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★ザ・ライト エクソシストの真実

(C) 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
『ザ・ライト エクソシストの真実』 (THE RITE)

(2010年、アメリカ、1時間54分)
監督:ミカエル・ハフストローム
出演:アンソニー・パーキンス、コリン・オドナヒュー、
    アリシー・ブラガー

【公開決定!】
 2011年4月9日(土)〜
梅田ブルク7 ほか全国ロードショー
公式サイト⇒ http://wwws.warnerbros.co.jp/therite/index.html

 これまでで最も怖かった映画はというとウィリアム・フリードキンの「エクソシスト」にとどめをさすが、現実にある、というエクソシスト(悪魔祓い)を題材にしたのがこの映画。先頃のキネ旬恐怖映画調査でも日本映画「東海道四谷怪談」と並んで外国映画部門1位になった「エクソシスト」は1973年作。映画記者デビューの年で、道頓堀の松竹座で劇場前の行列写真を撮ってデカデカと“場内に悲鳴の渦”てな原稿を書いたのを鮮明に覚えている。あんなに面白くて怖い映画はなかった。
 あれから37年。「ザ・ライト」には、もちろんあれほどの怖さも衝撃もない。信仰を失いかけていた神学生マイケル(コリン・オドノヒュー)が恩師の勧めで気乗りしないままバチカンで悪魔祓いの講習を受ける。バチカンでは悪魔祓いの依頼が後をたたず、エクソシストを増やす計画だった。マイケルは型破りなルーカス神父(アンソニー・ホプキンス)を紹介され、エクソシストの現場を訪れる…。
 悪魔がいるかどうか、それは本物かどうか、と疑いの目でみると、そんなことはあり得ない、と近代合理主義精神では考える。マイケルも同じ気持ちで、ルーカスの悪魔祓いの現場を見てもいまひとつ信じきれない。最初は16歳の妊婦で胎児が悪魔という。ルーカスは胎児と話し、時に怒る。もうひとりは少年。だがマイケルは少女も少年も統合性の精神疾患で精神病院で治療を受けさせるのが適切、とルーカスに言う。
 少女が知らないはずの英語を話したり、マイケルが腹に隠した1ドル札を当てたりするのだが…。少女は異常出産で突然死亡。その影響からルーカスが変調をきたし、悪魔が乗り移ったかのようになる。結局、信仰を失いかけていたマイケルが、神への信仰を取り戻して、ルーカスに乗り移った「バール」という名の悪魔を追い出すことに成功する。最後に現在何人のエクソシストがいて、ルーカスも活躍中とテロップが出ておしまい。怖い場面などひとつもなく、怖そうなのは音楽と“患者”やマイケル、ルーカスたちが見る夢だけに過ぎなかった。
 娯楽映画として傑出していた「エクソシスト」とは雲泥の差と言わざるを得ない。こちらではリンダ・ブレア(主役の少女)のメイクからして怖いわ、首が360度回るわ、緑色のヘドを吐くわ、挙げ句の果てに宙に浮かび上がってバズス(悪魔の名前)の姿を見せる。これと闘う神父も本気で、神VS悪魔の決闘の様相を呈していた。それはまた、後に勃発するキリスト教対イスラム教の激闘を予告していたのかも知れない。神を信じきれないというのは、悪魔をも信じられないということであり、実証的アプローチでは面白くなるはずがない。
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