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★白いリボン
『白いリボン』(THE WHITE RIBBON/DAS WEISSE BAND
〜ミステリー・タッチの、怪しいモノクロ群像劇〜

(2009年製作 ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア合作ドイツ映画 2時間24分)
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:クリスティアン・フリーデル、エルンスト・ヤコビ、レオニー・ベネシュ、ウルリッヒ・トゥクール、ウルシナ・ラルディ、フィオン・ムーテルト、ブルクハルト・クラウスナー、ライナー・ボック、スザンヌ・ロタール

2010年12月4日(土)〜東京・銀座テアトルシネマ 他全国順次ロードショー
12月18日(土)〜テアトル梅田、
新春〜シネ・リーブル神戸、京都シネマにて公開

公式サイト⇒http://www.shiroi-ribon.com
 世界3大映画祭の1つに数えられるカンヌ国際映画祭で、最高賞に当たる「パルムドール大賞」を受賞した作品。なんて聞くと、あれま、ゴリゴリの芸術映画ね〜と思われるかもしれないけれど、決してバリバリというわけではない。

 確かに、あるCMでジャニーズの嵐が言ってる、鑑賞映画の3つのマイナス・ポイントのうちでは、「長い」というのはあるが、村に住む7家族に加え、語り部となる教師の恋愛も描く群像劇なので、2時間24分の長さはどうしても必要になるのだ。次に、今どき白黒映画なんて…とおっしゃる方もいるだろう。でも、カラー・フィルムを使ってモノクロ現像したものなので、ピカピカのツヤツヤ。モノクロ・フィルム独特のヒビ割れたような感じはないし、むしろカラーよりも目に優しいかもしれない。
 さらに、え〜サウンドトラックが、いっさい流れないなんて〜。これは映像に集中していただくという、ハネケ監督の狙いがある。何しろ群像劇なだけに、登場人物が次から次へといっぱい出てくる。そこへ中途半端に、オーケストラやらの音楽を流してしまうと、人脈図を頭のなかで整理する時間が、そこなわれる可能性が出てくる。何が何やら、さっぱりわけが分からないままに、映画館を出る羽目になってしまうのだ。
  ということで、本作を芸術性と娯楽性のふたつの側面から見てみよう。第1次世界大戦勃発直前の、ドイツの村を舞台にしている。そして、大人たちも描かれるが、いろんな子供たちも大人の世界と同等に描かれる。その子供たちは、どちらかというとヤンチャではない。大人しくて、何やら不気味な雰囲気さえ醸し出しているのである。ここで、監督の意図が明らかになる。ナチズムが台頭した時期に、成人する子供たちに焦点を当てている点だ。ナチズム批判や戦争映画は多々あるけれど、ナチズムのルーツを探ったような映画はこれまでにない。そこに、この映画の芸術的新しさがある。
  片や、娯楽性について。冒頭からいろんな事件が起こる。殺人事件はないけれど、落馬転倒、子供の虐待、自殺、失踪など、事件の犯人や動機を推理していくお楽しみがあるのだ。最後には探偵役も登場する。ミステリー・タッチの娯楽作品としても見られる傑作。
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