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『小川の辺』 |
★作品紹介 |
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★小川の辺 |
(C) 2011「小川の辺」製作委員会 |
『小川の辺』
〜端正な藤沢文学に東山紀之がよく似合う〜
(2011年 日本 1時間43分)
監督:篠原哲雄
出演:東山紀之、菊地凛子、勝地涼、片岡愛之助、尾野真千子、松原智恵子、笹野高史、西岡徳馬、藤竜也 2011年7月2日〜全国ロードショー
公式サイト⇒ http://cinema.pia.co.jp/title/155597/ |
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藤沢周平(原作)、篠原哲雄(監督)、東山紀之(主演)トリオの「山桜」に続く第2作。妹(菊地凛子)の夫で友でもあった男(片岡愛之助)を討つよう命じられた武士(東山紀之)。武士の掟と肉親愛のはざまで苦悩しながら淡々と使命を果たす姿を描く藤沢時代劇。
海坂(うなさか)藩士・朔之助(東山)は脱藩した佐久間を討つよう命じられる。佐久間は村の窮状を見かねて殿に農政改革を訴えたことから上層部の逆鱗にふれ、やむなく妻・田鶴(菊地)とともに脱藩。最初の追っ手が不発に終わり、互角以上の腕と見込まれた朔之助にその役目が回って来る。一度は断ったものの、問答無用の「上意」に否やはなかった。
藤沢周平をはじめ優れた時代小説家の主題「義と忠の葛藤」が鮮明に浮び上がる。(田鶴は討たせない…)家来の新蔵(勝地涼)は朔之助に同行を申し出る。朔之助、田鶴、新蔵の3人は幼時から兄妹同様の仲だった。朔之助は「上意」であっても妹の夫と歯向かってくる妹を討てるのか?
幼いころから田鶴に惹かれていた新蔵は兄妹の斬り合いを避けるため同行する…。
藤沢周平らしい端正で抑制の利いた静かな展開。淡々としすぎていささか物足りないほど。山田洋次3部作をはじめ、藤沢周平作品の慎ましやかなたたずまいは見る者の心にまで作用する。
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あまりの理不尽な仕打ちには侍の掟に逆らいもする。山田洋次「武士の一分」(木村拓哉)は私怨、秘めた愛に殉じた「蝉しぐれ」(黒土三男監督、市川染五郎)、「花のあと」(中西健二監督、北川景子)、藤沢文学の粋はお上の非道に反逆した「必死剣鳥刺し」。明らかに義より忠を重んじて怒りを爆発させるカタルシスが藤沢文学のもう一方の神髄だろう。
不条理な使命にも藩士として粛々と果たす。今の日本には滅多にいそうにないが、実に好ましい人間のありようではないか。
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