topへ
記者会見(過去)
旧作映画紹介
シネルフレバックナンバー プレゼント
  『戦火のナージャ』
  作品紹介
新作映画
★戦火のナージャ
『戦火のナージャ』 (Burnt By The Sun 2(Exodus) )
〜戦火の中に見えるのは不屈の抵抗の精神〜

(2010年 ロシア 2時間30分)
監督・共同脚本:ニキータ・ミハルコフ
出演:ニキータ・ミハルコフ,ナージャ・ミハルコフ,
    オレグ・メンシコフ,セルゲイ・マコヴェツキー,
    エヴゲーニイ・ミローノフ,ドミートリ・ジュゼフ

2011年GW公開、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
関西では、5月21日 (土)〜テアトル梅田、
             順次〜京都シネマ、元町映画館
公式サイト⇒ http://www.senka-nadja.com/
 本作は,1930年代のスターリンの大粛清を背景とするニキータ・ミハルコフ監督の「太陽に灼かれて」(1994年,露・仏)の続編になる。1943年5月,かつてコトフ大佐を逮捕したアーセンティエフ大佐がスターリンからコトフの生死について真相を探るよう命じられる。そして,時代は1941年6〜10月に何度も遡り,コトフやその娘ナージャを巡るストーリーが重ねられる。内容的には,6時間ほどの舞台を観た後のような重厚感を味わえる。
 1941年6月,アーセンティエフがナージャに会い,本名を教えたために親友に密告されたことを注意する。このとき,ナージャは父親が生きていると確信する。8月には,乗っていた船が撃沈され,機雷に掴まって司祭と一緒に漂流する。彼女らにドイツ軍の戦闘機から機銃が掃射される。畳み掛けるような短いカットが緊迫感を生み出す。ただ彼女らの無事を祈るしかない。そのとき,ナージャは司祭から洗礼を施され,神への祈りを覚える。

 その後,ナージャを助けるため1人の女性がドイツ兵2人を殺したことから,村人全員が虐殺される。ただ遠くから見ているしかない焦燥感が痛い。そのとき,彼女は父親を見つけるために神の意志で生かされたと確信する。父コトフと過ごした時間が何度も蘇る。顔を合わせなくても強い絆で繋がっている父と娘の魂が痛いほど伝わってくる。一方,コトフは,ドイツ軍の爆撃の中を生き延び,10月には懲罰部隊に所属して塹壕を掘っていた。
  それは,ライフルの代わりにシャベルを与えられ,敵を食い止めろと命じられた部隊だった。指揮官は「銃が欲しけりゃ敵から奪い取れ」と言う。そこには死の影が漂い,流れるメロディも哀しく,彼らの末路が見えてくるようで切ない。ライフルの銃口からそれを持つ兵士の顔へと,ゆっくり映していくカメラの動きは,ただ待ち続ける長い時間を感じさせる。その後,何台もの戦車の前には無力で,たった15分で240人の兵士が命を奪われる。

 おびただしい死体の上に雪が降り積もり,画面全体が寂寥感で満たされる。一方,コトフが土の中から起き上がるシーンからは生命の力強さが伝わってくる。また,彼は,戦闘機から投下された爆弾からも間一髪で生き延びる。過去の面影が彼を救ったのだろう。ロシア人の心の中には,1799年6月6日生まれの抵抗の詩人プーシキンが脈々と生きている。そして,父と娘が生き続けることは,スターリンに屈しないことを意味するに違いない。
(河田 充規)ページトップへ
   
             
HOME /ご利用に当たって