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★雷 桜 |
(C)2010「雷桜」製作委員会 |
『雷 桜』
〜数奇な運命に翻弄された男女の儚い恋物語〜
(2010年 日本 2時間13分)
原作 宇江佐真理
監督 廣木隆一
出演 岡田将生 蒼井優 小出恵介 柄本明 時任三郎
2010年10月22日(金)〜全国東宝系ロードショー
公式サイト⇒
http://raiou.jp/ |
宇江佐真理の同名ベストセラー小説を『ヴァイブレータ』『余命1ヶ月の花嫁』の廣木隆一監督が映画化。将軍家に生まれた孤独な男・徳川斉道と、山で他人との関わりを持たず自由に生きる雷。出会うはずのなかった二人の身分違いの恋をまっすぐな想いにのせて届ける純愛時代劇。瀬田山で奔放に育ち、恋なんて知らずに育った雷を蒼井優。母親に対するトラウマから心の病を患う斉道を岡田将生が演じる。
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宣伝文句に「日本版・ロミオとジュリエット」とあるが、あの名作ほどドラマチックでもロマンチックでもないので、過度に期待は禁物だ。愛を貫いたというよりも、初恋を駆け抜けたという印象。沖縄で撮影された映像も、乗馬のカットも申し分ないのだが、全体的に幼さを隠せない。というのも、主演の岡田将生の端正な顔立ちが“現代的”すぎるのだ。スラッと長身でお肌がツルツルで唇もピンクでとても病気の殿には見えないし、それをカバーできるほどの演技派でもまだないので、イマイチ物語に入り込めなかった。初めの方に脇役で出演していた高良健吾に斉道をやらせた方がしっくりきたのではないだろうか。 |
それに、斉道が自分を特別扱いせず「お前はお前だ」と存在を肯定してくれる野生児・雷に心酔していくのは分かるが、雷が斉道のどこを慕っているのかがよく分からなかった。きっと原作には緻密に描き込まれているのだろう。孤独を埋めあう相手としては、この殿はあまりにも頼りない。ちょっと疑問も残るが、蒼井優はそんな理屈を吹き飛ばすような素晴らしい演技を見せている。しがらみなど関係なく生きてきた雷にとって、愛した人と引き裂かれる世間の理屈など理解できるものではない。「俺は殿がほしい」とストレートに語り、斉道を奪おうと大名行列にも乱入する。感情の赴くままに突っ走る雷を、ここまでナチュラルかつ潔く演じられるのは蒼井優の他に誰もいないだろう。特に涙を流すシーンの彼女は神がかっている。 |
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ちなみに「雷桜」とは、落雷で真っ二つに裂けた銀杏の樹から、桜が芽をつけた巨樹のことをさす。雷は、この落雷の日に生まれたから雷と名づけられた。それから20年。彼女はくしくもこの樹と同じ運命を辿ることになろうとは。逆らえない宿命に恋は裂かれたが、そこには愛の証が残され花を咲かせた。儚くも凛と佇む桜の姿は、2人の一途な恋を象徴しているようで美しい。 |
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