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★君に届け
君に届け『』
〜恋と友情の“たいせつ”をつめ込んだ
                   ハートフルムービー〜


(2010年日本 2時間9分)
監督 熊澤尚人
出演 多部未華子 三浦春馬 蓮佛美沙子 桐谷美玲 夏菜 青山ハル 金井勇太

2010年9月25日(土)全国東宝系ロードショー
公式サイト⇒ http://www.kiminitodoke-movie.com/index.html
 『君に届け』という甘酸っぱいタイトルからして、いかにも少女漫画な王道ラブストリーを想像していたが、これがなかなかどうしていいじゃない!キワモノ扱いされていた女の子の恋と友情がゼロから100に築かれていく過程をテンポよく見せている。本作を見て、思いを伝えるためのコミュニケーションって難しいけど、通じ合ったときの喜びはかけがえのない糧になるんだなぁとしみじみ実感。やっぱり気持ちは言葉に出さないと伝わらないものなのだ。普段から、愛はかけひき、時には嘘も必要などなど、恋愛うんちくを垂れているような大人にこそ見てほしい。一瞬でもピュアな気持ちがよみがえるから。まさに、濁った心を中和する解毒剤みたいな映画で、キュンキュン胸がきしみます。
 物語の主人公は黒沼爽子。本当はいたって普通の女の子だが、引っ込み思案な性格と長い黒髪が裏目に出て、クラスメイトから“貞子”と呼ばれ恐れられている。しかし、クラスいちの人気者・風早だけは爽子の本質を早々と見抜き、その素直さに好意を寄せていた。風早の朗らかな優しさに心を開き始める爽子。やがて、風早以外にも2人の友達ができた爽子は、少しずつ笑顔を見せるようになるのだが…。
 ストーリーのベースはよくある学園ものと大差ないが、際立って面白いのが爽子=貞子のキャラクター設定だ。学校では貞子と3秒目が合うと呪われる、貞子は霊を操れるなど根拠のない噂が出回っているが、当の爽子はその“特別扱い”を卑屈にならずに受け流していた。例えば、肝試しに貞子なら本物の霊を呼べるんじゃない?という勝手な噂にも、傷つくどころか「みなさんのお役に立てない」と霊感がない事実を悔しがる。それどころか、おばけ役に志願までして、貞子感をセルフ演出。ネガティブなようで案外ポジティブな爽子の天然な言動が、かなり笑えて親しみが増す。
 しかし、この究極の純粋さが様々な誤解を生むこともあり、もどかしい切ない思いは加速する。いつも自分は二の次、他人を優先しては損してばかりだった爽子が、自分の思いを伝えようと夜の街をかけぬけるベタなシーンも、爽子だからこそ応援したくなる。この気持ちは、よろつきながらも初めて立とうとする小鹿を見守っている感覚に近いかもしれない。青春という巣立ちに流れる純粋な愛と鼓動は、もう胸に届きまくり!
 王道でくさいセリフもきちんと感動へと消化する多部未華子ほかキャストの演技がすばらしい。三浦春馬は漫画から抜け出してきたようだし、蓮佛美沙子の“ケバピュア”演技はさすがのひと言。配役は完璧で原作ファンにも納得の作品として受け入れられるだろう。
(中西 奈津子)ページトップへ
   
             
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