topへ
記者会見(過去)
旧作映画紹介
シネルフレバックナンバー プレゼント
新作映画
★ソルト

(C) 2010 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.
『ソルト』 (Salt)
〜命懸けで守ろうとしたものは愛と平和!?〜
(2010年 アメリカ 1時間40分)
監督:フィリップ・ノイス
出演:アンジェリーナ・ジョリー,リーヴ・シュレイバー,キウェテル・イジョフォー,ダニエル・オルブリフスキー,アンドレ・ブラウアー

2010年7月31日(土)〜丸の内ピカデリー1、梅田ピカデリー、
梅田ブルク7、なんばパークスシネマ 他全国ロードショー
公式サイト⇒  http://www.salt-movie.jp/
 ソルトは,CIAに勤めているが,突然ロシアのスパイだと疑われる。ロシアで幼少の頃から刺客として訓練され,その使命を果たすためアメリカ人として生活しているスパイが潜んでいる,という。ちょっと舞台版『あずみ』に似ている。あずみは,自ら愛する者の命を奪い,心を許せる者を失い続けても,なお生きなければならない哀しい宿命を負っていた。ソルトとあずみは,天下無双の強さを備えた孤独な刺客という点で共通している。
 ソルトは,自分を愛し救ってくれた夫のために行動するが,それだけでは説明できない感情に突き動かされている。その行動の意味を伏せたまま物語は進む。彼女は,目的を達成するため,髪の色を変え,性別をも超越する。アンジェリーナ・ジョリーは,ソルトが夫の安否を気遣うだけでなく,遠くにある一点を凝視して重大な決意を固めていることを,しっかりと見せてくれる。だから,その目的がはっきりしなくてもエールを送ってしまう。
 3つのアクションシーンが見せ場で,目を釘付けにされる。CIAの仲間から追い掛けられてのハイウェイでの逃走劇では,緻密に構成された大掛かりなアトラクションを見ているような醍醐味がある。聖バーソロミュー教会に侵入してロシア大統領に迫るシーンとホワイトハウスに潜入してアメリカ大統領の後を追うシーンでは,凶器を使わず素手で邪魔者を排除していくソルトの俊敏な動きが際立ち,人間の身体表現の美しさが堪能できる。

  ソルトが幼少時に一緒に訓練を受けた仲間たちの姿が,フラッシュバックのように彼女の脳裡に浮かぶ。まるで,彼女にとって,セピア色の思い出ではなく,無意識のうちに抑圧していた記憶が蘇ってくるようだ。これによって,彼女の行動の意味や目的に説得力が生まれる。また,彼女が事を起こすに当たってクモの毒を採取するという,ほんの短いシーンが大きな伏線となるなど,ディテールに至るまで目が行き届いており,見応えがある。
(河田 充規)ページトップへ
   
             
HOME /ご利用に当たって