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★プッチーニの愛人
『プッチーニの愛人』
〜ミルコ・メンカッチの音響デザインがスゴい〜

(2008年 イタリア 1時間24分)
監督・脚本:パオロ・ベンヴェヌーティ
出演:タニア・スクイッラーリオ,リッカルド・ジョシュア・モレッティ,
    ジョヴァンナ・ダッディ,デボラ・マッティエロ,
    フェデリカ・ケッツィ

2011年6月18日(土)〜東京・シネマート新宿ほか全国順次公開
7月2日(土)〜シネマート心斎橋、 順次京都シネマ にて公開

公式サイト⇒
  http://puccininoaijin.com/
(C) Arsenali Medicei S.r.l. 2008
 最初に「本作はプッチーニに関する文献を調査し,独自の解釈で物語を展開している」とクレジットされる。プッチーニは,「ラ・ボエーム」「トスカ」「蝶々夫人」などで有名なオペラ作曲家で,1910年12月に「西部の娘」が初演された。その作曲中の1909年1月,プッチーニ家のメイドのドーリア・マンフレーディが自殺した。パオロ・ベンヴェヌーティ監督は,この事件を調査した上,ドーリアが自殺するに至った経緯を美しく奏でている。
 プッチーニには,妻エルヴィーラと娘フォスカがいた。ドーリアは,フォスカと台本作家の情事を見てしまう。それが事の始まりだった。フォスカは,ドーリアとプッチーニの親しげな様子を見て,それをエルヴィーラに告げる。彼女も2人が親密に接するのを目撃する。その後の夫婦と娘が食卓を囲むシーンは緊迫感に包まれる。3人とも感情を押し殺して息を潜めながら食事しているようだ。時計のチクタクという音が重苦しく感じられる。
 サイレント映画の雰囲気を漂わせて,穏やかな日常をスケッチするような感じの映像が重ねられる。ドーリアに贈られたショールを巧みに利用して,エルヴィーラが嫉妬を募らせる様子を描いていく。そんな妻を目の当たりにしたプッチーニの心情が,彼の指先を通じてピアノの旋律となって激しく流れ出す。扉を締める音,人が歩く音などの日常の音が聞こえる中で,人々の心情を浮かばせるように,ピアノの音色や手紙の朗読が挿入される。
 ドーリアが嘆いている。プッチーニと寝ていたと母親にまでエルヴィーラに告げられたというのだ。次のシーンで映される木々のざわめきが不穏な感じで,荒涼とした岩場を上って教会に入っていくドーリアの姿へと繋がっていく。何かが起こるかも知れない予感が徐々に高まる。不安をあおるように手紙を運ぶ人影が映され,その内容が予想できるのに息を詰めて見入ってしまう。そして,最後にドーリアは純潔であったか否かが明かされる。
(河田 充規)ページトップへ
   
             
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