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 マイウェイ 12,000キロの真実 (河田充規バージョン)

(C)2011 CJ E&M CORPORATION & SK PLANET, ALL RIGHTS RESERVED
『マイウェイ 12,000キロの真実』 (MY WAY)
〜明日が来ることを信じて生きていこう!〜

(2011年 韓国 2時間25分)
監督・共同脚本:カン・ジェギュ
出演:オダギリ・ジョー,チャン・ドンゴン,ファン・ビンビン,キム・イングォン,夏八木勲,鶴見辰吾,山本太郎,佐野史郎,浜田学,イ・ヨンヒ,ト・ジハン,キム・ヒウォン,オ・テギョン,キム・シフ,チョン・ホジン

2012年1月14日〜新宿バルト9、丸の内TOEI、梅田ブルク7、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、MOVIX京都他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://myway-movie.com/

 1944年連合軍がノルマンディーに上陸した際,3つの軍服を着て生き抜いた朝鮮人がドイツ軍にいたという。その実話を基に「シュリ」のカン・ジェギュ監督が壮大なストーリーを作り上げた。KARAのニコルがカメオ出演していることや主題歌“To find my way”をイタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェックが歌っていることも話題となっている。だが,同じ目標を持つことで韓国人と日本人の間に生まれる絆を描いたことに本作の核心がある。
 ジュンシクと辰雄は,幼い頃に京城(現ソウル)で出会い,共にオリンピックのマラソンでの金メダルを夢見る。しかし,辰雄は,祖父を爆弾テロで亡くしてジュンシクと決別し,後に冷厳な日本軍将校となりジュンシクの上官として現れる。ジュンシクは,戦場でも夢を信じて走り続けていた。その姿が辰雄の心にも響いたに違いない。だからこそ,辰雄は,皇軍の誇りを捨ててソ連の軍服に身を包んでまで,生き延びる決意をしたのだろう。
 戦場で生き延びることについて,ジュンシクや辰雄のほか,ジョンデとシュエライのエピソードも描かれる。ジョンデは,ソ連の捕虜収容所で作業班長となってアントンと呼ばれる。自らの身を守るためにやむを得なかったとはいえ,仲間さえ見捨てる。シュエライは,家族を日本軍に殺された憎しみから日本人を狙撃し殺害していく。捕まった後も殺し足りなかったと悔いている。だが,過酷な環境に順応するだけでは希望は生み出されない。
 日本軍の大佐が二等兵に降格され切腹を命じられるという,戯画的というより呆れるしかないシーンも見られる。だが,辰雄と一緒にまたマラソンができる日がきっと来ると信じ続けるジュンシクの姿は,本作の弱点を補って余りある。自分を信じ続けて生きていくことは難しく,それを実践する人の姿はまぶしく輝いている。それが次第に辰雄の心の奥深くに刻まれる。辰雄は,戦場で生き別れとなったジュンシクを探さずにいられなかった。
  ノルマンディーの海岸を一人で走っているジュンシクのシーンは,本作の中ではことのほか美しい。彼は,連合軍が進攻してきたとき,辰雄の前で明日に向かって最後の切なくも意義深い選択をする。そして,エピローグで漸くプロローグでのマラソンのシーンの意味が明らかにされる。ジュンシクと辰雄が一体となってオリンピックの舞台でマラソンをしている。それは,戦争という過酷な状況を超えてジュンシクの夢が実現した瞬間だった。
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 マイウェイ 12,000キロの真実 (江口由美バージョン)

(C)2011 CJ E&M CORPORATION & SK PLANET, ALL RIGHTS RESERVED
『マイウェイ 12,000キロの真実』 (MY WAY)
〜男は走る、仲間のために、未来のために〜

(2011年 韓国 2時間25分)
監督・共同脚本:カン・ジェギュ
出演:オダギリ・ジョー,チャン・ドンゴン,ファン・ビンビン,キム・イングォン,夏八木勲,鶴見辰吾,山本太郎,佐野史郎,浜田学,イ・ヨンヒ,ト・ジハン,キム・ヒウォン,オ・テギョン,キム・シフ,チョン・ホジン

2012年1月14日〜新宿バルト9、丸の内TOEI、梅田ブルク7、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、MOVIX京都他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://myway-movie.com/

 『ブラザーフッド』のカン・ジェギュ監督最新作は、日本のオダギリジョー、韓国のチャン・ドンゴン、中国のファン・ビンビンとアジアのトップスターを起用し、太平洋戦争下のアジアからノルマンディーまで日本・ソ連・ドイツ軍服に身を包みながら生き抜いた東洋人の数奇な運命を壮大なスケールで描いている。韓国にとっては辛い歴史を、日韓がタグを組んでどう表現していくのか。そこから浮かび上がる人間の本質に目が離せない。
 日本占領下の朝鮮にいる祖父のもとに両親と越してきた長谷川辰雄は、使用人一家の息子、キム・ジョンシクと出会う。足が速い二人は、それからも競技会で競い続け、1938年東京オリンピックマラソン代表選考会での失格騒動により、ジョンシク(チャン・ドンゴン)は日本軍に強制徴用されることに。その後モンゴル国境のノモンハンの戦場でジョンシクは、守備隊長として赴任した辰夫(オダギリジョー)と再会する。冷酷な軍人となった辰夫はソ連軍の奇襲で勝ち目のない闘いでも日本軍兵士に銃を向けて闘い続けるよう強制するが大敗を喫し、辰夫とジョンシクはソ連軍の捕虜として厳しい寒さの中収容所生活と労働を強いられるが・・・。
 1930年代の現ソウルから始まる物語は、強制的に日本軍に徴用されるジョンシクたちのような存在がいたことを改めて認識させられる。鬼の形相で敵軍に向かっていくことを強制し、自軍の兵士まで拳銃を向ける辰夫に対し、最後まで一人の人間、ひいては一人のランナーとしての尊厳を失わず、仲間を助けるために走るジョンシクの姿は本作のまさに要だ。
チャン・ドンゴンの熱い走りっぷりが、どんな苦境にも屈しない不屈の精神を体現していた。
 日本が大敗を喫したノモンハン事件、モスクワが焼野原となった壮絶な独ソ戦、そして何度も映画化されている歴史に名高いノルマンディー上陸作戦と、それぞれの戦場シーンが絶妙のキャメラワークと共に迫力ある映像で表現され、戦争映画として見応え十分だ。しかし、その中で展開する人間模様にこそ感銘する部分が多い。生き延びることの熾烈さや、自分の命が消えようとするときに、仲間に希望を託す姿を目の当たりにし、改めて生きている者の使命を感じずにはいられない。過酷な運命を経ながら人種を超えて絆で結ばれる真実の物語は、日韓の映画の歴史に新しい一ページを刻むだろう。
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