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★お家(うち)をさがそう
『お家(うち)をさがそう』(Away We Go)
〜幸せな家庭なき国に幸せなどあり得ない〜

(2009年 アメリカ 1時間38分)
監督: サム・メンデス
出演:ジョン・クラシンスキー、マヤ・ルドルフ、
    マギー・ギレンホール

2011年3月26日(土)より、ヒューマントラスト渋谷ほか全国にて公開
関西では、テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル梅田にて順次公開
公式サイト⇒http://www.ddp-movie.jp/index_ddp.html
(C) 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
 「アメリカン・ビューティー」の名匠サム・メンデス監督の新作。夢の国アメリカ、夢の工場ハリウッド、などという幻想はサム・メンデス作品を見れば消え失せる。デビュー作にしてアカデミー賞5部門を獲得した「アメリカン・ビューティー」はアメリカの理想の家族をぶち壊した傑作だったし、新作「お家をさがそう」も同様だ。




 コロラド在住のバートとヴェローナの30代カップルに2つの転機が訪れる。バートの両親のヨーロッパ移住とヴェローナの妊娠。両親の引っ越しで自由になった2人はパートナーとともに友人知人を訪ねて家を探す旅に出る。ヴェローナの元上司が住むアリゾナ・フェニックス、続いてヴェローナの妹グレイスが住むツーソンへ。どちらにも幻滅するしかなく、以後2人はウィスコンシン州マディソンで東洋かぶれの幼なじみ夫婦に散々な目に遭い、マイアミの友人は妻がひとり娘を残して家出……最後に2人はヴェローナの出身地サウスカロライナに戻り、売らずにおいていた古めかしいが美しい家に感激する…。

 面白いのは愛し合い理解しあっている2人なのに、女性の方が早くから両親不在ということもあり、バートのプロポーズを受け入れないこと。子供も出来、家も探すけれど結婚はしない。こういうカップルの在り様に今のアメリカの“普通”が見える。サム・メンデスが結婚や家庭生活を信じていないことは明瞭で、アリゾナ州の崩壊家族、ウィスコンシン州のけったいな夫婦が証明している。ほぼアメリカ中を回った挙げ句、幸せな家族はヴェローナの両親の“オレンジの木”の思い出だけとは、そこにアメリカの深い闇、絶望があるのかも知れない。幸せな家庭なき国に幸せなどあり得ないだろうから。
(安永 五郎)ページトップへ
   
             
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