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★ペーパーバード 幸せは翼にのって |
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『ペーパーバード 幸せは翼にのって』
(PAJAROS DE PAPEL/PAPER BIRDS)
〜時代は流れ,懐かしく優しい記憶が残る〜
(2010年 スペイン 2時間03分)
監督・共同脚本・作曲:エミリオ・アラゴン
出演:イマノル・アリアス,ルイス・オマール,
ロジェール・プリンセプ,カルメン・マチ
2011年8月13日(土)〜銀座テアトルシネマ、
9月10日(土)〜テアトル梅田、
秋〜シネ・リーブル神戸 他全国順次公開
公式サイト⇒
http://www.alcine-terran.com/paperbird/
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1936年に始まったスペイン内戦は,1939年にフランコ軍がマドリードを陥落させ第二共和制を倒して終結した。そのころマドリードでは喜劇役者ホルヘが妻マリアと息子ラファと共に幸せに暮らしていた。ところが,フランコ軍の爆撃で突然妻子を奪われてしまう。ホルヘは,それから1年後,相方のエンリケらがいる一座に戻って来た。エンリケは密告される危険に脅えており,ホルヘは姿を消していた1年について何も語ろうとしなかった。 |
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フランコ政権側の内偵パストールが一座に入り込む。ホルヘは反体制派としてマークされていた。「闘いは続いている」と言われる状況の中,エンリケが9歳のミゲルを引き取る。彼の両親は芸人で,墓地に眠っているという。ホルヘとの3人の共同生活が始まる。舞台では,ホルヘとエンリケが歌ってミゲルが合いの手を入れる。ロシオの歌と踊りが楽しく,メガネがなくて舞台から落ちる一輪車乗りもいた。レトロな感覚を存分に味わえる。 |
一座の中で反体制派が何かを計画していることが示されるが,彼らを監視する軍人らとの間でサスペンスが今一つ盛り上がらない。ホルヘは,ガキは嫌いだと言いながらも,ミゲルを遠ざけられない。ミゲルの姿にラファを重ね合わせていることが窺われるが,その葛藤や苦渋が十分伝わって来ない。だが,実は生きていたミゲルの母親にホルヘが1人で会いに行くシーンでは,内戦の悲しみや痛みがにじみ出て,いよいよ佳境へと入っていく。
終盤,ホルヘが心情を吐露し,反体制派が大胆にもフランコ総統の前で“フランコとは暮らしていけない”と歌い,ホルヘらの脱出劇が展開する。その後に胸を打つエピローグが用意されている。年老いたミゲルに扮するのは監督の父ミリキ・アラゴンで,本作の登場人物と同じ時代を生きた芸人だそうだ。彼にとってホルヘとエンリケがパパとママだったと語る。ここに全てが収れんされ,過去が懐かしく甦り,人が生きる温もりに包まれる。 |
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