topへ
記者会見(過去)
旧作映画紹介
シネルフレバックナンバー プレゼント
『だれもがクジラを愛してる』
  作品紹介
新作映画
だれもがクジラを愛してる

(C) 2012 UNIVERSAL STUDIOS.All Rights Reserved.
『だれもがクジラを愛してる』(Big Miracle)
〜クジラをめぐる、てんやわんやの大騒動〜

(2012年 アメリカ 1時間47分)
監督:ケン・クワビス
出演:ドリュー・バリモア、ジョン・クラシンスキー、
    ダーモット・マローニー、クリスティン・ベル、
    ヴィネッサ・ショウ、キャシー・ベイカー

2012年7月14日(土)〜TOHOシネマズシャンテほか全国にて公開
公式サイト⇒ http://love-whale.jp/

 これは、1988年に本当に起こったお話で、日本の新聞の第一面でも取り上げられた。舞台は、アメリカのアラスカ州バロー。数年来、ここで取材を続けているテレビ・リポーターのアダムは、偶然にも、厚い氷の下で行き場を失った3頭のコククジラを見つける。開かれた海までは8キロもあり、彼らを助けようとするなら、先ずは氷に穴をあけ、氷の壁をどかさねばならない。アダムがニュースとして報道したとたん、さまざまな人々の利権や思惑が錯綜していく。
 グリーンピースで自然環境保護活動をしている元恋人のレイチェル、クジラ救出に協力すれば、自社にとって有利に働くと考えた石油採掘会社の社長、自分のキャリアを上げるために報道を利用したい新進女性リポーター、食用のために捕獲すればいいと言う地元のイヌピアト族、さらには、時のアメリカ大統領レーガンから、当時アメリカと冷戦状態にあったソ連まで関わってきて、クジラはとうとう政治に利用されてしまうのかと危ぶむ展開になってくる。
 そういう意味で、この邦題には、ちょっとした皮肉がこめられているように感じられる。人間という輩は、他の動物を助けるという共通の目的を持ちながらも、何だかんだと理屈を必要とし、私利私欲からは逃れられないのだろうか、と。しかし、当然、予想される感動的な結末が用意され、原題どおり“大いなる奇跡”が、極北の地を渡る澄みきった風のごとく現れるのだ。
 クジラといえば、近年、大きな話題となった映画『THE COVE』を思い出さざるをえない。牛を殺して平気で食べても、高等な知能を持つイルカやクジラを捕獲したり食用にするのはとんでもないことだという選別思想には、どうもついていけない部分がある。本作が全米を動かした背景にも、クジラへの愛着が関係しているのだろうなと思いつつ、人物模様の綾に引き込まれていった。

(宮田 彩未)ページトップへ

(C) 2012 UNIVERSAL STUDIOS.All Rights Reserved.
   
             
HOME /ご利用に当たって