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 麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜

(C)2012映画『麒麟の翼』製作委員会
『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』
〜「麒麟の翼」に込めた希望と償いのメッセージ〜

(2011年 日本 2時間10分)
監督:土井裕泰
原作:東野圭吾『麒麟の翼』講談社
出演:阿部寛、新垣結衣、溝端淳平、中井貴一、田中麗奈、
    松坂桃李、三浦貴大、山崎努他

2012年1月28日〜全国東宝系ロードショー
公式サイト⇒ http://shinzanmono-movie.jp/index.html
 テレビドラマとしてオンエアされ、好評を博した東野圭吾原作の『新参者』シリーズ。今回映画化されたのは原作者自ら「シリーズ最高傑作」と認める『麒麟の翼』だ。阿部寛演じる主人公加賀の洞察力と、真実を見極める目の確かさに惹きこまれながら、ミステリーの醍醐味を存分に堪能できる。さらに、映画版では背景にある人間関係の描写に厚みが加わり、見終わった時、父子の絆が羨ましいとすら思わされた。なんとも味わい深い作品だ。
 日本橋の麒麟像の下で腹にナイフを刺されたまま息絶えた男青柳(中井貴一)が発見される。容疑者八嶋(三浦貴大)は逃走中の事故で意識不明の重体となり、日本橋署の加賀(阿部寛)は遺族や八嶋の恋人、中原(新垣結衣)の捜査、そして青柳のことを調べ始める。八嶋の死亡により、犯人と断定する警察本部の思惑とは別に、青柳が8分間も助けを呼ばず歩いて麒麟像に向かおうとしたのか、なぜ中原が容疑者の無罪を訴えるのかを考え続けるうちに、加賀は思いもよらぬ真実に辿りつく。
 溝端淳平が演じる従弟の松宮と足を使った調査をこまめに続ける加賀。状況の推理で事件の流れを決めつけるのではなく、被害者や容疑者の人物像や行動、家族にまで密着し、家族ですら知らなかった被害者の真の姿を浮かび上がらせる洞察力と粘り強さに唸らされる。容疑者とその恋人が上京し、生活が苦しい中どんな思いで暮らしてきたのか、被害者青柳と息子の親子断絶の陰にどんな葛藤や息子も知らない努力がされていたのかが緻密なエピソードを交えながら少しずつ明らかになり、闇に葬られたある事件にも光が当たっていく。それらを結ぶ鍵である”麒麟の翼”はまさにこの物語の原点だ。
 登場人物それぞれが”麒麟の翼”に込めたメッセージ、それは東京のスタート地点に立つにふさわしい希望の光が込められている。青柳が命がけで伝えたメッセージを息子が受け取ったとき、加賀自身の抱えてきた亡き父と素直に向き合えなかった関係にもようやくピリオドが打てたのではないか。ミステリーの面白さに加え、死後にようやく自分への父の想いを知る青柳の息子(松坂桃李)、加賀の姿に、父子の絆を改めて実感するのだ。死者の想いを受け止めて、明日を生きる希望を与えてくれる作品は、ヒューマンミステリーとでも呼ぶにふさわしい緊張感と希望に溢れている。
(江口 由美)ページトップへ
(C)2012映画『麒麟の翼』製作委員会
   
             
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