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★ミレニアム2 火と戯れる女

(C)Yellow Bird Millennium Rights AB, Nordisk Film, Sveriges Television AB, Film I Vast 2009
『ミレニアム2 火と戯れる女』
( The Girl Who Played with Fire)
〜ハリウッド・リメイクも決まった北欧ミステリー〜

(2009年 スウェーデン 2時間10分)
監督:ダニエル・アルフレッドソン
出演:ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス、アニカ・ハリン、ペール・オスカーション、レーナ・エンドレ

2010年9月11日(土)〜シネマライズ、敷島シネポップほか全国順次ロードショー
公式サイト⇒ http://millennium.gaga.ne.jp  
 スウェーデンのミステリー小説を、原作にしたシリーズの第2弾。え!? スウェーデン?とみなさんは驚かれるかもしれない。日本や英米の推理小説原作の映画化作品と比較してどうなのか?しかし、さほどの差はない。例えば、「告白」やら「ゴールデンスランバー」やら「トリック」やらと見較べても、そんなに違いはないだろうと思うのだ。
 宝島社が毎年、年末に出版している「このミステリーがすごい!」(その年に日本で出版されたミステリー小説を、日本と海外に分けて年間評価ランキングを披露するムック)の2009年度版で、3部作に分かれたこの「ミレニアム」シリーズが、3作共に海外ベストテンにランクインした。その第1弾はすでに公開され、DVD化されている。
 はっきり言うと、1作目を見ずに2作目から入ろうという鑑賞の仕方は、あまりおすすめできない。なぜかというと、例えば1作目のダイジェストを、2作目で披露するようなことはなく、また、それは3作目でも同じ。だから、本作を映画館で鑑賞する場合には、1作目を予習しておいた方がいいだろう。

  1作目は、キャラクター設定の面白さに加え、完全無敵ともいえる本格ミステリーだった。だが、2作目は少し、趣きを異にしている。1作目で大活躍した探偵役ヒロインの、過去の秘密を暴露していく作りになっているからだ。そして、1作目ではスクープ紙の男の記者と、コンビを組むことになったのだが、本作では単独行動・単独調査となった。でも、同時に記者も動く。
 その構造をいえば、1作目の事件の1年後の話で、行方をくらましていたヒロインが殺人事件の容疑者となり、彼女は真犯人を追って警察から逃れながら事件を調べていく。彼女の無実を信じる記者は、彼女を探す方向性で事件を調査していく。しかし、なかなか見つけることができない。もちろん、メールやらのやり取りはある。でも、会えるのはラストシーンの手前なのだ。
  本作はドメスティック・バイオレンスに対する、リベンジ系のドラマになっているのだが、その作り方や伏線の張り方が巧妙で、目が放せない作品となった。ラスト近くのアクション・シーンは驚きの連続だ。心して見ていただきたい。
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★ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士
『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』
(The Girl Who Kicked the Hornet’s Nest
〜リーガル&スパイ・サスペンスが融合した1作〜

(2009年 スウェーデン 2時間28分)
監督:ダニエル・アルフレッドソン
出演:ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス、アニカ・ハリン、ペール・オスカーション、レーナ・エンドレ

2010年9月11日(土)〜シネマライズ、敷島シネポップほか全国順次ロードショー
公式サイト⇒ http://millennium.gaga.ne.jp  
 シリーズ3部作の、いちおうの完結編だ。ちなみに、原作者の作家スティーグ・ラーソンは、3作の原作の出版を前に他界している。但し、4作目となる遺稿があるらしいとのことなので、今後の動向に注目したい。
 1作目の反響は凄かった。デビッド・フィンチャー監督がいち早くハリウッド・リメイクをするべくリメイク権を買った。「セブン」(1995年製作)「ゲーム」(1997年)「ゾディアック」(2007年)ほか、ミステリーの演出には、巧みのワザを見せる監督だ。監督の元には、ハリウッドの名女優たちが、ヒロインの役をやらせてくれと、ひっきりなしの状態だという。フィンチャー監督が一体誰をヒロインに選ぶのか、とても楽しみだ。
 というわけで、肝心かなめの本作の方へフォーカスしてみよう。シリーズ第2弾でも書いたのだけど、本作シリーズは、第3弾だけを見て分かるような作りにはなっていない。だから、1作目から順番に見ていく必要がある。特に、2作目と3作目は大いにシンクロしているのだから。なぜなら、2作目のラストで、裁判沙汰となる事件を起こしてしまったヒロインが、その事件で深手を負い入院。しかし、退院したら拘置所へ移され、裁判劇へと到るのだが、2作目を見ていない方には、このあたりの経緯を細かく説明してしまうと、2作目を見なくてもいいなと思われそうなので、控えめにしたい。
 この裁判劇はスウェーデン制によるもので、日本やアメリカとの違いが、くっきりと分かって面白いと思う。一方、そのヒロインの事件を受けて発覚することになった、スパイ的なところも受け持つ公安警察内に、はびこる裏組織なるもののナゾに迫るという話がある。そのネタを、スクープ紙「ミレニアム」の女編集長と、ヒロインと盟友コンビを組んでいる形の男性記者が追いかける。だが、横やりが入り、2人は事件の真相を追えなくなる窮状へと追い込まれるのだった。
  裁判劇とスクープ劇が巧妙にシンクロしていく作りは快感だ。この「ミレニアム」3部作シリーズだが映画的にはどうかはビミョーだが、原作的には、「羊たちの沈黙」(1991年)「ハンニバル」(2000年)「レッド・ドラゴン」(2002年)で有名なキャラ、ハンニバル・レクター博士の3部作シリーズに迫る仕上がりだ。リメイクによって、さらなるバージョン・アップがあることは間違いない。
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