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★サンクタム

(C) 2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
『サンクタム』 (SANCTUM)
〜サバイバル系パニック・ムービーの新次元〜

(2011年製作 アメリカ 1時間49分)
監督:アリスター・グリアソン
出演:リチャード・ロクスバーグ、リース・ウェイクフィールド、
    ヨアン・グリフィズ、アリス・パーキンソン、ダン・ワイリー

2011年9月16日(金)〜3D、2D同時にて全国ロードショー
公式サイト⇒ http://sanctum-movie.jp/
 3D映画『アバター』(2009年作)で、自身の持つ『タイタニック』(1997年)の世界興業収入レコードを抜いて世界ナンバーワンになった、ジェームズ・キャメロン製作総指揮による作品。普通ならば、キャメロンが監督して映画化すべき素材なのだが、本作はこの映画の中身を実体験したアンドリュー・ワイトという方がいる。その方が脚本を書き、本作と同じくニューギニア舞台作品で実力を発揮した、アリスター・グリアソン監督が本作の監督をした。
 この方式はいわゆるハリウッド方式で、これまでにも、スピルバーグやらジョージ・ルーカスらが勢作側に回って、いろんなエンタ作品を世に出してきた。そして、キャメロンも同じ。なぜ自ら監督しなかったのかは問題ではなく、製作者として指揮する方が、どちらかといえば、これまでの監督作品とは違うものが作られる場合がある。指令系統としては監督より上にはなるけれど、キャメロンはむしろ、自由に撮るように監督に指示したはず。そうすることで、キャメロン監督では出せない部分を引き出せるのである。本作については、全くそれは正解だった。
 パニック・ムービーとサバイバル映画の融合。それぞれ単体映画でいろいろあった、ケイブ(洞窟)探索ものと、海水パニックをつなげるという斬新さ。7人のサバイバル映画の7の数字は、『七人の侍』(1954年)以降、定番化したメンバー構成である。海難系パニックでいけば、『海猿』シリーズ(2004年〜2010年)やら、『ポセイドン・アドベンチャー』(1972年)やらともリンクする。特に、本作のサバイバル劇の在り方は、転覆して下から上へ上がっていく『ポセイドン…』のスタイルの応用編だと思う。
 しかし、本作には『ポセイドン…』にあるような、ドラマティックな犠牲精神みたいなものは、はっきり言ってない。1人1人が死んでいくシーンは、ある意味で残酷だけれど、ラストまで見れば救いもあるので、見たあとの余韻はそんなに悪くはない。父子の絆描写もあるし、感動的なとこもある。でも、パニック系のサバイバル映画を、犠牲精神なしにどう感動的に見せていくのか。その大きな問題は、残されたままに本作は終わっているようだった。3D映画のビビッド感以上の、人間ドラマ映画的感動の在り方を分析していく時に、3Dの持つ意味とは何なのか、今後追究されるべきところであろう。
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