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★無言歌 |
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『無言歌』 (THE
DITCH/ 夾辺溝) 〜中国の歴史の陰に隠されてきた「反右派闘争」の真実〜
(2010年 香港=フランス=ベルギー 1時間49分) 監督:ワン・ビン
出演:ルウ・イエ、シュー・ツェンツー、ヤン・ハオユー、
リー・シャンニェン他 2011年12月17日〜ヒューマントラストシネマ有楽町、
12月24日〜テアトル梅田、
2012年1月7日〜第七藝術劇場、京都シネマ、
1月神戸アートビレッジセンター他全国順次公開
・わん・ビン監督インタビュー⇒こちら
・公式サイト⇒ http://www.mugonka.com/
・ワン・ビン全作一挙上映@オーディトリウム渋谷⇒http://www.mugonka.com/wangbing_flyer.pdf |
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2002年、ドキュメンタリー『鉄西区』で映画祭を席巻し、以降も中国発展の影に忘れ去られつつある歴史や生活、人々に焦点を当てたドキュメンタリーを発表してきたワン・ビン監督。初劇映画となる『無言歌』は、毛沢東政権のもと57年に始まった「反右派闘争」により、右派分子とされた人々が再教育収容所に送られた現在中国でもタブーとなっている歴史を題材としている。とりわけ、過酷を極めた反右派闘争末期の3か月に焦点を当て、収容所で起こった飢餓や死者が相次いだ悲劇を、詩情豊かな映像でリアリティーに徹して描いている。
砂漠に吹く乾いた風、ざらざらと舞う砂埃、その先に立つのもやっとの収容者たちがやっとの思いで土を掘り起こしていく。昼間は労働を強いられ、かろうじて雨露がしのげる土豪で水のような粥しか配給されず、見る見るうちに衰弱していく収容者たち。日々死者が出る収容所はまるで死の順番待ちをしているような生き地獄だ。死んだ者の衣服を剥ぐだけではなくその肉体すらえぐりとる極限状態を尻目に、所長室では所長が暖かい麺を食べている。収容者だった主人の死後、その事実を知らずに差し入れを持って訪れた妻の慟哭や悲しみ、深い憤りからくる行動は、無残に命を奪われた者の人間としての最期の尊厳を取り戻す闘いなのだ。
反右派闘争生存者や、家族の人や当時の収容所の看守など110人ものインタビューと、ドキュメンタリー的小説『夾辺溝の記録』から、記憶の断片を重ね合わせるように隠された中国の負の歴史の記憶を映し出したワン・ビン監督。本作は中国では公開されないが、表現者として、ゆるぎない信念を持って今だから撮れる題材に挑む監督の姿勢が映画を通して伝わってくる。右派の生存者であるリー・シャンニェン氏を顧問に迎え、50年前自身が実際に経験した出来事の役で出演してもらうなど、細部に渡る事実の積み重ねが、劇映画でありながらドキュメンタリーのように歴史的事件の真の姿を炙り出す。歴史の闇に消えていった人たちの生きた証が刻まれた物語は、打ちのめされるような衝撃をもってズシリと胸に刻まれることだろう。
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