を支払えなくなる。仔馬は,生まれるときから頑固者と言われ,アルバートと出会い,ジョーイと名付けられる。アルバートは,テッドの息子で,頑固さを受け継いでいた。両者とも意志が固くて忍耐強く,周囲の好奇の目に晒されながらも,生活のため荒れ地を耕して農作物を実らせる。その体験は,ジョーイが戦地を生き抜く基礎となった。
 ジョーイは,戦争が始まってアルバートと引き離され,戦地に連れ出される。その目を通して,戦争に翻弄される人々の姿が緩急を効かせて描かれる。誰もが戦闘を前に恐怖心を抑えられない。生き延びようと脱走して銃殺される兄弟がいた。彼らのお陰で,ジョーイは少女エミリーと出会う。だが,戦争はまた彼女から大切なものを奪っていく。ジョーイが駆られたように戦場を疾走する姿は悲壮で,有刺鉄線に絡まって転倒した姿は悲痛だ。
 そのジョーイをイギリス軍とドイツ軍の兵士が協力して救うシーンには,平和への願いが込められる。障害物が苦手なジョーイの弱点を伏線として,後で笑いを誘ったりスリルを盛り上げたりする。全編を通じて熟練の味わいが堪能できる。アルバートがジョーイと戦場で再会するシーンでは,海が2つに割れるという「十戒」の奇跡が重なって見えてきた。ジョーイの穏やかな横顔のラストは,希望を信じて進む不屈の魂の輝きに満ちている。
(河田 充規)ページトップへ
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