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★軽 蔑

(C) 2011「軽蔑」製作委員会
『軽 蔑』
〜懐かし、東映任侠テイストの純愛編〜

(2011年 日本 2時間16分)
監督:廣木隆一
出演:高良健吾、鈴木杏、大森南朋、忍成修吾、村上淳、根岸季衣、田口トモロヲ、緑魔子、小林薫

2011年6月4日(土)〜全国ロードショー
公式サイト⇒ http://www.keibetsu.jp/index.html
 中上健次の原作でこんなピュアなラブストーリーができるのは奇跡かも知れない。和歌山(新宮)から東京に出ながら夜の街で欲望に生きるカズ(高良健吾)、歌舞伎町でトップレスバーで踊る真知子(鈴木杏)。一瞬で恋に落ちた2人はどさくさまぎれで衝動的に駆け落ち、カズの故郷で新しい生活を始める。難問山積み、到底うまくいきそうにないこのありふれた男と女がどう転がっていくのか、その興味だけで十分引っ張っていく。
 カズは資産家の一人息子でまともに働いたこともない。彼女連れの里帰りでも、父親(小林薫)のマンションをもらって苦もなく新生活をスタートさせる。知人の配送屋で働き始めるが、昔の不良仲間が放っておかない。カズは父親に結婚の許しを請うが、ダンサーが気に入らない父親は拒否。カズの苦境を察知した真知子は「ここじゃ五分五分でいられない」とひとりで歌舞伎町に帰る…。
 遊び人とトップレス・ダンサー、いつ、どう破局するのか、とハラハラさせるのだが、東京へ迎えに行ったカズと真知子はお互いの愛を確認し、両親の承諾を得ず挙式する。これで一件落着、とはいかず、ここからが2人の苦難の始まる…。
 真知子が東京に帰った間に、カズがバカラ賭博で借金を作り、ワル仲間の親玉(大森南朋)に追い詰められるスリリングな終盤は、東映任侠映画を思わせるドラマツルギー。カズの数少ない庇護者で祖父の元愛人(緑魔子)は借金の肩代わりに祖父から譲られた家を差し出すが足りず、バクチに手を出してこちらも破綻。火を着けられた家で死を選ぶ…とカズを追い込んでいく。
 カズに最後の決断をさせるのは親玉に真知子を要求された時。カズは街を出るフリをして真知子だけ汽車に乗せ単身、決着を着けに赴く。高倉健なら殴り込みに池部良が同行するところだ。高倉や鶴田ほどカッコよくはないが、高良が健闘。趣向を変えてよくできた任侠映画を見た気がした。 純な不良役の高良と鈴木が健闘。ピンクで鍛えた廣木監督の本領発揮。懐かしいアクション・ラブロマンス。
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