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  『宇宙人ポール』

© 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED

『宇宙人ポール』 (PAUL)
〜『E.T.』への限りなきオマージュが捧げられた!〜

(2010年製作 アメリカ・イギリス 1時間44分)
監督:グレッグ・モットーラ
出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジェイソン・ベイトマン、
   クリステン・ウィグ、ビル・ヘイダー、シガニー・ウィーヴァー、
   セス・ローゲン(声)


2011年12月23日(金)〜シネ・リーブル梅田、京都シネマ、
シネ・リーブル神戸ほかにて全国ロードショー

公式サイト⇒http://www.paulthemovie.jp/

 SF映画の映画史に残る傑作、スティーヴン・スピルバーグ監督の「E.T.」(‘82年作)に対し、大いなるオマージュが捧げられた快作。しかも、同じくスピルバーグの「未知との遭遇」(‘77)や、リドリー・スコット監督の「エイリアン」(‘79)などから、一部シチュエーションを拝借するような使い方がなされている。特に「エイリアン」女優のシガニー・ウィーヴァーのサプライズ出演などが強烈だ。さらに、本作で引用されるハリウッド映画となれば、「脱出」(‘72)「ダーティハリー」(‘71)「プレデター」(‘87)「メン・イン・ブラック」(‘97)「Xファイル」(‘98)「タイタニック」(‘97)など多数に及んでいる。

© 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
 いわゆる、名作や名作群へのパロディ映画というのは、これまでにも多数作られてきた。ところが、オマージュとなるとどうだろうか。ちなみに、パロディとオマージュはかなり違う。パロディが皮肉とするならば、オマージュは敬意である。作品への深き敬意、リスペクトを込めて映画化された作品なのだ。となると、「E.T.」を見ていない人はそういないとは思うけれど、見ていないならば少なくともレンタルDVDでいいから、見ておいた方がいいと思う。
 さて、主人公の2人はイギリスからアメリカへ来て、UFOスポットを巡るというスタイルを採っている。だから、映画はロードムービー・タッチで展開。その途中で宇宙人と出会い、故郷の星へ帰りたいという宇宙人を、帰るためのポイントまで送っていく。まさに「E.T.」のロング・バージョンなのである。「E.T.」では子供たちが、その場所へと導いた。そして本作では、そんな子供たちが大人になって、同じく大人になった“E.T.”を送る設定。「E.T.」に泣いた世代にはたまらないような感じだが、もっと若い世代の方々にはどう響くだろうか。

© 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
 きっと、後半のアクションあり〜のドタバタ調展開を楽しみ、最後の感動的シーンにはグッとくるだろう。ロックを中心にしたサントラにもノって、終始ノリノリで見られるに違いない。SF映画はある意味過渡期にきているのかもしれないが、本作のようにロードムービー形式を加えて新味を探る方向性など、多彩な切り口はまだまだありそうだ。これからも注目し続けておきたいジャンルである。
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